UK映画『ガスト・アップ』が12月12日公開、ロンドンのスクーターギャング描く青春クライムアクション

『ガスト・アップ』メインスチール

ロンドンのスクーターギャングを題材にした英国映画『ガスト・アップ』(原題:GASSED UP)が、2025年12月12日(金)よりシネマート新宿他にて全国順次公開。本作は2017年以降に急増したロンドンのスクーター犯罪を背景に、生活のために窃盗を繰り返す若者たちの葛藤と疾走を描く青春クライムアクションです。




スクーターギャングの犯罪急増とその背景

『ガスト・アップ』場面写真01

イギリスでは2017年にスクーターやオートバイなどの二輪車を用いた、ひったくりや強盗を行う「スクーターギャング」と呼ばれる集団の犯罪が急増しました。現在でも電動バイクによるスマートフォン窃盗やひったくりは深刻な社会問題となっており、移民や貧困、家庭環境といった複雑な背景のもと、若者たちが犯罪に駆り立てられる現実が存在します。本作は、こうした社会問題をUKヒップホップのビートとともに鋭い視点で描き出す作品です。



BFIロンドン映画祭で観客賞を受賞

『ガスト・アップ』場面写真02

監督を務めるのは、ドキュメンタリー作品で高い評価を得てきたジョージ・アンポンサです。2011年のイギリス暴動のきっかけとなった警察によるマーク・ダガン射殺事件を扱った『The Hard Stop』や、『Black Power: A British Story of Resistance』で英国アカデミー賞ノミネートを果たすなど、社会的テーマを真正面から描き確かな手腕を発揮してきました。本作で長編劇映画のメガホンを初めて取り、第67回BFIロンドン映画祭では観客賞を受賞する快挙を果たしています。



注目のキャストとスタッフ陣

『ガスト・アップ』場面写真03

主演はイギリスのギャングたちを描いたクライムドラマ『ブルー・ストーリー』で知られるステファン・オドゥボラが務めます。Netflix『ONE PIECE』のサンジを演じ一躍注目を集めたタズ・スカイラーがスクーターギャングのひとりを演じるとともに、アーチー・マドックスと共同で脚本を執筆。さらに2023年ユーロヴィジョン・ソング・コンテストUK代表に選出された歌手メイ・ミュラーなど、気鋭のニューアイコンたちがリアルな若者像を体現しています。ゲスト出演では世界的ラッパーのニッキー・ミナージュに注目されたMs Banks、YouTuberのハリー・ピネロも登場し、作品にリアリティと話題性を添えています。



UKヒップホップが彩る疾走感

Benzzの楽曲「Je M’appelle」をバックに爽快にバイクが走り、幕を開ける本作では、エレクトロニック・ダンスデュオJoy (Anonymous)のヘンリー・カウンセルが作曲した劇伴が使用されています。Aitch、Digga DによるUKドリルやグライムなど、イギリスのストリート発の音楽が物語を彩り、シアターを揺り動かします。ロンドンの街を舞台にした本作は、犯罪映画の枠を超えて愛や忠誠心、そして生き抜くことについての物語へと変化していく点が特徴です。



公開された日本版ビジュアルと予告編

今回公開された日本版メインビジュアルは、ロンドンの現代的な高層ビル群を背景に、アッシュ、ダブズ、ローチ、カブズ、モールの5人のスクーターギャングが並ぶ、彼らの表情が印象的なデザインです。予告編には本編冒頭で印象的に使用されるBenzzの「Je M’appelle」が重なり、疾走感あふれるバイクアクション、犯罪の緊張、若者たちの葛藤や欲望が交錯する世界を力強く演出しています。「やり切ればなんでも手に入る」という甘い言葉がささやかれたあと、宝石店で強盗をする様子が映し出され、指示役のシャズから「どんな方法でもいい、仕事は完遂するのよ」と迫られるアッシュたちの姿が描かれています。



監督のコメントと作品への思い

公開決定に際し、監督のジョージ・アンポンサから動画コメントが到着。監督は「日本で『ガスト・アップ』が公開されることに、とてもワクワクしています。私にとって長い旅のようでした。ドキュメンタリー制作から始まり、本作が初めての劇映画です」と語っています。「大きな挑戦ではありましたが、物語における“真実味”や“リアリティ”といった学んできたすべてを、新たな映画表現の領域へと昇華させる機会にもなりました」と述べ、キャストやスタッフのエネルギー、創造力、献身が作品に命を吹き込んでくれたと感謝を示しました。

監督はさらに「スリルと犯罪を描く映画として始まった本作は、次第に、愛や忠誠心、そして生き抜くことについての物語へと変化していきました。それをスクリーンの中にしっかりと映し出せたことを、とても誇りに思っています」とコメントしています。



ストーリーとキャスト・スタッフ情報

『ガスト・アップ』場面写真04

早くに父親を亡くした20歳の青年アッシュ。精神的に苦しむ母を助けるため、そして、まだ幼い妹を支えるために、必要なのはとにかく金。アッシュはアルバニア系犯罪組織の強盗チームに所属し、リーダーのダブズ、親友のローチとともにバイクで街を駆け抜けながら、人々の貴重品を奪う日々を送っていた。

ある日、叔父が営むバイク店が次の標的に決まり、アッシュの心は強く揺れ動く。──真っ当な方法で稼ぎたいという思いと、すぐに稼げる“汚い金”の甘い誘惑。報酬が膨らむにつれて“仕事”の危険度も増し、アッシュたちは組織の闇に深く絡め取られていく。

友と家族か、それともスリルと欲望に満ちた危険な世界か。究極の選択を迫られた、アッシュが選ぶのは──?

 

『ガスト・アップ』メインヴィジュアル

 

監督
ジョージ・アンポンサ
脚本
アーチー・マドックス、タズ・スカイラー
出演
ステファン・オドゥボラ、タズ・スカイラー、スティーヴ・トゥーサント、クレイグ・ミドルバーグ、イェレナ・ガヴリロヴィッチ、メイ・ミュラー
作品情報
2023年 / イギリス映画 / 英語 / 原題 : GASSED UP
公開日
2025年12月12日(金)よりシネマート新宿他にて全国順次公開
配給
ライツキューブ

©GASSED LIMITED 2023



社会問題を映す青春クライムアクションの意義

『ガスト・アップ』場面写真05

本作は単なるクライムアクション映画ではなく、現代イギリスの社会構造が抱える課題を浮き彫りにする作品です。2017年以降、ロンドンで実際に急増したスクーター犯罪は、移民の社会的統合や貧困層の拡大といった英国が直面する問題と密接に関連しています。アンポンサ監督がドキュメンタリー制作で培った“真実味”を劇映画に持ち込むことで、若者たちが犯罪に手を染める背景に迫り、観客に新たな対話のきっかけを提供します。

UKヒップホップやドリル、グライムといったストリート発の音楽文化と結びつけることで、若者たちのリアリティを多層的に描いている点も注目されています。本作の公開により、日本の観客も英国の社会問題に触れ、現代都市が抱える普遍的なテーマについて考える機会となるでしょう。

 

Link

https://x.gd/GassedUp_movie

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