映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』予告編解禁、シアーシャ・ローナンの髪色で表現する心の変化に注目

シアーシャ・ローナン主演＆プロデュースによる映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』の日本語字幕付き予告編が公開。アルコール依存症から回復する主人公ロナの心の変化を、様々な髪色で視覚的に表現している点が最大の見どころです。2026年1月9日（木）より新宿ピカデリーほか全国順次公開となる本作は、スコットランド・オークニー諸島の雄大な自然を舞台に、都会生活から島生活への移行を描く再生ドラマです。

髪色の変化が物語る再生への道のり

今回解禁された予告編映像では、シアーシャ・ローナン演じるロナの髪色が場面ごとに大きく変化する演出が特徴的です。青、オレンジ、ブロンドと変わる髪色は、単なる時系列の表現だけでなく、主人公の心の移ろいと再生への過程を象徴的に描いています。ノラ・フィングシャイト監督は英国メディアDigital Spyのインタビューで、「青はオークニー諸島を、オレンジはロンドンを表現するために意図的に使用した」と説明しています。この演出は原作者エイミー・リプトロットの回想録に基づいており、彼女が実際に眉毛を赤く染めたエピソードなどから着想を得ています。

予告編では、アルコール依存症からの回復過程で、新しい自分を受け入れようとするロナの姿が描かれています。酒癖の悪さで恋人を失い、90日間のリハビリプログラムを経て断酒生活を始めた彼女が、禁酒の苦しみと向き合いながら変化を受け入れていく様子が、髪色の変化として視覚化されているのです。

都会から島へ七変化する主人公

★おくびょう鳥が歌うほうへ／メイン

ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナは、自由と刺激を求めて大都会の夜の世界へ傾倒し、やがてアルコールへの依存に変わっていきます。人間関係を壊し、心身をも蝕む日々の末、恋人との別離、暴力的な体験、入院を経験し、人生が限界を迎えた彼女は依存症の治療施設に入所します。90日間のリハビリプログラムを経て断酒生活を開始したロナが向かったのは、かつて自身が育ったスコットランド北部のオークニー諸島でした。

おくびょう鳥が歌うほうへ／サブ6

予告編では、都会生活から島生活への移行における主人公の「七変化」が印象的に描かれています。野鳥保護団体に勤務し、朝晩の決まった時間にフィールドワークへ出て、稀少種であるウズラクイナの鳴き声を聴き取るという地道な作業に従事する姿が映し出されます。誰とも会話を交わさない孤独な時間の中で、彼女は少しずつ自らの内面と対話を重ね、自然と向き合いながら静かな再出発を図ります。

自然界隈にも響く再生の物語

おくびょう鳥が歌うほうへ／サブ4

予告編映像では、スコットランド・オークニー諸島の厳しくも雄大で美しい自然が印象的に映し出されています。都会生活のアルコールで麻痺していた思考や肉体感覚が、オークニー諸島の冷たい海と荒れ狂う風の中で甦る様子が描かれており、昨今注目の「自然界隈」にも響く内容となっています。近年、自然と触れ合うことで依存症や精神的な問題からの回復を図る取り組みが注目されており、スコットランドでは自然を活用した依存症回復プログラムの効果を検証する研究も行われています。

おくびょう鳥が歌うほうへ／サブ1

本作の撮影は『システム・クラッシャー』でも担当したユヌス・ロイ・イメールが手がけ、オークニー諸島の自然美を繊細に捉えています。編集はシュテファン・ベヒンガーが担当し、断片的で混濁した主人公の内面世界を丹念に描き出す構成が評価されています。静かでありながら力強い表現が観る者の心を深く揺さぶる再生の物語として完成しました。

高い評価を受ける演技と演出

おくびょう鳥が歌うほうへ／サブ5

シアーシャ・ローナンは本作で、キャリア最高峰とも言える成熟した深みと圧倒的な内面性をたたえた演技を披露し、アイルランド映画テレビアカデミー賞（IFTA）で主演女優賞、ロンドン映画批評家協会賞でブリティッシュ／アイリッシュ演技賞ほか数々の主演女優賞を受賞しています。米TIME誌は「シアーシャ・ローナンの表情は、常に何かの答えを探しているように見える。どんな感情も決して終わらず、常に流動している」と評し、AP Newsは「シアーシャ・ローナンの演技は、拡大鏡を覗き込むようだ──すべてが鮮明に、鋭く、より精密になる」と絶賛しています。

おくびょう鳥が歌うほうへ／サブ2

本作は英国インディペンデント映画賞（BIFA）で9部門（作品賞、脚本賞、監督賞、主演俳優賞、撮影賞、編集賞、ヘアメイク賞、音楽賞、音響賞）、英国アカデミー賞（BAFTA）で2部門（英国作品賞、主演女優賞）にノミネートされ、批評サイトRotten Tomatoesでは82%の高評価を獲得しています。米国では2024年10月4日に限定公開され、初週末興行収入は約31万5000ドルを記録しました。

公開情報

監督: ノラ・フィングシャイト
脚本: ノラ・フィングシャイト、エイミー・リプトロット
脚色: エイミー・リプトロット、ノラ・フィングシャイト、デイジー・ルイス
原作: THE OUTRUN（エイミー・リプトロット著）
出演: シアーシャ・ローナン、パーパ・エッシードゥ、ナビル・エルーアハビ、イーズカ・ホイル、ローレン・ライル、サスキア・リーヴス、スティーヴン・ディレイン
作品情報: 2024年 / イギリス・ドイツ映画 / 英語 / 原題 : THE OUTRUN
公開日: 2026年１月9日（金）より新宿ピカデリーほか全国順次公開
提供: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
配給: 東映ビデオ