ブリストルがロンリープラネット「ベスト・イン・トラベル」トップ50に英国唯一の都市として選出、ストリートアート評価

ブリストル

世界的な旅行ガイド出版社ロンリープラネット(Lonely Planet)は2025年10月21日(月)、「Best in Travel 2026」を発表し、ブリストル(Bristol)を世界のトップ50旅行先のひとつに選出。ブリストルは英国で唯一選ばれた都市で、ヨーロッパ最高峰のストリートアートシーンが評価されました。




世界トップ50入りの理由

Bex Glover, Lucas Antics, Zoe Power, Gemma Compton, Sophie Long and Ejit - Six Sisters - Credit Hannah Judah

Photo: Hannah Judah

ブリストルが選出された最大の理由は、ヨーロッパ最高峰と評されるストリートアートシーンにあります。ロンリープラネットは「英国のどの都市もブリストルほど都市景観をキャンバスとして活用していない」と評し、「ヨーロッパのどこにもない最高のストリートアート」を有する都市として高く評価しました。世界で最も有名で謎に包まれたストリートアーティストであるバンクシー(Banksy)の生誕地として知られ、市内の壁面にはバンクシーや数百人の国際的に著名なアーティストによる鮮やかな壁画が描かれています。

Upfest 2022

ロンリープラネットのトム・ホール(Tom Hall)氏は「ブリストルには世界レベルのストリートアートシーンがあります」と述べ、「街中に点在する鮮やかな壁画を巡ることで、ストリートアート文化が根付くブリストルの街を体感できます」と説明しました。Best in Travel 2026は2025年10月21日(月)に発表され、世界25の訪問先と25の体験を厳選したリストで構成されています。



地元関係者のコメントと経済効果

Arnolfini credit Jamie Woodley (2)

Photo: Jamie Woodley

ブリストル市議会のリーダーであるトニー・ダイアー(Tony Dyer)氏は「これは観光部門にとって素晴らしいニュースであり、世界における都市のプロフィールを高めることになります」とコメントし、「多様なコミュニティが共に暮らし、働き、創造している都市では、公共空間や私有空間に新しい感情や声の表現を生み出すことは驚くべきことではありません」と述べました。Visit WestのCEOであるキャサリン・デイヴィス(Kathryn Davis)氏は「常に変化する屋外のギャラリーは毎年世界中から何千人もの訪問者を引き付け、地域の観光経済を大きく押し上げています」と説明しました。この受賞により、ストリートアートツアーやワークショップ体験、ストリートアートをテーマにしたホテルなどの関連事業への需要増加が見込まれます。



ブリストルのストリートアート文化と主要作品

Blackbeard 2 Banksy tour

 

Banksy - Paint Pot Angel - Credit Bristol Museum and Art Gallery (1)

 

©Bristol Museum and Art Gallery

Banksy - The Grim Reaper - Credit M Shed Museum

©M Shed Museum

ブリストルの市壁にはバンクシーの代表作が複数現存しており、ストークス・クロフト(Stokes Croft)地区にある「マイルド・マイルド・ウェスト(Mild Mild West)」は1999年に制作された作品で、テディベアが火炎瓶を投げる衝撃的なモチーフが特徴です。パーク・ストリート(Park Street)にある「ウェル・ハング・ラヴァー(Well Hung Lover)」は不倫現場を描いたユーモラスな作品として知られ、ブリストル市立博物館・美術館(Bristol Museum and Art Gallery)には「ペイント・ポット・エンジェル(Paint-Pot Angel)」、M Shed博物館には「グリム・リーパー(The Grim Reaper)」が永久展示されています。ロンリープラネットは「ブリストルは今、注目の都市です。放置されていたドック地区はレジャー施設に生まれ変わり、歴史的建造物は想像力豊かに活用され、世界レベルのストリートアートシーンが街に彩りを添えています」と評しました。クリフトン吊り橋(Clifton Suspension Bridge)やブルネルのSSグレート・ブリテン号(Brunel’s SS Great Britain)などの歴史的名所に加え、街中に散りばめられた色鮮やかな壁画が訪問者を魅了し続けています。



