2024.4.24

英国の風刺と色彩が交差する瞬間：『FASHION Faux PARR』マーティン・パー写真展

2024年5月3日（金）から、虎ノ門のart cruise galleryで、マーティン・パーの“ファッション・フォトグラフィー”に特化した写真展『FASHION Faux PARR（ファッションフォーパー）』が開催されます。

マーティン・パーとは

1952年にサリー州のエプソムで生まれたマーティン・パーは、現在活躍しているドキュメンタリー・フォトグラファーの中で最も有名なひとりです。1974年より写真集の刊行をスタートし、2024年現在、その数は120冊以上に及んでいます。英国人らしいユーモラスかつ、シニカルな視点で切り取るスナップショットで知られており、手がけてきた作品はニューヨークの近代美術館をはじめパリ、ロンドン、東京の各美術館にコレクションされています。

ファッション・フォトグラフィーとマーティン・パー

鮮烈なカラーとユニークなコンポジション、卓越した洞察力で社会・経済・文化の“今”をフィルムに焼き付け続けるパーは、プライベートワークのみでなく、数々のコミッションワークも発表しています。1980年代以来、ファッション雑誌やオートクチュール、メゾンからのラブコールは絶えることなく、「GUCCI」などの世界的なブランドや各国版『Vogue』のエディトリアルなどで商業写真の古典的な規範を覆してきました。

写真集『FASHION Faux PARR』とは

Fashion Faux Parr. Martin Parr. With essays by Patrick Grant and Tabitha Simmons. Phaidon

そんなパーのファッション・フォトグラフィーに特化した初の書籍が、本展でフォーカスする『FASHION Faux PARR』です。本書は、パーのファッションに対する極めて独創的な視点を紐解こうと試みた唯一の写真集であり、プライベートワークとコミッションワーク──『Vogue』をはじめとする世界的なファッション誌に掲載されたエディトリアルの一部を収録。そのほか、ファッションイベントの舞台裏で捉えたドキュメンタリー・フォトから業界のアイコンのポートレートまで、収録された250点以上のカラー写真の多くは未発表作品となります。

写真展の目的と展示作品

当展の狙いは、ファッションを物質的なものではなく、概念や現象として捉えるパーの展示を、アパレルの生産・販売を主戦場とする我々が開催することにあります。これはパーの（皮肉めいた）表現に加担することを意味しており、art cruise galleryを運営するBAYCREW’Sからのファッションに対する問いかけでもあります。パー自身のセレクトと当ギャラリーのセレクトを織り交ぜた全16点の作品を通して、“ファッション”について再考する機会となりそうです。

モデルを起用した撮影もあれば、街で見かけた人を起用した撮影もあります。ドキュメンタリーのような撮影もあれば、ファッションのような撮影もあり、それらはアートのように見えることさえあります。エキサイティングなのは、その違いを見分けるのが難しいことです。これまでファッション、アート、ドキュメンタリーを隔てていた慣習的な境界線はなくなりつつあり、私はこれらの融合を探求することを楽しんでいます。

写真展の詳細

なお、『FASHION Faux PARR』を引っ提げたパーの写真展は現在、世界中で開催が予定されていますが、アジア圏内では虎ノ門のart cruise galleryが初のお披露目となります。すべての作品は購入も可能で、写真集『FASHION Faux PARR』はギャラリー内および、BAYCREW’Sのオンラインストアでも販売。そのほか、パーの作品をプリントした物販も予定しています。また、クリエイティヴディレクターのおおうちおさむによる会場デザインも必見です。

会期: 2024年5月3日（金）〜6月16日（日）
会場: art cruise gallery by Baycrew’s（東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズステーションタワー3F)
入場料: 無料