Peter Barakan’s Music Film Festivalが開幕! ピーター・バラカンが上映14作品にコメントした動画も公開に

Peter Barakan’s Music Film Festival 開幕挨拶

7月2日から15日の日程で、角川シネマ有楽町にて開催されている「Peter Barakan’s Music Film Festival」。初日の2日にピーター・バラカンによる開幕挨拶が行われました。

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開幕挨拶

音楽映画祭をやりたいと何年もいろいろな人と話していたことはあったのですが、今回(映画宣伝・VALERIAの)小倉さんからお誘いをうけて「ぜひ!」ということになりました。

そこから作品選びや詳細を練っていくのに数か月かかったものの案外早くまとまり、ついに実現しました。

上映作品は全部で14本。候補はこの3倍くらいあったのですが、この14本は僕が本当に気に入ったものばかりです。

そのためどれを優先的に紹介したらよいのか難しいのですが、今回、日本初公開のものがふたつあります。

1本はビリー・ホリデイのドキュメンタリー『BILLIE ビリー』、そして写真家ユージン・スミスが50~60年代にかけて、ニューヨークのロフトに住んでたときのすごくおもしろいドキュメンタリー『ジャズ・ロフト』です。

『ジャズ・ロフト』は秋に公開されますが、この映画祭で先に2回上映される予定です。

その他、映画館ではめったに観られない作品があります。

カマシ・ワシントンがミシェル・オバマについてのドキュメンタリー『Becoming』のために作曲した曲を、ロサンゼルスのハリウッド・ボウルで1回だけ演奏している映像『カマシ・ワシントン「Becoming」ライブ』。

これは映画館で観ないともったいない映像と音のクオリティです。

それに『Our Latin Thing』という 70 年代初めにつくられたサルサに関してのドキュメンタリー半分、コンサート映像半分の作品。

DVDでもめったに観られないので、ぜひご覧ください。

Peter Barakan’s Music Film Festival 開幕挨拶

『BILLIE ビリー』上映後トークショー

●観るたびに新しい発見

今回で4回目の鑑賞なのですが、大きなスクリーンで観るのははじめてなんです。観るたびに新しい発見がある作品です。

情報量がとても多いので1回じゃ分からないと思います。ぜひ皆さんもう一度見てください(笑)。

僕の場合、ビリー・ホリデイは母親が好きで、ザ・ビートルズに出会う前から聴いていました。

10歳か11歳くらいのときで、子供ですからもちろん情報も何も知らないし、ブルーズもジャズもわからない。

(ビリーに関するインタヴュー・テープを遺したジャーナリストの)リンダ(・リプナック・キュール)は14歳の時はじめてビリーの音楽を聴いたと本作で言っていましたが、あの声に恋をする感覚はすごくよくわかる。子供でもそうなんです。

●当時のアフリカン・アメリカンの生活

ビリーは1915年に生まれ、ニューヨークに出てくるのは14歳のとき。デビューが1933年、18歳のとき。とにかく若いときにあんなすごい歌を歌っていたのです。

そして当時のアフリカン・アメリカンの生活がいかにひどい状態だったのか、いろんな人の声をナマで聞くことができます。

もちろん映画や本で知ってはいましたが、本当に悲惨だったんだなと感じました。

それはビリーに限らずみんなそうだったのです。

彼女が子供の時に身売りをしていたエピソードも紹介されますが、そんなことまでしないと食いっぱぐれるほどの貧しい状況だったのです。

Peter Barakan’s Music Film Festival 開幕挨拶

●プロテスト・ソングの第一号

彼女の自伝をずいぶん前に読んでいましたが、それでも知らないことがたくさんありました。リンダの取材、研究はすごいですね。

10年かけてビリーと一緒に演奏したミュージシャンはもちろん、子供の時の友達だとか片っ端から調べて膨大な量のテープがあった。

詳しい評論家が観ても、こんなことがあったんだと思うことがほとんどだと思います。

「奇妙な果実」を歌ったのが23歳。戦前のブルーズの曲にはどれだけひどい生活をしているかということに触れる歌詞はありますが、いわゆるああいったプロテスト・ソングは存在しない時代です。

リンチのことを歌った曲などあの時代ありえません。まさにプロテスト・ソングの第一号なのですが、ビリーがあの曲を歌ったために、体制に睨まれることになりました。

●カラー化について

ビリーの映像は白黒しかありません。今回の制作者も悩んだそうですが、今の時代に彼女を初めて知る人もいるわけだから、白黒だけじゃもったいないということでカラーライゼーションのとても上手なスタッフにやってもらったら「やっぱりいい」ということになったそうです。
特に彼女が水色のセーターを着て「奇妙な果実」を歌っている映像が素晴らしいです。

亡くなる直前のロンドンでの演奏らしいですが、少なくとも僕は観たことがないし、おそらく他の映像物にも残されていないのではないでしょうか。よくあんなものを見つけたなと思いました。

●音楽ドキュメンタリーの魅力

こういう音楽のドキュメンタリーって、音楽だけではなく、その音楽がつくられた場所とか時代背景、社会で何が起きていたかということを知ることができます。

アメリカという国にはいい面もたくさんあるし、僕の好きな音楽も圧倒的にアメリカのものが多いですが、社会的にどうしようもないところも実にたくさんある。

今年タルサで起きた虐殺事件から100年にあたりますが、いまだにひどい事件がたくさんあり、まだまだ続いていることが分かります。

Peter Barakan’s Music Film Festival

会期
東京 : 7月2日(金)~7月15日(木) / 京都 : 8月6日(金)~8月19日(木)
会場
東京 : 角川シネマ有楽町 / 京都 : 京都みなみ会館、アップリンク京都
主催
マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム、VALERIA
配給
コピアポア・フィルム
宣伝
VALERIA
協力
ディスクユニオン、KADOKAWA
上映作品
『Billie ビリー』 原題 : Billie*日本初公開
『ジャズ・ ロフト』 原題 : The Jazz Loft According to W. Eugene Smith*日本初公開
『AMY エイミー』 原題 : AMY
『真夏の夜のジャズ 4K』 原題 : Jazz On A Summer’s Day
『ランブル 音楽界を揺るがしたインディアンたち』 原題 : RUMBLE : The Indians Who Rocked the World
『バックコーラスの歌姫(ディーバ)たち』 原題 : 20 Feet From Stardom
『Our Latin Thing』 原題 : Our Latin Thing
『大海原のソングライン』 原題 : Small Island, Big Song
『スケッチ・オブ・ミャーク』 英題 : Sketches Of Myahk
『サウンド・オブ・レボリューション グリーンランドの夜明け』 原題 : Sumé : Mumisitsinerup nipaa
『マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!』 原題 : My Generation
『ノーザン・ソウル』 原題 : Northern Soul
『白い暴動』 原題 : White Riot
『カマシ・ワシントン 「Becoming」ライブ』 原題 : Kamasi Washington’s Becoming for Michelle Obama』

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