ストリートアート体験とイベント情報

Where The Wall Street Art Tour John Tour - mural The Duel by Conor Harrington

ブリストルではストリートアートツアーが充実しており、ストリートアートツアー運営団体のウェア・ザ・ウォール(Where the Wall)が主催するブリストル・ストリート・アート・ツアー(Bristol Street Art Tour)は毎週土曜日に開催され、バンクシーのメンターとして知られるジョン・ネーション(John Nation)氏がガイドを務めます。同氏はグラフィティの教父(Godfather of Graffiti)と呼ばれ、1980年代から現在までのブリストルの創造文化を解説しています。2026年にはヨーロッパ最大のストリートアートフェスティバルであるアップフェスト(Upfest)が開催予定で、過去のイベントではベッドミンスター(Bedminster)地区の壁面に大規模壁画がライヴペイントされ、170点の作品が一般公開されました。また、2026年2月には光のアートフェスティバル、ブリストル・ライト・フェスティヴァル(Bristol Light Festival)が開催され、市内各所に体験型インスタレーション作品が展示される無料の芸術祭として、2025年のイベントでは27万5000人の来場者を記録しました。



ストリートアートをテーマにしたホテルと飲食店

Moxy Bristol Sign CREDIT Christopher Baker

Photo: Christopher Baker

Moxy Bristol Seating Area CREDIT Christopher Baker

Photo: Christopher Baker

ブリストルでは建物の内装にもストリートアートが採用され、ストークス・クロフト地区に位置するモクシー・ブリストル・ホテル(Moxy Bristol Hotel)はルーカス・アンティックス(Lucas Antics)、ボー・ラニオン(Bo Lanyon)、ドクター・マイルズ・ジェイ・リントン(Dr Myles-Jay Linton)、ローレンス・フー(Lawrence Hoo)とチャールズ・ゴールディング(Charles Golding)の4人の地元アーティストによる壁画を展示しています。市中心部のクレイトン・ホテル・ブリストル(Clayton Hotel Bristol)は著名なグラフィティアーティストのインキー(Inkie)に作品を依頼し、ラディソン・ブル・ブリストル(Radisson Blu Bristol)もインキーによる「ブリストル650(Bristol 650)」の壁画を正面玄関に配置しました。

飲食店ではハーバー・ハウス(Harbour House)が注目で、2000年にバンクシーが初個展を開催した場所として知られ、港に面したカラフルな家並みを眺めながら食事ができます。ストークス・クロフトのナドゥ(Nadu)はバンクシーのマイルド・マイルド・ウェスト壁画を望むスリランカ料理店で、近隣のビブロス(Biblos)は2015年のバンクシーのディズマランド(Dismaland)展示会で公式ケータリングパートナーを務めた実績があります。



文化観光都市としての地位強化

Upfest 2022

ブリストルのロンリープラネット選出は、ストリートアートが単なる視覚的魅力にとどまらず地域経済に直接的な影響を与える文化資源として機能していることを示しています。グラフィティワークショップを提供する団体グラフト(Graft)は元警察署の独房を会場に使用し、参加者はスプレー缶やステンシル技術を学びながら自作のグラフィティアートをキャンバスボードに制作できます。2026年にはウェア・ザ・ウォールがグラフィタチュード(Graffititude)と呼ばれるグラフィティスタイルライティングワークショップを新たに開始する予定で、教育的側面も強化されます。

ロンリープラネットの推薦により、ブリストルは英国国内だけでなく世界市場における文化観光都市としての地位を一層強固にする見込みです。ベッドミンスター地区のレストラン、コー(COR)はミシュランガイド2025でビブグルマンを獲得した地域密着型の名店で、外壁にストリートアート作品が描かれており、飲食業界の質的向上も進んでいます。

 

Link

https://visitbristol.co.uk/

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