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サマセットのニュート(The Newt in Somerset)へ日帰り旅行④ サイダーツアー&テイスティング
ロンドン在住のフリーランスライター、近藤麻美さんによるロンドンを中心に英国にまつわるカルチャー全般を現地から発信する連載「近藤麻美のカルチュラル・ウォーク in London」の第6回目を公開! 今回はイングランド南西部のサマセット州にあるラグジュアリーホテル・エステート「ニュート(The Newt in Somerset)」を2022年に訪問した際の記事を再掲。その最終回はサイダーツアー&テイスティングの様子をお届けします。
サイダーというと、日本では、甘い炭酸飲料をさすことが多いかと思いますが、英国では、りんごのお酒のことを言います。ちなみに、こちらでは、“Cider”ではなく、昔の綴りの“Cyder”を使用しています。

こちらが、収穫したリンゴからそのジュースを抽出する機械です。

エキスパートのロイドが詳しく説明してくれました。
サマセットの土壌と気候はリンゴの栽培に大変向いており、サイダーは何世紀にもわたって作られてきたそうです。その昔は、水よりも、蒸留されたサイダーを飲む方が安全だったこともあり、子供も含めて朝からサイダーを飲んでいたらしいのです! この頃から二次発酵のプロセスが使用されており、ガラスのボトルとコルクで保存していたのは、フランスでシャンペンを発明したドン・ピエール・ペリニョン修道士よりも前だったとか。

水も砂糖も使わずに作られる100%アップルジュースを使って、サイダーが作られます。時間をかけた(最低でも6か月)低温発酵で甘さが増すのだそう。

続いてはお待ちかねのテイスティングです。

今回は4種類のサイダーを味見させていただきました。

こちらは、スタンダードなサイダー、Fine Cyder。イーティング・アップル、Braeburnから作られています。クリスプでドライ。アルコール度数は8.1%(!)です。

こちらは、Ice Cyderと呼ばれる、スイート・サイダーです。食後にチーズと合わせる、スイート・ワインのリンゴ版といったところでしょうか。黄金色で濃厚。そして甘い!

このアイス・サイダーは、カナダで作られる手法を用いて、凍らせたリンゴをプレスすることにより、水分がまだ凍っている状態で出てくるため、残った果汁が濃く、シロップ状になるのだそう。マイナス25度を保ち、5週間かけて、このような甘い、ナチュラルな濃縮シロップができるのですが、それをさらに6か月低温発酵させるのだそう。



サイダー・テイスティングの前に、少し自由時間があったので、お買い物。

ファームショップに一歩足を踏み入れた途端、アドレナリンが上がるのを感じます。

チーズ。種類も豊富です。

チャツネやコンディメント。

Babylonstorenのワインも。

サイダー。リンゴの種類と発酵の時間で味と色が違うのだそう。

ジャムやプリザーブも。

リンゴのジンもありました。
ホーム&ガーデンのショップもあります。

ガーデニング用品。日本のブランド「Niwaki」の製品です。


ライフスタイル全般をサポートする、上質の商品が美しくディスプレイされています。

今回はツアーでしたが、事前にオンラインでピクニックをオーダーすることもできます。
お買い物も済ませ、家族にお土産も買ったので、そろそろ帰途につきます。
ロンドン・パディントン駅へ向かう電車に乗り込む前に、アフタヌーンティーのボックスをいただきます。

まずは、ノンアルコールのカクテル。オレンジとローズマリーって意外に合うのですね。

こちらが、アフタヌーン・ティー・ボックスに入っていたもの。スモーク・トラウトとホースラディッシュ・クリーム、ビートルートとハーブ・ドレッシングのオープン・サンドウィッチ。キャロットケーキ、そしてスコーン&クロテッド・クリーム。ランチをしっかり食べ過ぎで、お腹が空いていなかったので、このままお持ち帰りにしました。
実は、帰りの電車の中でも、ワインをいただきました。ランチに白をいただいたので、今回はロゼ。再びスタッフの方が何度もトップアップに来てくれるのですが、これ以上飲むと、パディントン駅から北ロンドンの自宅までの電車の中で寝てしまいそうでしたので、我慢(笑)

パディントン下車直前に、またお土産をいただきました。チョコレートと種です。種は、Borago officinalis(ルリジサ)とQueen Anne’s Lace(人参のような根野菜)です。
定刻の17時30分にパディントン駅に到着。今回、お世話をしてくれたザ・ニュートのスタッフにお礼を告げて、そのまま解散。北ロンドンの自宅に戻りました。

帰りの電車の中では満腹だったのに、家に着いたら急にお腹が空いてきたので、アフタヌーンティー・ボックスに入っていたスコーンを食べました。バターが香り高く、クロテッドクリームをたっぷり塗って。自宅で紅茶を淹れ、ほっとひと時の極上の時間でした。

お土産を家族に披露。とは言っても、すべては私の胃の中に入るのですが……。

サイダー(左)はテイスティングでいただいたものを購入。少しピンクかかったこの美しいDabinett Cyderは、ミディアム・ドライですが、少し苦みがあり、なかなか珍しいお味でした。右の白ワインは、ランチでいただいたCandide。飲みやすかったので家族とシェアします。
実は、重たい瓶やボトルのお土産をうんせうんせと北ロンドンの自宅まで持ち帰ったのですが、宅配もしてくれるようです。少し買い足りなかったなあ、と後悔していたので、早速オンラインでサイダーとワインを箱買いしてしまいました。ロンドンでは手に入らないので、夏のお呼ばれの手土産にぴったりだと思って。届くのが楽しみです!

