マンチェスターで進む「クリエイティブヘルス」の知見を東京へ――日英アート&ウェルビーイングフォーラムが国立新美術館で5月23日開催

英国と日本における地域共創の最前線 東京藝術大学との《共創フォーラムVol.2》を開催「Arts, Health & Wellbeing ミュージアムで幸せになる。」

アートや文化活動が心身の健康に与える影響をテーマに、国立新美術館(東京・六本木)で5月23日(土)、日英共創フォーラム「Arts, Health & Wellbeing ミュージアムで幸せになる。」が無料開催されます。マンチェスターの「クリエイティブヘルス」と日本の「文化的処方」を軸に、ミュージアムが地域のウェルビーイングを支える可能性を探ります。




ミュージアムとウェルビーイング──注目が高まる文化と健康の接点

美術館や博物館といったミュージアムが、単なる展示施設を超えて人々の心身の健康を支える場になり得るという認識が、近年の研究によって裏付けられてきました。作品や資料との出会いを通じて言葉を超えた人と人のつながりが生まれ、文化的体験が孤立の予防やメンタルヘルスの改善に寄与することが、英国をはじめとする欧米各国で実証されています。

 

国立アートリサーチセンター(NCAR)

こうした動向を受け、国立アートリサーチセンター(略称:NCAR)は2023年に開催した共創フォーラム Vol.1 に続き、今回は「面」としての地域実装という視点から第2弾のフォーラムを企画しました。個々のプログラムの「点」にとどまらず、福祉・医療・行政・文化が連携して地域全体でウェルビーイングを支える構造をどう作るかが、今回の核心テーマとなります。



フォーラムの概要──日時・会場・参加方法

フォーラムは5月23日(土)11時から17時(10時30分開場)まで、国立新美術館 3階講堂(東京都港区六本木7丁目22-2)にて開催されます。参加費は無料で、定員は150名(先着順)です。申し込みはウェブサイトより本日4月13日(月)から5月22日(金)まで受け付けています。

日英同時通訳・日本手話通訳・日本語文字通訳が提供されるため、英語話者のゲストが登壇するセッションも字幕つきで参加できます。会場への参加が難しい方向けに、フォーラム終了後の6月末頃にアーカイブ動画の配信も予定されています(5月22日までに要事前申込み)。

主なプログラム(日英同時通訳・日本手話通訳・日本語文字通訳あり)
時刻 セッション 登壇者・モデレーター
11時00分 開会・あいさつ
総合司会:牧野杏里(東京藝術大学特任助教)
田中正之(国立アートリサーチセンター長)
日比野克彦(東京藝術大学長)
ジム・ブース(ブリティッシュ・カウンシル駐日代表)
11時10分 趣旨説明「ミュージアムと健康・ウェルビーイングの潮流」 稲庭彩和子(国立アートリサーチセンター主任研究員)
11時30分 セッション「英国マンチェスターのクリエイティブヘルス」
モデレーター:伊藤達矢(東京藝術大学社会連携センター長)
ハンナ・ウォーターソン(マンチェスター大学 ナレッジ・モビライゼーション研究員)
ジョン・マコーリフ(マンチェスター大学教授・クリエイティブ・マンチェスター ディレクター)
ジュリー・マッカーシー(GMCA・NHSグレーター・マンチェスタークリエイティブヘルス戦略リード)
12時20分 昼休憩
13時20分 「ウィットワース美術館におけるクリエイティブヘルスの実践」 イ・スッキョン(マンチェスター大学ウィットワース美術館長)
13時40分 「ART共創拠点と文化的処方」 伊藤達矢
14時00分 「上野地域の文化的処方『ミュージアム処方』とその背景」 熊谷香寿美(東京都美術館 学芸員)
14時20分 パネルディスカッション「ミュージアムがウェルビーイングの場になるには何が必要か」
モデレーター:稲庭彩和子
熊谷香寿美
井上智子(永寿総合病院 認知症看護認定看護師)
黒川廣子(東京藝術大学大学美術館長)
田中正之
日比野克彦
15時00分 休憩
15時20分 ダイアローグ「日英の視点から」 片岡真実(森美術館長)
湯浅真奈美(ブリティッシュ・カウンシル東アジア地域アーツ統括ディレクター)
15時40分 リフレクション「参加者同士のシェア」
16時00分 パネルディスカッション「文化拠点とウェルビーイング:社会を支える基盤としての役割を考える」
モデレーター:伊藤達矢、稲庭彩和子
イ・スッキョン
ジョン・マコーリフ
日比野克彦
田中正之
16時55分 クロージング
17時30分 MoU締結式(関係者のみ・国立新美術館 3階講堂)



