ケン・ローチ監督の記念すべき長編映画デビュー作『夜空に星のあるように』が53年ぶりに日本上映！

カンヌ国際映画祭でパルム・ドール（最高賞）を2度にわたって受賞したケン・ローチ監督の記念すべき長編映画デビュー作『夜空に星のあるように』が53年ぶりに日本のスクリーンに映し出されます。

80歳をこえてなお、新作を発表しているケン・ローチ監督。

デビュー以来一貫してリベラルの立場に寄り添った映画作りで世界の映画人からリスペクトされている巨匠で、2000年代に入って『麦の穂をゆらす風』（06）、『わたしは、ダニエル・ブレイク』（16）に2作品がパルムドール（最高賞）に選ばれました。

格差社会、貧困、人種差別といった社会問題を取り上げ、労働者階級や第三世界からの移民たちの日常を徹底したリアリズムで描いてきたローチ監督は右派サッチャー政権下では不遇の時代を迎えていましたが、90年代以降大復活を遂げた不屈の映画作家でもあります。

プロ、アマ問わないキャスティング、ロケ撮影中心、大胆なシーンの省略、即興性など、監督の映画に見られる特長は処女作である本作においてすでに顕著に現れています。

『夜空に星のあるように』では夢と現実のはざまで揺れ動きながら生き抜こうとする女性ジョイを、静かに見つめる監督の視線の暖かさは半世紀前から不滅の輝きを放って私たち見るものに感動を与えてくれます。

また、60年代イギリスを代表するカリスマ・スター、テレンス・スタンプを起用。

サイコ・キラーを演じた『コレクター』（63年）でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞し、一躍スターの座に躍りでたテレンス・スタンプは『プリシラ』（94年）、『スター・ウォーズ エピソード1』（99年）など、アート系作品からハリウッド大作まで華麗なるキャリアを誇るカリスマ的人物。

スタンプは本作から30年以上過ぎたスティーヴン・ソダーバーグ監督作『イギリスから来た男』（99年）で主演したおり、劇中の回想場面に『夜空に星のあるように』の映像が使用されているという稀有なエピソードも残しています。

劇中、数々の曲を優しい歌声で披露しているのは、ザ・ビートルズのジョン・レノンやポール・マッカートニーとも親交があったドノヴァンです。

Story

ロンドンの労働者階級に生まれた18歳のジョイは、泥棒稼業で生計を立てている青年・トムと成り行きで結婚し妊娠。ところが、トムは赤ん坊に無関心ですぐ彼女に手をあげる始末。

トラブル続きのある日、トムが逮捕され、ジョイは叔母の家に厄介に。そこに夫の仲間だったデイヴが訪ねてくる。やがて彼女は優しいデイヴに惹かれ一緒に幸せな日々を送るが、彼もまた逮捕されてしまう。獄中のデイブに手紙を書き続けながらジョイは、幼い息子ともに懸命に生きていくが……。

夜空に星のあるように

 

監督・脚本

ケン・ローチ

原作・脚本

ネル・ダン

製作

ジョセフ・ジャンニ

製作協力

エドワード・ジョセフ

撮影

ブライアン・プロビン

編集

ロイ・ワッツ

音楽

ドノヴァン

出演

キャロル・ホワイト、テレンス・スタンプ、ジョン・ビンドン、クイーニ・ワッツ、ケイト・ウィリアムスほか

作品情報

1967年 / イギリス映画 / 英語 / 原題 : Poor Cow

公開日

12月17日（金）より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

配給

コピアポア・フィルム

©1967 STUDIOCANAL FILMS LTD

Link

https://yozoranihoshi.com/