こちらは、日帰りツアーのお値段とパッケージに含まれているもの。今回の4本の記事を見ていただければ分かるように、現地でお支払いしたのはお土産のみ。しかも、このツアーに参加すると、The Newt in Somersetの年間メンバーシップが無料でついてきます。私もすぐにメンバーシップに登録しました。近いうちにまた戻れるといいなあ。都会の喧騒からしばし離れて、ゆっくりとガーデンを歩き、地元産の美味しい食事に舌鼓。贅沢な時間ですが、たった1日でリフレッシュできで、また明日から頑張れる、と思える素敵な旅でした。

ザ・ニュート・ホテル・エステイトはサマセット州にあるので、ここに宿泊して、ベースにすれば、グラストンベリーやバースなど、他のサマセット州の町や村にもアクセスしやすいので、そのようなプランも立ててみようかな、と思案中です。
ガーデンや森を散策しますので、歩きやすい靴で行くことをおススメします。
これにて、The Newt in Somersetへの日帰りツアー『Great Garden Escape』レポートは終了です。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ニュート(The Newt in Somerset)とは?

ニュート(The Newt in Somerset)は、イングランド南西部サマセット州にある世界的に注目されているラグジュアリーホテル・エステートです。2019年に開業したこの施設は、17世紀に建てられたジョージアン様式の邸宅(ハドスペン・ハウス)を中心とした、まさに「村」のような規模を持つ宿泊施設として知られています。
圧倒的なスケールと自然環境

ニュートの最大の特徴は、その800エーカー(約4平方キロメートル)という広大な敷地です。この敷地内には美しい庭園、農場、果樹園、森林地帯が広がり、ゲストは自然豊かな環境の中でゆったりとした時間を過ごすことができます。
ホテル名の「Newt(ニュート)」は、敷地内に生息する希少種のイモリ約2,000匹に由来しており、現オーナーのホブハウス家が長年にわたってこれらのイモリを保護してきたことに敬意を込めて名付けられました。
世界的な評価

開業からわずか数年で、ニュートは数々の国際的な賞を受賞しています:
– 2023年「世界のベストホテル50」第37位
– 「Carlo Alberto Best Boutique Hotel Award 2023」受賞
– 『Condé Nast Traveler』Gold List選出
– 2025年「Southwest England’s Hotel of the Year」受賞
多彩な施設とアクティビティ
庭園と農場

数世紀にわたって専門家が管理してきた「園芸の聖地」として知られる庭園では、バロック様式からビクトリアン様式まで、イギリスの庭園史を辿ることができます。レストランで使用される野菜や果物、ハーブを育てる菜園も併設されています。
スパとウェルネス

ドライサウナ、スチームサウナ、大理石を贅沢に使ったハマム(トルコ式浴場)、プールなどの充実したスパ施設を完備しています。
レストランとダイニング

敷地内で採れた新鮮な野菜を使った料理を提供するレストランや、薪料理を楽しめる「ファームヤード・キッチン」、英国式アフタヌーンティーを味わえるカフェなど、多様なダイニングオプションがあります。
アクセス方法
| 交通手段 | 最寄り駅・バス停 | 路線名 | 徒歩での所要時間(目安) |
|---|---|---|---|
| 鉄道 | キャッスル・キャリー駅(Castle Cary) | ロンドン・パディントン駅発 グレート・ウェスタン・レイルウェイ |
専用バスで約10分 |
| 車 | ニュートへ直接アクセス | ロンドンから約2時間30分 (途中ストーンヘンジ・バース経由可) |
駐車場から徒歩すぐ |
| 専用バス | キャッスル・キャリー駅 | ニュート専用送迎バス | バス停から徒歩すぐ |
ニュートは単なるホテルを超えた、イギリスの歴史と自然、サステナブルな農業、職人によるものづくりを大切にする総合的なエステート体験を提供する施設として、世界の富裕層や旅行愛好家から高い評価を受けています。
■近藤麻美
99年に渡英。英国のニュース、海外ドラマ、イギリス生活、食、教育、音楽、映画、演劇、歴史、ファッション、アートなど、英国にまつわる文化の多岐に渡る記事を執筆している。
linktr.ee/mamikondohartley
ご連絡は、mamikondohartley@gmail.comまで。
X:https://x.com/mami_hartley
Instagram:https://www.instagram.com/mamimoonismine
note:https://note.com/mamikondo_london
Link
https://thenewtinsomerset.com/
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