2024.1.25

『ペット・ショップ・ボーイズ・ドリームワールド』5つの見どころ｜40年の歴史を振り返るグレイテスト・ヒッツ・ライヴを映画館で上映

『ペット・ショップ・ボーイズ・ドリームワールド : THE GREATEST HITS LIVE AT THE ROYAL ARENA COPENHAGEN』が、2024年1月31日（水）と2月4日（日）に日本を含む、世界中の映画館で同時公開されます。

この2日限りの貴重なイベントは、2022年にスタートしたペット・ショップ・ボーイズ史上初となるグレイテスト・ヒッツ・ツアーの2023年7月7日に行われたコペンハーゲン公演を収めた映像を上映するもので、未だこのツアーの公演が行われていない日本のファンにとってはPSBからの最高の贈り物と言えます。また、2019年以来となる来日への期待を高めるものになることでしょう。

そして、今年は「ウエスト・エンド・ガールズ」のオリジナル・ヴァージョンのリリースからちょうど40年を迎えます。この上映イベントは、英国から世界のポップ・シーンを一新し、いつの時代もイノヴェイターであり続ける彼らの軌跡を映画館の大スクリーンで世界中のファンと一緒に振り返り、功績を称える、またとない機会になることは間違いありません。

この上映では彼らの音楽が不朽のレガシーであることを証明するものであり、『エリック・クラプトンアクロス24ナイツ』や『エリック・クラプトン／ロックダウン・セッションズ』を手がけたデヴィッド・バーナードが監督。14台のカメラによるハイクオリティな撮影で収められたみごとな映像、独創性と創造性のある衣装、かつてはザハ・ハディドを起用したこともあるスペクタクルなセットを組み合わせた、革新的なステージを追体験できます。『ペット・ショップ・ボーイズ・ドリームワールド : THE GREATEST HITS LIVE AT THE ROYAL ARENA COPENHAGEN』はTOHOシネマズ日本橋ほか、全国のTOHOシネマズで公開。本記事では、この2日間限定の上映を見逃せない理由を5つ紹介します。

すべてシングル曲で構成されたセットリスト

このライヴは1985年に全英チャートと全米チャートの両方で1位に輝いた「ウエスト・エンド・ガールズ」を筆頭に、現在のところの最新アルバムである『ホットスポット』（2020年）からの「モンキー・ビジネス」まで、すべてシングル曲で構成されている。

PSBはシンセ・ポップ、ディスコ、ハウス、テクノ、オーケストラなどの要素を組み合わせ、独特のサウンドを生み出してきた。彼らの曲は、時には社会的なメッセージを含み、時には個人的な感情を表現し、時には単に楽しさを追求する。彼らの曲は、文学、芸術、映画、政治、そして個人的な経験や感情への言及など、しばしば多層的である。

「哀しみの天使」は、カトリック教育を受けた彼らの罪悪感と反抗心を歌った、彼らの代表曲のひとつだ。この曲は、1987年に全英チャートで1位を獲得し、彼らの最大のヒット曲のひとつとなった。「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」は、エルヴィス・プレスリーやウィリー・ネルソンらがカヴァーした有名なカントリー・ソングだが、彼らはこの曲を自分たちのスタイルに合わせてアレンジし、1987年のクリスマスに全英チャート1位にランクインさせた。「ゴー・ウエスト」は、1979年にヴィレッジ・ピープルが歌ったディスコ・ソングだが、彼らはこの曲を1993年にカヴァーし、ゲイ・コミュニティのアンセムとして再生した。ライヴでも定番の曲であり、この映像でも観客と一体となって歌われる。

また、PSBは自分たちの音楽に飽きることなく、常に新しいサウンドやスタイル、コラボレーターを試してきた。彼らはスティーブン・ヘイグ、トレヴァー・ホーン、スチュアート・プライスらの有名なプロデューサーと仕事をし、40年間にわたって自分たちの音楽を進化させてきた。また、レディー・ガガ、ザ・キラーズ、オリー・アレクサンダー（イヤーズ＆イヤーズ）といった後進アーティストともコラボレート。自分たちの影響力を示してきた。「ヴォーカル」「ドリームランド」といったダンスフロア回帰の近年の楽曲は、まさに彼らの現在地点を表している。

