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バービカン・センターが2028年6月から1年間閉館へ 約400億円投資でロンドンの文化拠点を刷新
ロンドンの複合文化施設バービカン・センターは、2028年6月末から2029年6月までの約1年間にわたり、大規模なリニューアル工事のため本館での多くのプログラムを一時停止すると発表しました。ビーチ・ストリートにある映画館は営業を継続しますが、劇場、音楽ホール、温室、視覚芸術ギャラリーなどの主なスペースは休館となります。今回のプロジェクトにはシティ・オブ・ロンドン公社による1億9100万ポンド(約396億円)の投資が含まれており、今後50年間にわたり同センターを安全かつ利用しやすい文化拠点として維持することを目的としています。
2028年6月末から2029年6月までの全面閉館と対象エリア

バービカン・センター本館では、2028年6月末から2029年6月までの1年間、多くのプログラムが休止されます。この期間中、メインの劇場や音楽ホール、視覚芸術ギャラリー、温室など主要スペースは利用できなくなり、通常行われている演劇公演やコンサート、展覧会は本館では実施されません。一方で、ビーチ・ストリートに位置する映画館は引き続き営業を続ける予定で、同エリアで映画を楽しみたい人は訪問が可能です。
全面閉館前の段階から、ホワイエや湖畔テラス、内部の管制室などで改修工事が始まる計画であり、2027年以降は順次動線や利用可能エリアが変化していく見込みです。また、閉館期間中もロンドン交響楽団やロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなどのパートナーと連携し、本館外の会場でプログラムを展開する方針が示されており、バービカンの活動自体はロンドン市内のさまざまな場所で継続される予定です。
2027年から始まる部分改修と温室の先行閉鎖

本館の全面的な休止に先立ち、2027年からは段階的な改修が始まる予定です。ホワイエや湖畔エリア、内部の管制室といった共用空間が順次改装対象となり、コンサートや展示が行われていない時間帯でも、一部の出入口や通路が制限される可能性があります。訪問時期によって館内の動線が変わることが予想されるため、事前の情報確認が重要になります。
現在、週末の限られた時間のみ一般公開されている温室は、天井からの落下物を防ぐためネットが張られた状態となっており、安全性と改修工事の必要性から本館よりも早い2027年に先行して閉鎖される予定です。リニューアル後は、温室へのフル・アクセシビリティの確保が計画されており、車いす利用者を含め、より多くの人が快適に楽しめる空間を目指して整備が行われます。
安全確保と持続可能性、アクセシビリティ向上のための更新

バービカンの建物と設備は、開館から40年以上が経過し大きく老朽化しているとされ、今回のリニューアルでは安全性と持続可能性、アクセシビリティの向上が大きな柱となっています。建物の換気システムは工事中に停止する必要があり、電気設備の更新やアスベストの安全な撤去といった作業も行われるため、一般公開を続けたまま工事を進めることは難しいと説明されています。併せて、既存の温室のガラスや舗装材などを可能な限り再利用するレトロフィット優先のアプローチが採用され、工事に伴うカーボン排出の削減も目指されています。
また、今回のリニューアルでは、館内のサイン計画や案内表示の見直し、トイレの増設、マルチフェイス・ルームの新設なども盛り込まれています。これにより、宗教や文化的背景の異なる来場者を含め、より多くの人が安心して利用しやすい環境を整えることが意図されており、温室を含む主要スペースでのアクセシビリティの向上が期待されています。
ロンドン交響楽団やRSCなど常連団体への影響

バービカンの長期休止は、同センターを本拠地としてきた団体にも大きな影響を与えます。開館当初からのレジデント・オーケストラであるロンドン交響楽団は、今回の投資を歓迎するとともに、2026年から2027年、2027年から2028年のシーズンについてはこれまでどおりバービカンでの活動を継続し、2028年から2029年のシーズンはロンドンおよび英国各地の会場で公演を行う方針を示しています。閉館期間中、LSO St Luke’sはコンサートや録音、配信の拠点として機能し、学習・コミュニティプログラムも中断することなく続けられる予定です。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーをはじめとするパートナー団体も、バービカンと連携しながら別会場での上演やイベントを展開する計画です。これまでバービカンで公演を楽しんできた観客にとっては、なじみのホールでの鑑賞が一時的に難しくなる一方で、ロンドン市内や英国各地のさまざまな会場で新たな文化体験に触れる機会が生まれることになります。各団体の公演予定を追う場合は、それぞれの公式サイトやSNSでスケジュールと会場情報を随時確認することが重要です。
新体制と1億9100万ポンド投資の位置づけ

バービカンでは、今回のリニューアルを率いる新たな経営体制も整いつつあります。新しい最高経営責任者としてアビゲイル・ポグソン氏が就任し、建物と更新を担当するディレクターであるフィリッパ・シンプソン氏とともに、開館以来最大規模となる更新プロジェクトを担います。ここ数年で複数のリーダー交代を経験してきた組織にとって、今回の体制は長期的な視点で施設の再整備に取り組むための基盤となります。
シティ・オブ・ロンドン公社による1億9100万ポンドの拠出は、今後5年間に予定されている第1フェーズに必要とされる資金のおよそ80%に相当し、残りはバービカン側が独自のファンドレイジングによって調達する計画です。リニューアルは「誰もが利用しやすいデザイン」「建物の修復と保存」「空間の再活性化」「持続可能性の向上」という4つの設計原則に基づいており、事前に行われたパブリック・コンサルテーションでは、計画に賛同した回答者が全体の9割以上に上ったとされています。
ロンドン旅行者が押さえておきたいポイントと代替の文化体験

1982年にエリザベス2世女王陛下によって開館されたバービカン・センターは、「現代世界の驚異のひとつ」と称えられた複合文化施設で、現在では年間数百万人が訪れる英国有数のアートセンターとなっています。もともとは周囲の約4,000人の住民のために設計された施設ですが、今ではロンドンを訪れる旅行者にとっても、コンサートやシアター、映画、美術展、建築鑑賞を一度に楽しめる貴重な施設となっています。
2027年から2029年にかけてロンドン旅行を計画している人は、訪問予定の時期によってバービカンで体験できる内容が大きく変わる点に注意が必要です。特に温室やブルータリズム建築の内部空間を目当てにしている場合は、事前に最新の開館状況を確認し、場合によってはテート・モダンやサウスバンク・センター、ナショナル・シアターなど他の文化施設を組み合わせて旅程を組むと安心です。バービカンの最新情報や工事の進捗は、公式サイトや公式SNSで更新される見込みのため、訪問前に必ずチェックしてから計画を立てることをおすすめします。
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