マンチェスターのクリエイティブヘルス──先行事例に学ぶ

クリエイティブ・マンチェスター(Creative Manchester)

フォーラムが特に注目するのが、マンチェスターで進む「クリエイティブヘルス」の取り組みです。マンチェスターは大学・文化施設・自治体が一体となってクリエイティブヘルスの研究と社会実装を推進する都市であり、その中核を担うのがマンチェスター大学を拠点とするプラットフォーム「クリエイティブ・マンチェスター(Creative Manchester)」です。

フォーラムには、マンチェスター大学のジョン・マコーリフ教授(クリエイティブ・マンチェスター ディレクター)やハンナ・ウォーターソン研究員、グレーター・マンチェスター合同行政機構(GMCA)・NHSグレーター・マンチェスタークリエイティブヘルス戦略リードのジュリー・マッカーシーらが登壇します。さらに、マンチェスター大学ウィットワース美術館長のイ・スッキョン教授が、美術館現場における具体的な実践例を紹介する予定です。



「文化的処方」と上野地域の実践──日本側の取り組み

日本側では、東京都美術館を拠点に進む「ミュージアム処方」の構想が紹介されます。東京都美術館アートコミュニケーション担当学芸員の熊谷香寿美氏が、上野地域における「文化的処方」の背景と具体的な取り組みを報告します。医療の現場から永寿総合病院の認知症看護認定看護師・井上智子氏も登壇し、医療と文化をつなぐ連携の実態が明らかにされます。

「文化的処方」とは、医師や支援者が患者・地域住民に対してアートや文化活動への参加を「処方」する仕組みです。英国では国民保健サービス(NHS)とも連携しながら普及が進んでおり、日本でも高齢化社会における孤立対策や認知症予防の観点から関心が高まっています。



日英3機関がMoUを締結──研究連携が本格始動

共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点(ART共創拠点)

フォーラム開催と並行して、国立アートリサーチセンター(NCAR)、東京藝術大学「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点(ART共創拠点)」、マンチェスター大学「クリエイティブ・マンチェスター」の3機関が、クリエイティブヘルスと文化的処方の分野における国際連携協定(MoU)にもとづく研究活動を2026年度より開始します。フォーラム終了後の17時30分から、同会場にて締結式が執り行われる予定です(関係者のみ)。

この連携はさらに広がりを見せており、5月27日(水)には京都大学で開催される「社会的処方・文化的処方国際会議(the International Social Prescribing Conference 2026)」においても、3機関による合同セッションが予定されています。日英の研究・実践コミュニティが継続的に知見を共有する場が整いつつあります。



ミュージアムが社会インフラになる日へ──フォーラムが示す未来

今回のフォーラムは、ミュージアムを「鑑賞の場」から「地域の健康を支える社会インフラ」へと位置づけ直す試みの一環です。英国では2017年に文化・メディア・スポーツ省が「文化的処方」を国家施策として推進し、数万件規模の処方実績が報告されています。日本でも類似の仕組みの普及が模索される中、今回の日英共同研究はその具体的なモデルケースとなる可能性を持っています。

参加を希望する方は、4月13日(月)から受付が開始されたウェブサイトより事前申込みを行ってください。定員150名に達し次第、受付は終了します。アートと健康をめぐる最前線の議論を、ぜひ会場で体験してみてください。

開催概要

開催日時
2026年5月23日(土)11時~17時(10時30開場)
2026年5月23日(土)11:00~17:00(10:30開場)
国立新美術館 3階講堂(港区六本木7丁目22-2)
参加費
無料
定員
150名(定員に達し次第受付終了)
申し込みリンク
https://ncar.artmuseums.go.jp/events/d_and_i/wellbeing/post2026-3137.html

Text by British Culture in Japan編集部

 

Link

https://ncar.artmuseums.go.jp/

Share
  • facebook
  • X (Twitter)
  • LINE
  • Mail

Sponsered Link

Sponsered Link