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Wiseが全銀システムに接続完了、外国企業・フィンテック企業として初の快挙で送金がどう変わる?
ロンドンに本社を置くグローバルフィンテック企業Wise(ワイズ)の日本法人ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社は2025年11月25日(月)、日本の決済システム「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への接続を完了したと発表しました。Wiseは英国企業として初、フィンテック企業として初、外国企業として初めて全銀システムに参加し、API経由で日本銀行と直接当座預金取引を開始します。これにより利用者は仲介銀行を経由せず、より速く安く海外送金ができるようになります。
外国企業として初の全銀システム接続で利用者に何が起きる?
今回のWiseによる全銀システム接続は、英国企業として初、フィンテック企業として初、外国企業として初という3つの「初」を達成する歴史的な出来事です。従来、海外送金には複数の仲介銀行が介在し、送金手数料、為替マージン、中継銀行手数料が重なることで数千円から数万円のコストが発生していました。Wiseは実際の市場レート(リアル為替レート)を使用し、隠れた手数料を排除することで、銀行より最大8倍安い手数料を実現しています。
全銀システムへの直接接続により、Wiseは日本銀行と当座預金取引を行い、仲介銀行を必要とせず日本の決済システムで独自に取引を決済できるようになりました。この結果、国内の円建て送金をほぼ即時に処理できるようになり、送金完了までの時間が大幅に短縮されます。利用者にとっては、より速く、より安く、より透明性の高い送金サービスを受けられることを意味します。
送金エラーを防ぐ口座名義確認機能を搭載
全銀システムへの接続により、Wiseは統合ATMスイッチングサービスを介した受取人名義の確認機能を利用できるようになりました。この機能は、受取人口座名義情報が銀行の記録と一致していることを事前に確認し、送金ミスを防ぐものです。特に日本では、カタカナでの名義入力において「ユウコ」と「ユウコウ」のようなわずかな不一致でも送金が遅延したり組み戻しが必要になることがあり、利用者にとって大きな負担となっていました。この新機能により、送金前に名義を確認できるため、エラー発生率が大幅に削減され、利用者は安心して送金できるようになります。
全送金の74%が20秒以内に到着、世界8カ国の決済システムと接続
Wiseは現在、日本の全銀システムを含む世界8つの国内決済システムに接続しています。接続済みの決済システムには、英国のFaster Payments System、欧州のSEPA、ハンガリー、シンガポールのFAST、オーストラリアのNPP、フィリピンのPesonetとInstapay、ブラジルのPixが含まれます。これらの直接接続により、Wiseで行われる全送金の74%が20秒以内に到着しており、これは5年前の33%から大幅に改善された数値です。
従来の国際送金では数日かかることも珍しくありませんでしたが、決済システムへの直接接続により処理時間が劇的に短縮され、緊急の送金や給与支払いなど、時間的制約のある取引にも対応できるようになりました。利用者は送金状況をリアルタイムで追跡でき、透明性の高いサービスを享受できます。
日本の金融市場のデジタル化を象徴する歴史的一歩
日本が資金移動業者に清算参加者として全銀システムへの参加資格を拡大したことは、G20が推進するクロスボーダー決済の改善を実行する数少ないG20加盟国のひとつとなることを意味します。Wiseの2025年G20レポートによれば、ノンバンクの内国決済システムへの直接接続で満点(5点)を獲得しているG20加盟国は現在8か国のみで、日本はこの牽引グループへの加入を果たしました。
Wiseのチーフバンキング・エクスパンションオフィサー、ディアナ・アヴィラ(Diana Avila)氏は「日本は、資金移動業者に決済システムへの参加資格を拡大するという大きな一歩を踏み出しました。全銀システムへの直接接続により、日本の消費者と企業はより有利な立場に置かれ、競争の促進に伴い、サービス品質の向上、信頼性の強化、そして最終的により良い価値を享受することができるでしょう」と述べています。この動きは日本の金融市場におけるデジタル化とオープン化を象徴する歴史的な一歩であり、今後の競争促進により利用者はさらに多様な選択肢と低コストのサービスを期待できます。
Wiseの実績と今後の段階的サービス展開
Wiseは2011年にサービス提供を開始し、現在、世界で最も急速に成長している高収益テクノロジー企業のひとつとして「WISE」の証券コードでロンドン証券取引所に上場しています。個人や法人の利用者は1,560万人を突破しており、2025年度の取引額は約1,850億ドル(約28兆5,700億円)を超え、利用者は約26億ドル(約4,015億円)を節約しています。利用者はWiseアカウントやWise Businessを通じて40種類以上の通貨を保有し、海外送金や海外での支払いに資金を使用できます。
ワイズ・ペイメンツ・ジャパンのカントリーマネージャー、勢井美香氏は「1年前、当社は全銀システムへの参加資格を取得しました。そして今日、システムとの接続を完了し、お客様の送金を直接処理できることを大変嬉しく思います」とコメントしています。Wiseは、全銀システムとの接続によるサービスを段階的に提供していく予定で、運用上の安定性とサービスの質を確保しながら、徐々に取引量を増やし、全面的な導入を進めていきます。
海外送金の選択肢が広がり利用者に恩恵
今回のWiseによる全銀システム接続は、日本在住の個人や企業にとって海外送金の選択肢が広がる重要な転換点です。従来の銀行送金に加え、低コストで透明性が高く、処理時間が短いフィンテック企業のサービスを利用できるようになることで、留学費用や海外での生活費の送金、越境EC事業者の決済、海外在住家族への仕送りなど、多様なニーズに対応できるようになります。銀行以外の事業者の参入により市場競争が促進され、既存の金融機関もサービス改善や手数料見直しを迫られる可能性があり、最終的には利用者全体に恩恵が及ぶことが期待されます。
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