アンドリュー・スコット主演、山田太一原作の映画『異人たち』が魂を震わせる

日本を代表する名脚本家・作家、山田太一の長編小説「異人たちとの夏」を映画化した『異人たち』が、2024年4月19日（金）に全国公開されます。本作は、英国インディペンデント映画賞で最多7冠に輝き、ゴールデングローブ賞にもノミネートされた話題作です。監督は『荒野にて』『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ。主演は『SHELOCK』『Fleabag フリーバッグ』のアンドリュー・スコットです。本作の予告映像が公開されています。

根源的なテーマを探求する幻想譚を映し出す予告編

予告映像では、ロンドンのタワーマンションにひとりで暮らす脚本家・アダム（アンドリュー・スコット）の姿が映し出されます。彼は12歳の頃に死別した両親の思い出を基に脚本を執筆しており、物語と向き合う中でミステリアスな隣人・ハリー（ポール・メスカル）と出会います。互いの孤独を感じ取り、次第に距離が近づいていくふたり……。さらにある日、アダムが幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界したはずの父と母が当時のままの姿で住んでいたことが判明します。アダムは少年時代の心の隙間を埋めるかのように、両親の元へ足を運んでは、二度と取り戻せないと思っていた心満たされる一時を過ごしていくのです。

予告映像からは、本作が愛と孤独、喪失と再生、さらにはセクシュアリティーといった根源的なテーマを探求する幻想譚であることが伺えます。また、琥珀色の光がきらめく35mmフィルムの映像美は、観る者をリアルとファンタジーの狭間へと誘い、幽玄にして心を、そして魂を震わす映画体験をもたらすことでしょう。

アンドリュー・スコットら実力派キャストが感動を呼ぶ

本作の出演者は、英国を代表する実力派キャストが集結。主演のアンドリュー・スコットは、『SHELOCK』『Fleabag フリーバッグ』でブレイクし、本作ではゴールデングローブ賞にもノミネートされました。彼は、死別した両親との再会と隣人との恋に揺れる脚本家・アダムを繊細かつリアリティにあふれた演技で表現しています。

隣人・ハリー役のポール・メスカルは、『aftersun／アフターサン』で米アカデミー賞男優賞にノミネート、2023年には舞台『欲望という名の電車』でスタンリー役を演じ、ローレンス・オリヴィエ賞男優賞に輝き、さらに本作では英国インディペンデント映画賞で助演男優賞を受賞しました。彼は、アダムに惹かれながらも自分の感情に戸惑うミステリアスな青年を魅力的に演じています。

アダムの両親役には、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベルと『ザ・クラウン』のクレア・フォイがキャスティングされており、彼らもまた、息子との再会に喜びと不安を抱く親の姿を感動的に演じています。予告映像では、彼らが魅せる表情の一つひとつにも心を奪われます。

山田太一の傑作小説が新たな解釈で映画化

本作は、昨年11月に惜しくも逝去した山田太一の小説「異人たちとの夏」を原作としています。この小説は、1987年に出版され、第1回山本周五郎賞を受賞し、2003年には英訳され海外でも刊行されました。1988年に大林宣彦監督の手によって、風間杜夫、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子の出演で映画化され、大ヒットを記録しました。今回の映画化は、そのリメイク版ということになりますが、監督のアンドリュー・ヘイは、原作のオリジナリティを尊重しつつ、自らの感性を加えて新たな解釈を与えています。彼は、原作の舞台を日本からイギリスに移し、主人公のセクシュアリティーを明確に描き出し、現代の社会にも通じる普遍的なメッセージを伝えています。

Story

ロンドンのタワーマンションで暮らすアダムは、12歳の時に交通事故で両親を亡くした40代の脚本家。それ以来、孤独な人生を歩んできた彼は、在りし日の両親の思い出に基づく脚本に取り組んでいる。そして幼少期を過ごした郊外の家を訪ねると、そこには30年前に他界した父と母が当時のままの姿で住んでいた。その後、アダムは足繁く実家に通って心満たされるひとときに浸る一方、同じマンションの住人である謎めいた青年ハリーと恋に落ちていく。しかし、その夢のような愛おしい日々は永遠には続かなかった……。