ドキュメンタリー映画『ぼくの名前はラワン』が2026年1月9日公開、ろう者の少年が手話で世界を広げる物語

『ぼくの名前はラワン』場面写真01

イラク出身のろう者少年が英国のダービーで手話を習得し成長する姿を追ったドキュメンタリー映画『ぼくの名前はラワン』が、2026年1月9日(木)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。世界の映画祭で高評価を獲得し、アメリカのレビューサイトRotten Tomatoesでは100%フレッシュのスコアを記録しています。




イラクからイギリスへ、難民少年ラワンの軌跡

『ぼくの名前はラワン』場面写真03

本作の主人公は、イラク領クルディスタンで生まれた生まれつきろう者の少年ラワン・ハマダミンです。周囲からいじめられ心を閉ざしていたラワンのため、両親は5歳の時に難民として国外への移住を決意しました。危険な旅と難民キャンプでの過酷な経験を経て数ヶ月後、支援者の協力で一家はイングランド中部のダービーへ辿り着きます。

『ぼくの名前はラワン』場面写真02

ダービー王立ろう学校に通えることになったラワンは、自分を理解してくれる教師や友人と出会い、自分の意志でイギリス手話と口話を学び始めました。みるみる上達し「みんなと同じ」手話だけで生きていくことを選択しますが、幼い頃のトラウマ、家族とのコミュニケーション不全、難民認定のプレッシャー、そしてイギリス政府からの国外退去命令など、様々な困難が立ち塞がります。



監督が4年かけて撮影、自身も手話を習得

監督・脚本を務めたエドワード・ラブレースは、エドウィン・コリンズのドキュメンタリー映画『The Possibilities Are Endless』などでSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)やBFIロンドン映画祭などで高い評価を受けてきた映像作家です。2019年にラワンと対面し、コミュニケーションを求め殻を破ろうとする姿に心動かされた監督は、クルド人やろう者のプロデューサーらと撮影チームを組みました。

『ぼくの名前はラワン』場面写真04

製作過程で自身もイギリス手話を習得したというラブレース監督は、この映画の狙いについて「ありのままの自分を受け入れてくれる場所で、自ら選んだ言語を通して自己表現の自由を得たとき、何が起こるかを世界に伝えることだ」と語っています。4年もの年月をかけてイギリス手話や友情がラワンを成長させていく姿をカメラに収め、撮影監督ベン・フォーデスマン、音楽トム・ホッジと共に、少年の自由な頭の中と連動するダイナミックで抒情的な映像と壮大な音楽で描写しました。



宇多丸と齋藤陽道が絶賛のコメント

『ぼくの名前はラワン』場面写真05

一足早く本作を鑑賞したRHYMESTERの宇多丸氏は「社会の決めつけるマイノリティ的枠組みに押し込められてきた視野が、『自分のことば』の獲得を通じて爆発的に拡がってゆくプロセスを、まるで我がことのように体感させられる」と評価しました。写真家の齋藤陽道氏は「ひとりの少年が沈黙から言葉を紡ぎ出すに至る軌跡を見つめている。その視線が問いかける。言葉とは何か。伝えるとは何か」とコメントしています。

本作のキャッチコピーは「この世界は、きっと変えられる」と「僕にとって〈言葉〉は〈自由〉を意味するんだ」で、予告編ではラワンが教室で友人と楽しそうに手話を交わす場面や、風船に額を付けて振動で音楽を楽しもうとする姿が描かれています。場面写真には、幼いラワンが手話を習っている真剣な表情や、元気に走る場面などが収められており、まるで劇映画のような洗練された映像が本編全体に続きます。



先行上映を経て2026年1月に全国公開

『ぼくの名前はラワン』場面写真06

本作は2025年11月9日(日)に座・高円寺で開催された「手話のまち 東京国際ろう芸術祭2025」の招待作品として、また12月3日(火)には「第20回難民映画祭」(主催:国連UNHCR協会)でも特別先行上映されました。

お得な前売り券ムビチケオンラインは2025年11月21日(金)より発売され、2026年1月9日(木)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開されます。

公開情報

 

『ぼくの名前はラワン』ポスター

 

監督・脚本
エドワード・ラブレース
出演
ラワン・ハマダミン
作品情報
2022年 / イギリス映画 / クルド語・英語・イギリス手話(BSL) / 原題 : Name Me Lawand
公開日
2026年1月9日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給
スターキャットアルバトロス・フィルム

©Lawand Film Limited MMXXII, Pulse Films, ESC Studios, The British Film Institute

困難を乗り越え希望に向かう物語

『ぼくの名前はラワン』場面写真07

本作が描くのは苦境における絶望ではなく、困難の中でも成長し少年が明るい未来に向かって歩んでいく希望の物語です。兄はラワンとコミュニケーションを取るため手話を覚え始めますが、両親は息子の選択を危惧していました。イラクでは手話だけだと同等の人間として扱ってもらえないためです。手話を嫌がる両親にラワンの苛立ちは募りますが、難民申請をしていた一家に対する内務省の審査が始まる中、ラワンは自分のアイデンティティと居場所を見つけていきます。

日本では2025年11月に「東京2025デフリンピック」が初開催され、「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」なども行われました。こうした文化的催しを経て、ろう者と聴者がお互いの個性を活かした共生への関心が高まる中、本作が公開されます。国境や属性を超えて人々の心に刻まれるこの希望に満ちた物語は、自己表現の自由を得ることの意味を世界に伝えるでしょう。

 

Link

https://lawand-film.com/

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