英国の名舞台を映画館で！『NTLive』10周年記念アンコール上映の作品リストと見どころ

2014年にベネディクト・カンバーバッチ主演✕ダニー・ボイル演出『フランケンシュタイン』で日本上陸を果たしたナショナル・シアター・ライブ（NTLive）は日本のファンに支えられて10年目を迎えます。その記念すべき10周年を祝して、現在上映が可能な作品を一挙上映する「10周年記念アンコール上映」をTOHOシネマズ日本橋、大阪ステーションシティシネマ、福岡・中洲大洋映画劇場にて、年末年始にかけて開催することが決定しました。

ナショナル・シアター・ライブとは

　ナショナル・シアター・ライブ（NTLive）は、英国で上演された話題の舞台を世界の映画館で気軽に鑑賞できる上映イベント。NTLiveによる最先端でこだわりの撮影技術は、上演時のパフォーマンスを舞台上で巻き起こる役者同士の空気感と鮮度はそのままに、臨場感あふれる映像でスクリーンへ届けます。感情の揺らぎをとらえるクローズアップから、趣向を凝らした美術セットを隈なく楽しめる舞台のワイドショットまで、NTLiveなら映画館の観客の誰もが現地の劇場のベストシートで鑑賞できる観劇体験を提供します。

これまでに英国の演劇界最高峰のローレンス・オリヴィエ賞受賞作やウエストエンドで高評価を得てブロードウェイでの上演が決まり、トニー賞も受賞した作品など、数々の名舞台がNTLiveにより多くの方に鑑賞されています。

アンコール上映作品

『ハムレット』

ベネディクト・カンバーバッチが以前から挑戦したいと公言していた「ハムレット」が実現した本作はオンラインチケットが発売されるやいなや10万枚のチケットが即日完売した大人気舞台。

作: ウィリアム・シェイクスピア
演出: リンゼイ・ターナー
出演: ベネディクト・カンバーバッチほか
上映時間: 187分（途中休憩あり）
ストーリー: ハムレットの父親を毒殺して母親と結婚し王位についた叔父への復讐劇。オリヴィエ賞最優秀演出賞ノミネート歴をもつ精鋭の女性演出家リンゼイ・ターナーによる、舞台の奥行を活かしたダイナミックな演出は、劇場の空間でありながら大作映画に匹敵する躍動感があふれる。本作でタイトルロールを演じたベネディクトは、彼特有の個性を評価されながら、同時に歴代の「ハムレット」俳優に匹敵する名演が賞賛された。

『スカイライト』

1997年に緒形拳＆若村麻由美の共演で日本初演された、デヴィッド・ヘアー作の3人芝居。『ザ・オーディエンス』のスティーヴン・ダルドリーが演出する今回、名優ビル・ナイと若手実力派キャリー・マリガンが不倫関係にあった元恋人同士に扮する。人気デザイナー、ボブ・クロウリーが手がけた舞台美術にも注目です。

作: デヴィッド・ヘアー
演出: スティーヴン・ダルドリー
出演: キャリー・マリガン、ビル・ナイほか
上映時間: 162分（途中休憩あり）
ストーリー: かつての恋人に再会するふたりのやり取りを描く人間ドラマ。

『オセロー』

作: ウィリアム・シェイクスピア
演出: クリント・ダイアー
出演: ジャイルズ・テレラ、ロージー・マキューアン、ポール・ヒルトンほか
上映時間: 185分（途中休憩あり）
ストーリー: シェイクスピア原作の長年語り継がれる悲劇の代表作がクリント・ダイアーの演出と豪華キャストで新たなプロダクションになりました。聡明で強気な性格の上院議員の娘デズデモーナと、白人世界の頂点に上り詰めた出自は奴隷制度の難民である男オセローが、人種を超えた愛に立ち向かいます。秘密裏に結婚したデズデモーナとオセローは、共に新しい人生を歩むことを切望していましたが、そんなふたりを罠にかけようとする人物がいて……。

『るつぼ』

アーサー・ミラーの魅惑的な権力の寓話を、『ザ・クラウン』のエリン・ドハティと『イェルマ』のブレンダン・カウエルの主演で描きます。演出はベネディクト・カンバーバッチ主演『ハムレット』のリンゼイ・ターナー、デザインは『リーマン・トリロジー』でトニー賞を受賞したエス・デブリンが担当。

