大阪・関西万博の英国パビリオンで「スコットランド・ヘルステックデー」開催。日本との医療イノベーション連携を深める

スコットランド政府および駐日英国大使館スコットランド国際開発庁は2025年6月26日（木）、大阪・関西万博の英国パビリオンで「スコットランド・ヘルステックデー」を開催。本イベントでは、高齢化など共通の課題を抱える日本との医療イノベーション連携を深めるため、AIやロボティクス分野の先進技術が披露されました。

スコットランド・ヘルステックデー開催、日英の医療連携を強化

パネルディスカッションの様子

2025年6月26日（木）、大阪・関西万博の英国パビリオンにて「スコットランド・ヘルステックデー」が開催されました。このイベントは、スコットランド政府および駐日英国大使館スコットランド国際開発庁が主催したものです。6月23日（月）から27日（金）にかけて日本に派遣された通商使節団の活動の一環で、日本とのヘルステック分野における関係深化と技術協力の拡大を目的としています。

ニール・グレイ保健福祉担当大臣

使節団には、スコットランド政府のニール・グレイ保健福祉担当大臣をはじめ、革新的なヘルステック企業やイノベーション・エコシステムの主要関係者が参加しました。

AI・ロボット技術が集結、注目のスコットランド企業

参加企業プレゼンテーションの様子

イベントでは、AI、ロボティクス、遠隔医療、認知症ケアといった、日本とスコットランドが共通して直面する課題に対する先進的なソリューションが紹介されました。特に、以下のスコットランドを代表する企業6社が、自社の革新的なプロダクトを披露しました。

Touchlab：電子皮膚技術により、ロボットや義手に人間のような触覚を与えるロボット工学企業。

Konpanion：感情支援ロボット「Maah」を開発し、孤独感の軽減と心の健康向上に貢献します。

Nami Surgical：高精度で低侵襲な小型超音波メスを開発。ロボット手術への応用が期待されます。

iGii：独自のナノマテリアルを用いた次世代バイオセンシング技術を展開し、医療から環境分野まで対応します。

J&D Wilkie：創業150年以上の老舗繊維メーカーで、医療・航空宇宙向けの高性能素材を製造しています。

Talking Mats：言語聴覚士が開発した、視覚的に意思を伝える革新的なコミュニケーションツールを提供します。

産官学連携「トリプルヘリックス」が支える医療イノベーション

参加企業ショーケースの様子

スコットランドのヘルステック分野における強みは、産業界・学術機関・公共セクターが連携する「トリプルヘリックス」型のイノベーションアプローチにあります。この強力なエコシステムは、起業家精神を育みながら、世界的な健康課題の解決に取り組んでいます。

NHSスコットランドの重要な役割

特に、国民保健サービス（NHS）スコットランドは、臨床研究から技術開発、社会実装までの全ての段階に関与しています。これにより、国内外の企業にとって信頼性の高い開発パートナーとなっており、スコットランドのヘルステック分野の国際的な競争力を高める要因となっています。

高齢化社会への挑戦、日本との連携がもたらす可能性

日本とスコットランドが共に直面している喫緊の課題が、高齢化社会への対応です。パネルディスカッションでは、この共通課題に対し、スコットランドが誇るイノベーション・エコシステムに日本がパートナーとして関わることで、課題解決のスピードと実効性が飛躍的に高まる可能性が示唆されました。

特に、スコットランドが持つ大規模な医療・介護データを安全かつ迅速に活用する仕組みは、日本の医療データ利活用における課題解決のモデルとして注目を集めています。認知症ケア分野では、既に日本の企業との連携実績もあり、今後さらなる協力体制の構築が期待されます。

大阪・関西万博を契機に加速する日英ヘルステック協力の未来

今回の「スコットランド・ヘルステックデー」は、両国の連携をさらに深める重要な機会となりました。SDIのルーベン・エイトケン氏は、ライフサイエンスおよびヘルステック産業がスコットランド経済に年間100億ポンド超の価値をもたらしていると述べ、万博のような国際的イベントが貿易や協業の機会を創出する上で重要であるとコメントしています。

スコットランド国際開発庁は、万博期間中に「Scotland Day」を計3回開催する予定で、4月の「ゲームおよび消費者産業」、今回の「ヘルステック」に続き、9月には「洋上風力産業」をテーマとしたイベントを計画しています。大阪・関西万博を通じて、日英間の協力関係はさらに多岐にわたる分野で深化していくことが期待されます。