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ロンドンにフェルトの「チッピー」がオープン『The Bourdon Street Chippy』
ロンドン在住のフリーランスライター、近藤麻美さんによるロンドンを中心に英国にまつわるカルチャー全般を現地から発信する連載「近藤麻美のカルチュラル・ウォーク in London」の第7回目を公開! 今回はとてもユニークな「チッピー」(フィッシュ&チップス)ショップをご紹介します。
こんにちは。ロンドン在住の近藤麻美です。
英国は8月末のバンクホリデーも終了し、夏休みも終わりに近づいています。子供、学生たちは、新学年への準備を整えています。
さて、先日、メイフェアのLyndsey Ingramで開催されている、『The Bourdon Street Chippy』に足を運んできました。
「ブルドン・ストリート・チッピー」は、本物のフィッシュ&チップス店ではなく、英国人アーティスト、ルーシー・スパロウによる没入型アート・インスタレーションです。ここに展示されているすべてのものが、なんとフェルトやファブリックで出来ているのです。

Lucy Sparrow(ルーシー・スパロウ)は、1986年7月8日、バース生まれ。フェルトやウールを用いたソフト・スカルプチャーで、日用品や小売店舗などの再現を行うコンテンポラリー・アーティスト。特に、スーパーマーケットやコーナーショップ、薬局などをフェルトで再構築する大型インスタレーションで知られています。
これまでも、ロンドンのHoxton Gallery「Imitation」でダミアン・ハーストやアンディ・ウォーホル、バンクシーなどのアートワークを布で再現した作品のエキシビションを開催したり、「The Cornershop」(2014年)では、東ロンドンの廃店を舞台に、フェルトで再現した4,000点以上のコンビニ再現インスタレーションを展示し、大きな話題に。彼女の作品は、消費社会、日常性、小売り文化をユーモアと皮肉をもって再構築し、ポップアート的な魅力も併せ持つ作風として評価されています。

ハインツのケチャップ、サラダクリーム、モルト・ビネガー。さらに「Reserved(予約テーブル)」のサインもフェルトでできている。

赤の格子柄のフロアにベンチ・シートは青のファブリック。テーブルクロスまでギンガムで本物のチップ・ショップの店内のよう。

奥にはカフェのメニューボード。なかなかの品揃え。

メニューボードの奥に進むと……

狭い通路には、ノーティス・ボードが(笑)。

猫のお世話や、ホーム・クリーニング、修理のオファーまで、ローカル・ショップにあるコミュニティ掲示板をそのまま再現。リアリティー満載。

メニューをいただきました。そう、ここの展示品はすべて購入可能なのです。
さらに奥の部屋に進むと、オーダー、持ち帰り出来るカウンターがありました。

ガラスケースの中に、揚げたて(!?)のフィッシュが。
店内は本物のチッピー・ショップを彷彿とさせる青い照明で照らされており、油の匂いやフライヤーの熱までもが伝わってきそうです。

バター(衣)のサクサク感がみごとに再現されています。

ソーセージの縮み具合もパーフェクト。奥には、マッシ―・ピーとパイまでもが並び、オーダーが入るのを待っています。

壁一面には、HPソース、ハインツ・ケチャップ、ヘルマンズ・マヨネーズ、サーソンズ・ビネガー、コールマンズ・マスタード、タルタルソースといった調味料のボトルが床から天井までびっしりと並んでいます。
ドリンクも充実。

コカ・コーラにペプシにファンタまで種類も豊富。

食品衛生に関する表示にアレルギー対応の案内まで。

持ち帰り用の木のフォークや小分けのビネガー。

瓶に入っているのは、酢漬けの卵、オニオン、ガーキン(ピクルス)。

バナナ型の「濡れた床に気を付けて!」の標識までもが、フェルトで作られています。
壁に飾られた有名人のポートレートはなんとサイン入り(笑)。

マイケル・ケインにジョージ・マイケル。ノエル・ギャラガーにエイミー・ワインハウスまで。

お気に入りはジャーヴィス・コッカ―。イマイチ似てないけど(笑)。
フィッシュアンドチップスから調味料、そして布で作られた有名人の顔のギャラリーまで、65,000点以上のフェルト作品で満たされた、実物大のチッピーは、ノスタルジックで遊び心のある展示会となっています。
















没入型インスタレーション『Bourdon Street Chippy』は、Lyndsey Ingram Gallery(住所:20 Bourdon Street, Mayfair, W1K 3PJ)で展示されています。8月1日(金)から9月14日(日)までの水曜日から日曜日の11時から16時まで、入場は無料です。
■近藤麻美
99年に渡英。英国のニュース、海外ドラマ、イギリス生活、食、教育、音楽、映画、演劇、歴史、ファッション、アートなど、英国にまつわる文化の多岐に渡る記事を執筆している。
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ご連絡は、mamikondohartley@gmail.comまで。
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