- Food
ロイヤル・オペラ・ハウス提携公演、東京二期会がマスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』を2026年2月上演
東京二期会は、英国のロイヤル・オペラ・ハウスとの提携による新制作として、マスカーニ『カヴァレリア・ルスティカーナ』とレオンカヴァッロ『道化師』の二本立て公演を2026年2月12日(木)から15日(日)まで東京文化会館大ホールで上演。指揮はイタリアの俊英アンドレア・バッティストーニ、演出は世界の舞台を席巻するダミアーノ・ミキエレットが担当し、バレンタイン期間に愛と嫉妬をテーマにしたイタリアオペラの名作を届けます。
ロイヤル・オペラ・ハウスとの初提携で実現する本格イタリアオペラ

演出家:ダミアーノ・ミキエレット ©Stefano Guindani
今回の公演は、東京二期会とロンドンに拠点を置くロイヤル・オペラ・ハウスとの初の提携企画です。ロイヤル・オペラ・ハウスは1732年に前身となるシアター・ロイヤル・コヴェント・ガーデンとして開場し、1892年に現在の名称となった世界有数のオペラハウスで、290年以上の歴史を持ちます。東京二期会は1952年設立で会員約2,600名を擁する日本最大規模の声楽家団体であり、年間5公演以上のオペラ制作を手がけています。両団体の提携により、ローレンス・オリヴィエ賞を受賞したミキエレット演出版が日本初上演となります。

指揮者:アンドレア・バッティストーニ ©上野隆文
指揮を務めるアンドレア・バッティストーニは、イタリア出身の気鋭の指揮者として国際的に活躍しており、日本国内でも東京フィルハーモニー交響楽団をはじめ多くのオーケストラと共演実績があります。本公演では東京フィルハーモニー交響楽団が管弦楽を担当し、二期会合唱団とNHK東京児童合唱団が参加する本格編成で上演されます。
愛と裏切りを描くふたつのヴェリズモ・オペラ

『カヴァレリア・ルスティカーナ』
『カヴァレリア・ルスティカーナ』は、ピエトロ・マスカーニが作曲した全1幕のオペラで、19世紀イタリアの文豪ジョヴァンニ・ヴェルガの短編小説が原作。シチリアを舞台に、恋人の裏切りに揺れる青年トゥリッドゥの激情と復讐を描いた作品で、現実主義を重視するヴェリズモ・オペラの代表作として知られています。間奏曲(インテルメッツォ)は映画『ゴッドファーザーPART III』のクライマックスシーンで使用され、人間の心の静寂を象徴する音楽として世界中で親しまれています。

『道化師』
一方、ルッジェーロ・レオンカヴァッロ作曲の『道化師』は全2幕のオペラで、舞台と現実の境界が崩れていく愛のサスペンスを描きます。旅芸人の一座を舞台に、妻の不倫を知った道化師カニオが舞台上で現実の感情を爆発させる人間心理の深層を描いた作品です。両作品とも「裏切り」「嫉妬」といった普遍的なテーマを持ち、恋愛ドラマとしても人間関係の心理劇としても現代の観客に訴えかける内容となっています。
文学から映画へと受け継がれる芸術の系譜
『カヴァレリア・ルスティカーナ』は19世紀の短編小説がオペラという総合芸術へと昇華され、さらにその音楽が20世紀以降の映画作品へと受け継がれてきました。フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザーPART Ⅲ』では、マイケル・コルレオーネの息子がオペラ歌手としてデビューする舞台が『カヴァレリア・ルスティカーナ』であり、シチリアの復讐劇というテーマが三部作全体と呼応する構造になっています。映画のフィナーレでは間奏曲が流れる中で悲劇が起こり、オペラと映画という異なる表現形式が融合した名シーンとして映画史に残っています。
一方『道化師』も、舞台芸術そのものをモチーフにしたメタシアター的構造を持ち、演劇と現実の境界を問う作品として後世の演劇・映画作品に大きな影響を与えました。文学作品が舞台芸術へ、そして映像作品へと形を変えながら人間の本質を描き続ける文化の系譜を、今回の公演では東京文化会館のステージで体感できます。
バレンタイン期間の体験型ギフトとして提案
東京二期会は、2月というバレンタイン期間に合わせて本公演を「愛の季節に贈る体験型ギフト」として位置づけています。従来の花やチョコレートといった物質的な贈り物だけでなく、心を揺さぶる時間を共有するという新しい形のバレンタインの楽しみ方を提案する試みです。映画やCMでもおなじみの旋律と、誰もが共感できる人間ドラマを、恋人同士や夫婦、母娘、友人同士など、さまざまな関係性の人々が一緒に鑑賞し、観劇後に感想を語り合えるような共感のひとときを届けることを目指しています。
日本国内では近年、コト消費と呼ばれる体験型の消費スタイルが注目されており、特に文化芸術分野では観劇や美術展鑑賞を記念日の過ごし方として選ぶカップルや家族が増加傾向にあります。今回の公演はその流れに合致した企画であり、オペラという敷居が高いと思われがちなジャンルを、バレンタインという身近なイベントと結びつけることで新たな観客層の開拓も期待されます。
公演詳細とチケット情報
公演は2026年2月12日(木)18時、13日(金)14時、14日(土)14時、15日(日)14時の全4回が東京文化会館大ホールで開催。チケットの一般発売は2025年10月18日(土)から開始されており、詳細は東京二期会の公式サイトで確認できます。会場となる東京文化会館は上野公園内に位置し、JR上野駅から徒歩約1分の立地で、国内外からアクセスしやすい文化施設です。
東京二期会オペラ劇場 『カヴァレリア・ルスティカーナ』『道化師』

- 会場
- 東京文化会館大ホール(東京都台東区上野公園5-45)
- 公演日時
- 2026年2月12日(木)18時、13日(金)14時、14日(土)14時、15日(日)14時
- 指揮
- アンドレア・バッティストーニ
- 演出
- ダミアーノ・ミキエレット
- 管弦楽
- 東京フィルハーモニー交響楽団
- 合唱
- 二期会合唱団
- 児童合唱
- NHK東京児童合唱団
- 主催
- 公益財団法人東京二期会
国際提携が拓く日本オペラ界の新展開
今回のロイヤル・オペラ・ハウスとの提携公演は、東京二期会にとって欧州の主要オペラハウスとの本格的な国際協力の第一歩となります。日本のオペラ界では近年、ベルリン・コーミッシェ・オーパーなど欧州の歌劇場との提携公演が増加しており、2025~2026シーズンにおいても東京二期会はワーグナー『さまよえるオランダ人』のワールドプレミア公演や、ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携によるオッフェンバック『ホフマン物語』などを予定しています。こうした国際提携により、世界水準の演出や舞台装置が日本国内でも鑑賞できる機会が拡大しています。
ロイヤル・オペラ・ハウスは英国王室とのゆかりも深く、ヴェルディ『リゴレット』やプッチーニ『トスカ』『蝴蝶夫人』など数多くのオペラ作品の英国初演を手がけてきた歴史があります。その演出ノウハウや舞台技術が日本の声楽家や制作陣と融合することで、日本独自のオペラ文化の発展にも寄与することが期待されています。
Link
https://nikikai.jp/lineup/cava_pagli2026/
Sponsered Link
Sponsered Link
Recommends
合わせて読みたい
Sponsered Link
Sponsered Link
Ranking
注目の記事ランキング
- Travel
- Food
- Food
- Food

