英国最高齢の新人歌手となった80歳の認知症男性のノンフィクション本が発売に

アルツハイマー型認知症を患った著者の父親が、一度は諦めた歌手デビューの夢を果たすまでを父親の生い立ち、病と家族の闘いの日々も含めて描いたノンフィクション本が11月30日(金)に発売されます。

2016年秋、アルツハイマーの80歳老人がCDデビューを果たしたというニュースが世界中を駆けめぐりました。その英国最高齢の新人歌手となったテッド・マクダーモットさんが病を発症したのは数年前。陽気だった性格は一転して怒りっぽくなり、昼夜問わず妻に当たり散らしてはガラクタを庭に集め、いつしか実の息子のことさえ忘れ、症状は悪化の一途をたどるばかだったそうです。そんな出口の見えない日々に一筋の光をくれたのは、幼い頃からテッドさんが愛した“歌”でした。

 

テッドさんは幼い頃から歌が大好きで、やがてその歌声は近所でも評判に。歌手を目指しましたが、実家が貧しかったために途中で夢を断念。以降、バンドでヴォーカルや娯楽施設で歌い手を務めながら、1974年に妻となるリンダさんに出会い、2年後に息子のサイモンさんが誕生しました。家族のために、歌は趣味に留めて近くのパブで歌う日々が続いたそうです。

 

アルツハイマーを発症した父のテッドさんとの絆を取り戻すために息子のサイモンさんは“車中カラオケ”というユニークな方法を思いつきました。トニー・レニスのヒットで知られる60年代の名曲「クアンド・クアンド・クアンド」を歌った動画をYouTubeにUPしたところ、再生回数は今では460万回を超えるほどに。アルツハイマー協会への寄付金も12万5,000ポンドを超えたとのことです。

 

 

テッドさんとサイモンさんの車中カラオケは今も続いており、変わらない美声を聴かせてくれます。『父と僕の終わらない歌』には、そんな素敵な親子の関係が綴られています。

 

■Book info

 

 

『父と僕の終わらない歌』
著者 : サイモン・マクダーモット
翻訳 : 浅倉卓弥
発行 : ハーパーコリンズ・ジャパン
価格 : 1,500円+税

 

■Link
https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail.php?product_id=11939

 

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