トム・スカットによる洗練を極めたステージ

PSBのステージは、みごとな映像、衣装、振り付け、小道具を組み合わせた、手の込んだ革新的なショーで知られている。彼らは、1989年の“MCMLXXXIX”ツアーから、2019年まで行われた“Super”ツアーまで、デレク・ジャーマン、ザハ・ハディッド、サム・テイラー＝ジョンソン、エス・デブリンら著名な芸術家やデザイナーと仕事をし、彼らのショーのレベルを引き上げてきた。この“DREAMWORLD”ツアーでは演出家、舞台美術家、コスチューム・デザイナーのトム・スカットと組み、彼らのショーをさらに洗練されたものにした。

トム・スカットはPSBのほかにもリアム・ギャラガー、サム・スミス、クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズといったトップ・アーティストや、ナショナル・シアターやロイヤルコート劇場、アルメイダ劇場などでも舞台を手がけ、トニー賞にもノミネートされた。

彼はPSBのショーにおいて、巧みに映像と音楽を統合し、観客を感動させる空間を創出。PSBとライヴ・バンドは巨大なスクリーンの下でパフォーマンスを行い、ショーのテーマや曲の雰囲気に合わせて、時には映像を投影し、時にはライトとして光り輝き、観客を非日常の空間へと誘う。

40年間にわたる止まらない進化

PSBは、デビュー当時から、音楽的な意味でもコンセプチュアルな意味でも、合成の達人である。彼らは、シンセ・ポップ、ディスコ、ハウス、テクノ、オーケストラなど、さまざまなジャンルの要素を組み合わせ、独自のサウンドを生み出してきた。また、ハイカルチャーとローカルチャー、皮肉と真摯さ、ユーモアとメランコリーを融合させ、独自の美学を生み出してきた。彼らの曲は、文学、芸術、映画、政治、そして個人的な経験や感情への言及など、しばしば多層的である。

また、彼らは新しいサウンドやスタイル、コラボレーターを試すことを恐れず、トレンドや革新という点では常に時代の先端を走ってきた。また、アルバムやツアーを重ねるごとに、ルックスやスタイル、メッセージを変えながら、自分たちを改革してきた。このショーでは、80年代の初期のヒット曲から、90年代と2000年代のより成熟した内省的な作品、そして2010年代と2020年代のダンスフロアへの回帰まで、彼らのキャリアのさまざまなフェーズの曲を披露し、彼らの進化を示すものとなっている。

時代や音楽の変遷と共に変化するメッセージ

デビュー当時、PSBは音楽を通して、社会や文化に対する批評や風刺を行ってきた。彼らは、このメッセージを「ウエスト・エンド・ガールズ」や「オポチュニティーズ」の歌詞やミュージック・ビデオで表現し、彼らの視点を示した。彼らは、その後も、「哀しみの天使」や「ドミノ・ダンシング」では宗教やセクシュアリティに対する罪悪感や反抗心を表現。90年代に入ると、より愛や人生に対するメッセージを伝えるようになり、「ビーイング・ボアリング」や「レント」では自分たちの友人や恋人との関係や感情を歌った。

2000年代に入ると、より政治的なメッセージを伝えるようになる。ブッシュ政権やブレア政権に対する批判や皮肉を表現したが、一方で2010年代に入ると、音楽や人生や夢に対する喜びや希望といった、より楽観的なメッセージを伝えるようになった。現在は、よりシンプルでミニマルなメッセージを発信しており、時代や音楽のスタイルの変遷とともに、メッセージも常に変化し続けていることが、この史上初のベスト・ヒット・ツアーから感じ取ることができるはずだ。

「内間くれあ」の存在感あふれるヴォーカル

「レフト・トゥ・マイ・オウン・ディヴァイセズ」でのステージ転換と共にバック・バンドが登場。クリス・ロウの右隣でキーボードを弾き、存在感あふれるヴォーカルを聴かせる女性にぜひ注目してほしい。彼女の名前は「内間くれあ」。スコットランド人の母親と日本人の父親のもと、大阪で誕生した彼女は父方の祖父母の出身が沖縄ということもあり、沖縄の文化に影響を受けて育ったそうだ。

15歳の頃、スコットランドに移住。高校卒業後はエディンバラのカレッジでダンスを、さらにロンドンの大学でジャズを学び、現在はキーボードと歌を専門にツアーミュージシャンとして活動。ハリー・スタイルズやデュア・リパ、ケイ・テンペスト、KTタンストール、ゴーストポエットらのツアーに参加してきた。

