英国の市井の人々と情景を15年間撮り続けた写真集『EXIT』が発売

2004年より15年間、イギリスの市井の人々と情景を撮り続けた写真集『EXIT』が発売に。

写真家の金 玖美が幼少の頃から思いを馳せたイギリス。20歳の時に初めてひとりで英国を訪れ、その10年後に暫時居住することになった彼女が2004年から2018年までの間、ロンドンを中心に撮影。国民投票後の2016年以降はドーヴァーやマンチェスターへも足を延ばして撮影したそうです。

 

 

国境やジェンダーを越えた人々と共生しながら撮影された写真には、現実とも空想ともとれる、未視感を憶える世界が広がっています。EUからの離脱を選択したことで英国の多文化、多民族への寛容さが失われることを金は憂慮し、本作の発表に至ったとのこと。

 

 

残留の一票を投じるために、家族を守るために、英国籍に変えたドイツ人男性。お金があればEU離脱なんてどっちでもいいと言う黒人青年。不法占拠を続け、その暁にフラットを自分のものにしたイギリス人画家。初めて会ったその日に、「家で子供を産むから写真を撮りに来ない？」と持ちかけてきた妊婦。EU離脱より日々の生活が心配だと嘆く若きシングルマザー……。被写体との距離感には、親密さの度合いに関わらず俯瞰的な視点が含まれています。だからこそあえて時系列に沿わずに写真を並べ、そこに宿る物語を多義性のあるものへと開放した写真集。鑑賞者自身が想像し、思いを巡らすきっかけとなるはずです。

 

 

 

なお、写真集発売に合わせて、写真展もBOOTLEG GALLERYにて同時開催中（4月19日まで）。

 

■Event info
写真展「EXIT」

日時 : 3月29日（金）～4月19日（金） 12:00～20:00（会期中無休）
場所 : BOOTLEG GALLERY（東京都新宿区改代町40 1F）
入場料 : 無料

 

■Book info

 

 

『EXIT』

撮影 : 金 玖美
出版社 : BOOTLEG
価格 : 4,000円＋税
ページ数 : 96ページ

 

■Link
http://koomikim.com/