露口茂さん追悼：『シャーロック・ホームズの冒険』全41話を11月2日から特別放送

2025年4月28日に93歳で逝去した俳優・露口茂さんを偲び、ミステリーチャンネルが『シャーロック・ホームズの冒険』全41話の追悼放送を11月2日（日）から2日間にわたって実施。英国の名優ジェレミー・ブレットとのコンビで日本に愛され続けた不朽の名作が、特別編成で蘇ります。

露口茂さん逝去とミステリーチャンネルの追悼放送決定

2025年9月1日、俳優・露口茂さんが4月28日に享年93歳で逝去していたことが報じられました。露口さんは、英国グラナダTV制作の『シャーロック・ホームズの冒険』でジェレミー・ブレット演じるシャーロック・ホームズの日本語吹替を担当し、その知的で冷静、かつ渋みのある声でファンの心を捉え続けた名声優でした。

ミステリーチャンネルは露口さんの功績を称え、11月2日（日）6時から2日間にわたって『シャーロック・ホームズの冒険』全41話の追悼放送を実施することを発表しました。11月3日はジェレミー・ブレットの誕生日でもあり、ホームズを演じた日英ふたりの名優の功績を同時に称える特別な企画となります。

ミステリーチャンネルの追悼コメント

ミステリーチャンネル公式では「露口茂さんのご冥福を祈り、11月2日と11月3日の2日間にかけて『シャーロック・ホームズの冒険』全41話を追悼放送いたします。ホームズを演じた日英ふたりの名優の功績を称えるとともに、感謝を申し上げたいと思います」とコメントしています。

放送スケジュールと詳細内容

追悼放送は11月2日（日）6時から開始され、2日間にわたって全41話が放送されます。リマスターHD版の美しい映像で、グラナダTV版『シャーロック・ホームズの冒険』の全エピソードを楽しむことができます。

視聴方法

ミステリーチャンネルは、スカパー！、J:COM、ひかりTV、auひかり、全国のケーブルテレビでの視聴が可能です。スカパー！での視聴を希望する場合は、CS161/QVCを選局してスカパー！が映ることを確認し、B-CASカードを準備してWebから簡単に加入申し込みができ、申し込み後約30分で視聴可能になります。

特別編成の意義

今回の追悼放送は単なる再放送ではなく、露口茂さんとジェレミー・ブレットというふたりの偉大な俳優への敬意を表す特別企画です。11月3日がジェレミー・ブレットの誕生日と重なることで、より感慨深い放送となることでしょう。

ジェレミー・ブレット版『シャーロック・ホームズの冒険』の魅力

1984年から1994年にかけて英国グラナダTV（ITV）で制作された『シャーロック・ホームズの冒険』は、アーサー・コナン・ドイル原作の小説を最も忠実に映像化した作品として評価されています。ジェレミー・ブレットの演じるホームズは「真のホームズ」と絶賛され、ホームズ映像化作品の金字塔とも呼ばれています。

原作への忠実性

本作の最大の特徴は、コナン・ドイル原作への驚異的な忠実性です。シドニー・パジェットによる挿絵に最も近いヴィジュアルを再現し、原作の雰囲気を完璧に表現しています。セットや衣装、小道具に至るまで、ヴィクトリア朝ロンドンの世界観を細部まで再現した制作陣の努力が、作品の完成度を押し上げています。

ジェレミー・ブレットの卓越した演技

舞台の名優でもあったジェレミー・ブレットは、エキセントリックかつ紳士という複雑なホームズ像を見事に表現しました。その類いまれな運動能力も話題となり、乗馬やソファを飛び越える動作、壁をよじ登るシーンなど、魅力的なアクションシーンも数多く撮影されました。

露口茂さんが築いた日本のホームズ像

露口茂さんの吹替は、単なる声の当て替えを超えた芸術的な表現でした。ジェレミー・ブレットの知的で冷静な演技に、露口さんの渋みのある格調高い声が完璧にマッチし、「ホームズといえば露口茂」と言われるほどの当たり役となりました。

声優としての功績

露口さんの声は、ホームズの持つ複雑な人格─知的でありながらエキセントリック、冷静でありながら情熱的─をみごとに表現していました。その結果、日本の視聴者にとって露口版ホームズは、まさに「真のシャーロック・ホームズ」として心に刻まれることとなりました。

後継への配慮

後にDVD完全版が発売された際、露口さんが引退状態であったため、NHK放映版でカットされた部分は諸角憲一さんが担当しました。これは露口さんの健康状態への配慮と、作品の完全性を両立させる配慮深い判断でした。

英国グラナダTVが生んだホームズドラマの金字塔

グラナダTV版『シャーロック・ホームズの冒険』は、英国テレビドラマ史上においても特別な位置を占める作品です。1982年にプロデューサーのマイケル・コックスからジェレミー・ブレットに出演依頼があった際、ブレット自身も古典的な役の重圧と制作費の莫大さに躊躇していました。

制作への情熱

しかし、原作をじっくり読む機会を得たブレットは、コナン・ドイルが描いたホームズの魅力に引き込まれるようになりました。数ヶ月後の再依頼時には、ホームズを演じる強い決意を固めていました。この真摯な姿勢が、後の名演技につながったのです。

未完に終わった夢

残念ながら、ジェレミー・ブレットが撮影途中で体調を崩し、1995年に心不全で逝去したため、原作すべてを映像化するという夢は叶いませんでした。しかし、完成した41話は今なお世界中のホームズファンに愛され続けています。

© ITV PLC

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