作: アーサー・ミラー
演出: リンゼイ・ターナー
出演: エリン・ドハティ、ブレンダン・カウエルほか
上映時間: 187分（途中休憩あり）
ストーリー: “見ざる聞かざる言わざる“の精神の中で生きるセイラムの人々。牧師の娘が昏睡状態となり、「住民の中の誰かが悪魔を呼んだにちがいない」と言う人が出て、若い女性たちは、自分達の見たことを証言し始めます。やがて恐怖、復讐、告発の風潮が地域社会に蔓延し始めて……。

『ロミオとジュリエット』

コロナ禍で劇場が閉鎖される中、劇場の舞台だけでなく舞台裏も使って上演される予定だった『ロミオとジュリエット』を収録し、NTLive初の映画的な作品となった記念すべき1本。主演は当時、若手No1注目度だったジェシー・バックリーとジョシュ・オコナーが共演を果たした話題作です。

作: ウィリアム・シェイクスピア
演出: サイモン・ゴドウィン
出演: ジョシュ・オコナー、ジェシー・バックリーほか
上映時間: 100分（途中休憩なし）
ストーリー: ロミオとジュリエットは、すべてを賭けて一緒になろうとしていました。反目する家族に反抗しながら、喜びと情熱の未来を追い求めていましたが、周囲では暴力が勃発。この大胆な新作は、ナショナル・シアターの素晴らしい舞台裏に命を吹き込み、そこでは欲望、夢、運命がぶつかり合い、シェイクスピアのロマンチックな悲劇をまったく新しい方法で歌い上げています。

『フリーバッグ』

アマゾンプライムのドラマ『フリーバッグ』の元になった舞台。ドラマは2019年テレビ批評家協会賞でプログラム・オブ・ザ・イヤーを含む3部門を受賞し、同年エミー賞では11部門にノミネートされました。英国では主演のフィービー・ウォーラー＝ブリッジの衣裳や小物の検索率が34～38%増加し、その人気は“フリーバッグ・エフェクト”とも呼ばれました。ドラマで知名度が上がった舞台版の映像上映は、日本のNTLiveファンからも期待の声がとても多く上がりました。皮肉屋で常識外れのシングル女性を主人公にした、心に深く刺さるドラマです。

作: フィービー・ウォーラー＝ブリッジ
演出: ヴィッキー・ジョーンズ
出演: フィービー・ウォーラー＝ブリッジ（ひとり芝居）
上映時間: 88分（途中休憩なし）
ストーリー: モルモットカフェを友人と営むアラサー女性が、友人のこと、家族のこと、仕事のことを、時折観客に向かって語りかけながら笑いと毒舌で赤裸々に表現していきます。

『イェルマ』

スペインの劇作家フェデリコ・ガルシア・ロルカによる1934年初演作。現代のロンドンを舞台にしたサイモン・ストーン演出の本プロダクションは、2017年のオリヴィエ賞で最優秀リバイバル賞を獲得したほか、主演のビリー・パイパーが同賞の最優秀女優賞など名だたる演劇賞を総ナメにして話題となりました。

作: フェデリコ・ガルシーア・ロルカ
演出: サイモン・ストーン
出演: ビリー・パイパーほか
上映時間: 109分（途中休憩なし）
ストーリー: 子宝に恵まれない女性が苦悩の末、悲劇を引き起こし……。

『フランケンシュタイン』

アカデミー賞監督ダニー・ボイルが超有名原作に挑む！英国演劇界最高峰のオリヴィエ賞主演男優賞をベネディクト・カンバーバッチとジョニー・リー・ミラーがW受賞したNTLive史上最も人気の高い作品のひとつ。主演ふたりが入れ替わり、怪物と博士を演じるふたつのヴァージョンがあり、どちらも見比べたい傑作です。

作: メアリー・シェリー
演出: ダニー・ボイル
出演: ベネディクト・カンバーバッチ、ジョニー・リー・ミラーほか
音楽: アンダーワールド
上映時間: BC怪物版132分（途中休憩なし）、JLM怪物版126分（途中休憩なし）
ストーリー: 博士に造られた怪物。彼は世界との接触により徐々に人間の心を持つようになりますが……。