この“DREAMWORLD”ツアーでは、ダスティ・スプリングフィールドをフィーチャーしていた「とどかぬ想い」でニールとデュエット。伸びやかで深みも感じさせる歌唱を聴かせるシーンは、この上映におけるひとつのハイライトと言っていいだろう。

内間くれあからのコメント

日本のPSBファンの皆様へ

いつもPET SHOP BOYSを応援して下さり、ありがとうございます。このたび、Dreamworldコンサートツアーを収録した映画が完成し、世界中で封切りされる運びとなりました。日本の映画館でも上映されるので、とても嬉しく思っています。

私、内間くれあは、2022年からバンドメンバーとして参加してきました。世界中どの会場でも、ファンの皆様の声援をいただき、大変幸福に感じております。中には、わざわざ日本からヨーロッパまで来てくださった方もおられました。

私は大阪八尾市で生まれました。母はスコットランド人、おとーちゃん（笑）が大阪で、祖父母は沖縄出身です。でも、まさか、将来、ペット・ショップ・ボーイズのバンドメンバーになるとは、夢にも思いませんでした。そして、ダスティ・スプリングフィールドがニールとデュエットした「とどかぬ想い」を、自分が唄うことになるとも思ってもみませんでした。

私はいつもステージからの眺めしか見ていないので、この映画を通してショーを見るのが楽しみです。

ニールとクリスの愛と拘りを込めたパフォーマンスに、私は常に尊敬の念を隠せません。

皆さん、これからも応援よろしくお願いいたします。

Love from 内間くれあ

＠clareuchima

ポップ・ミュージックの歴史において重要な存在であり続けているPSB。彼らのツアー“DREAMWORLD”は、彼らの40年のキャリアを総括する壮大なショーであり、またここを起点にして新たな10年へと歩みを進める出発点でもある。その記念すべきツアーを映画館で体感できる、この貴重な機会をお見逃しなく。

Setlist

Suburbia / サバービア
Can You Forgive Her? / キャン・ユー・フォーギヴ・ハー？
Opportunities（Let’s Make Lots of Money） / オポチュニティーズ
Where the Streets Have No Name（I Can’t Take My Eyes Off You） / ホエア・ザ・ストリート・ハズ・ノー・ネーム / 君の瞳に恋してる
Rent / レント
I Don’t Know What You Want but I Can’t Give It Any More / アイ・ドント・ノウ・ホワット・ユー・ウォント（バット・アイ・キャント・ギヴ・イット・エニイ・モア）
So Hard / ソー・ハード
Left to My Own Devices / レフト・トゥ・マイ・オウン・ディヴァイセズ
Single-Bilingual / Se a vida é（That’s the Way Life Is） / シングル～セ・ア・ヴィダ・エ～幸せの合言葉
Domino Dancing / ドミノ・ダンシング
Monkey Business / モンキー・ビジネス
New York City Boy / ニューヨーク・シティ・ボーイ
Jealousy / ジェラシー
Love Comes Quickly / 恋はすばやく（ラヴ・カムズ・クイックリー）
Paninaro / パニナロ
Always on My Mind / オールウェイズ・オン・マイ・マインド
Dreamland / ドリームランド
Heart / ハート
What Have I Done To Deserve This / とどかぬ想い
It’s Alright / イッツ・オーライト
Vocal / ヴォーカル
Go West / ゴー・ウエスト
It’s a Sin / 哀しみの天使
West End Girls / ウエスト・エンド・ガールズ
Being Boring / ビーイング・ボアリング

上映劇場

北海道 : TOHOシネマズすすきの
宮城 : TOHOシネマズ仙台
東京 : TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズ日本橋（※1月31日〜2月8日まで特別上映）、TOHOシネマズ池袋、TOHOシネマズ立川立飛、吉祥寺オデヲン
栃木 : TOHOシネマズ宇都宮
埼玉 : TOHOシネマズららぽーと富士見
千葉 : TOHOシネマズ流山おおたかの森、TOHOシネマズ八千代緑が丘
神奈川 : TOHOシネマズららぽーと横浜、TOHOシネマズ川崎
静岡 : TOHOシネマズららぽーと磐田
愛知 : TOHOシネマズ赤池
大阪 : TOHOシネマズ梅田（※1月31日〜2月8日まで特別上映）、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズららぽーと門真
兵庫 : TOHOシネマズ西宮OS
京都 : TOHOシネマズ二条
岡山 : TOHOシネマズ岡南
福岡 : TOHOシネマズららぽーと福岡