ミントンやウェッジウッド、スージー・クーパーも！：茨城県陶芸美術館で「ティーカップ・メリーゴーラウンド」展開催

茨城県陶芸美術館で2025年2月15日（土）から6月22日（日）まで、「ティーカップ・メリーゴーラウンド」展が開催されます。イギリスの名窯を含む欧州の陶磁器約100年の歴史を辿る本展では、ティーウェアを中心に貴重な作品を展示。この記事ではイギリスの展示内容をご紹介します。

英国陶磁器の黄金時代：19世紀から20世紀へ

「ティーカップ・メリーゴーラウンド」展は、19世紀半ばから20世紀半ばまでの約100年間に焦点を当てた展覧会です。この期間は、英国陶磁器産業にとって黄金時代と言えるでしょう。産業革命後の技術革新と、ヴィクトリア朝の繁栄により、英国の陶磁器は世界中で高い評価を得ていました。

ミントン：英国陶磁器の代表格

本展で注目すべき英国ブランドのひとつが、ミントンです。1793年に創業したミントンは、その高品質な製品で知られ、英国王室御用達としても名高い陶磁器メーカーです。展示されるミントンの作品からは、19世紀の英国陶磁器の精緻な技巧と美しさを感じ取ることができるでしょう。

ウェッジウッド：革新的デザインの先駆者

もうひとつの重要な英国ブランド、ウェッジウッドも見逃せません。1759年に創業したウェッジウッドは、その革新的なデザインと製造技術で知られています。特に、ジャスパーウェアと呼ばれる独自の陶器は、世界中のコレクターを魅了してきました。本展では、ウェッジウッドの作品を通じて、英国陶磁器の技術革新の歴史を学ぶことができます。

英国のティーカルチャーと陶磁器の関係

英国の陶磁器産業の発展は、ティーカルチャーと密接に関連しています。18世紀以降、お茶を飲む習慣が英国社会に広く浸透し、それに伴ってティーウェアの需要が急増しました。

ロイヤルウースター：英国の誇る高級陶磁器

本展では、ロイヤルウースターの作品も展示されます。1751年に創業したロイヤルウースターは、英国最古の陶磁器メーカーのひとつであり、その高級感あふれるティーセットは、英国の上流階級に愛用されてきました。展示されるロイヤルウースターの作品からは、英国のティーカルチャーの洗練された美意識を感じ取ることができるでしょう。

ロイヤルドルトン：大衆化する英国陶磁器

19世紀後半から20世紀にかけて、英国陶磁器は徐々に大衆化していきました。その流れを象徴するのが、ロイヤルドルトンです。1815年に創業したロイヤルドルトンは、高品質でありながら比較的手頃な価格の製品を提供し、中流階級の家庭にも英国陶磁器の魅力を広めました。本展では、ロイヤル・ドルトンの作品を通じて、英国陶磁器の大衆化の過程を学ぶことができます。

英国陶磁器のデザイン革新：アーツ・アンド・クラフツ運動からモダンデザインへ

19世紀末から20世紀初頭にかけて、英国の陶磁器デザインは大きな変革を遂げました。この時期、アーツ・アンド・クラフツ運動が起こり、手工芸の価値が見直されました。

スージー・クーパー：英国モダンデザインの先駆者

本展で注目すべき作家のひとりが、スージー・クーパーです。1935年頃の作品「ドレスデンスプレイ」が展示されますが、これは英国陶磁器がモダンデザインへと移行する過程を示す重要な作品です。スージー・クーパーの斬新なデザインは、20世紀の英国陶磁器に新たな息吹を吹き込みました。

英国陶磁器の未来：伝統と新しい表現の融合

スージー・クーパーの作品に代表されるように、20世紀の英国陶磁器は伝統的な技術を守りながらも、新しい表現を模索し続けました。この展覧会を通じて、英国陶磁器の歴史的な変遷だけでなく、その未来の可能性についても考えを巡らせることができるでしょう

「ティーカップ・メリーゴーラウンド」展は、英国を含む欧州の陶磁器の歴史を一望できる貴重な機会です。ミントン、ウェッジウッド、ロイヤルウースター、ロイヤルドルトン、そしてスージー・クーパーなど、英国を代表する陶磁器ブランドや作家の作品を通じて、19世紀から20世紀にかけての英国陶磁器の発展と変遷を体感することができます。2025年2月15日から6月22日まで茨城県陶芸美術館で開催されるこの展覧会は、英国文化や陶磁器に興味がある方にとって、見逃せないイベントとなるでしょう。

 

Link

https://www.tougei.museum.ibk.ed.jp/