『ベスト・オブ・エネミーズ』

多くの賞を受賞したジェームズ・グレアム作の『ベスト・オブ・エネミーズ』は1968年のアメリカを舞台に、保守vsリベラルの戦いをTV討論という形でエンターテイメントに仕立てた番組を描いています。ウィリアム・F・バックリー（デヴィッド・ヘアウッド）と彼に反目する政治的ライバルのゴア・ヴィダル（ザカリー・クイント）のテレビ討論は、予想以上の反響を呼び、メディアの政治への関わり方を変えていきます。2023年の現在に通じる社会の構造が、まさに1968年の物語の中に垣間見られる点は、本作を今見ても心に響く要因でしょう。

作: ジェームズ・グレアム
演出: ジェレミー・ヘリン
出演: デヴィッド・ヘアウッド、ザカリー・クイントほか
上映時間: 160分（途中休憩あり）
ストーリー: 1968年のアメリカ、次期大統領をめぐる選挙戦が始まります。視聴率を争うテレビ局は、これまでになかった選挙番組で視聴率を稼ごうと策を練りました。浮かんだ案は保守派の有名人とリベラル派の有名人を番組内で討論させるという画期的なアイデア。出演者として白羽の矢が立ったのは、狡猾な保守派ウィリアム・F・バックリーJrと、舌戦では負けないリベラル派ゴア・ヴィダルでした。毎晩放送される新しい形のテレビ番組はみるみるうちに国の話題に。出演者であるウィリアムとゴアは想定以上の反響が高まる中で、互いの信念は否定され、中傷が飛び交い、アメリカ政治は新たな境地へと移っていきます。そして、テレビ・ニュースの在り方は、永遠に姿を変えようとしていき……。

『善き人』

C・P・テルラーの名戯曲を人気俳優デヴィッド・テナントが主演。

作: C・P・テイラー
演出: ドミニク・クック
出演: デヴィッド・テナント、エリオット・リーヴィー、シャロン・スモール
上映時間: 136分（途中休憩あり）
ストーリー: 世界が第二次世界大戦に直面する中、善良で知的なドイツ人教授ジョン・ハルダーは、想像を絶する結果をもたらす運動に巻き込まれていき……。

『ライフ・オブ・パイ』

『ライフ・オブ・パイ』は、ヤン・マーテル原作の「パイの物語」を日本でも数々の作品の演出を手がけているマックス・ウェブスターが演出した舞台。本物の動物のようなパペットや浮き出す船など美術セットで圧巻の演劇作品が誕生しました。先日発表されたトニー賞で演劇装置デザイン賞、演劇照明デザイン賞、演劇音響デザイン賞を受賞。

作: ヤン・マーテル
脚色: ロリータ・チャクラバーティ
演出: マックス・ウェブスター
出演: ハイラム・アベセカラ、ミナ・アンウォー、ラジ・ガタク、ニコラス・カーン
上映時間: 139分（途中休憩あり）
ストーリー: 世界が第二次世界大戦に直面する中、善良で知的なドイツ人教授ジョン・ハルダーは、想像を絶する結果をもたらす運動に巻き込まれていき……。

『ブック・オブ・ダスト』

『ダーク・マテリアルズ／黄金の羅針盤』（ライラの冒険）三部作の12年前の物語がついに舞台に。

作: フィリップ・プルマン
脚色: ブライオニー・レイヴリー
演出: ニコラス・ハイトナー
出演: サミュエル・クリーシー、エラ・デイカーズ、ナオミ・フレデリックほか
上映時間: 171分（途中休憩あり）
ストーリー: 11歳のマルコム・ポルステッドと彼のダイモンのアスタは、オックスフォードから3マイル離れた場所に住んでいました。マルコムは15歳のアリスと彼女のダイモンのベンと共に、両親が経営する宿屋「トラウト」で働いています。トラウトは聖ローザマンド修道院に近く、マルコムは修道女たちの日常のお手伝いもしていました。ある日、聖ローザマンド修道院を訪れたマルコムとアリスは、シスターたちが秘密裏に育てている赤ちゃんに遭遇。実は、その赤ちゃん“ライラ”はアスリエル卿とマリサ・コールターという、ふたりの賢者の赤ん坊だったのです。街中を歴史的な洪水が襲い、マルコムとアリスはライラを連れてカヌー“美しき野生”号で脱出を図りますが、3人をライラの母親マリサと、過激な巨大組織マジステリアム(教権機関)に所属するジェラール・ボンヌビルが追っていました。危険を孕むマルコムたちの旅は無事に終わるのでしょうか？ライラが追われる理由は何なのか？手に汗握る壮大な冒険物語の結末は？