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『ヴェラ~信念の女警部~』最終章放送直前!主演ブレンダ・ブレシン&原作者アン・クリーヴスが語る14年の軌跡と裏話
ミステリードラマ専門チャンネル『ミステリーチャンネル』では2025年4月13日(日)から「特集 英国ミステリー最前線」を2か月にわたって放送中。英国で実際に起きた事件を描いた話題作や人気シリーズの最新作を独占日本初放送しています。5月10日(土)16時からは14年の歴史に幕を閉じる『ヴェラ~信念の女警部~』のファイナルシーズンもミステリーチャンネル独占で日本初オンエアされます。フィナーレが惜しまれる声が挙がる中、ヴェラ・スタンホープ役のブレンダ・ブレシンと原作者である小説家のアン・クリーヴスのインタビューが到着。ふたりが14年間を振り返ります。
出会いと撮影初期の思い出

──おふたりが初めて会ったときの印象を教えてください。
アン:私たちが最初に会ったのは……いつだったか覚えてる?
ブレンダ:2010年だったと思う。
アン:そう、2010年、最初の台本の読み合わせのときだった。
ブレンダ:私はとても緊張していた。このドラマの舞台になるイングランド北東部のアクセントは独特でとても難しく、レッスンは受けていたけど、ちゃんと身についているのかわからなくて。それで読み合わせに行ったら、アンがいるじゃないの。“あぁ……”と思った(笑)。
アン:私も同じように緊張していた。テレビのことなんて全然わからなかったし、どうして私が読み合わせに呼ばれたのかもわからなかった。でも役者たちと一緒に座って楽しかったし、終わったらブレンダが挨拶にきてくれて、大スターの魅力に圧倒された(笑)。私自身も北東部出身ではないので、アクセントは特に気にならなかったわ。
ブレンダ:ラッキーなことに、最初のエピソードには北東部出身の役者が多かったの。とても賢いやり方。それで私の間違いを正しく直してくれた。手遅れになる前にね。
アン:ジョー役のデイヴィッド・レオンが台本についていろいろ話してくれたのを覚えている。
ブレンダ:DCIスタンホープの名前をスタノプという発音だと指摘する人もいて。
アン:スタンホープが正しいの。だけどカウンティ・ダラムに同じスペルの町があって、そこはスタノプという発音。だから人によって好きに発音すればいいと思う(笑)。
シリーズ終了の決断と心境
──長年続いたこのシリーズですが、シーズン14で終了することにした理由を教えてください。
ブレンダ:もう若くはないし(笑)、家族と一緒の時間が欲しかった。14年間も夏を満喫してないことに気づいて、ちょっと夏が恋しくなって。でも、すでに『ヴェラ』のファミリーが恋しくて会いたいと思っている。いつもだったら、この時期は次のシーズンのアイデアを出す頃なんだけど、今年はもうそれがなくて寂しいわ。
アン:このドラマは私たちにとって特別な場所でもあるの。ドラマのなかに登場する北東部って、イングランドのなかでも少し寂れた地域だけど、このドラマはこの地の美しさやこの地に生きるキャラクターたちの強さを讃えるものだから。
──ブレンダは降板したことを後悔しているみたいですが。
ブレンダ:6か月前に撮影が終わったの。毎日最低でも1日16時間の撮影をするから、とてもハードワークで終わるとぐったり。例えば、美味しい料理でもお腹いっぱいになったら、デザートを出されても要らないって気になるでしょう(笑)。でも、すぐにまたお腹がすく。1週間もすると、さあメニューを見てみましょうかという感じで(笑)。きっとこの先、そういう気持ちになって後悔するかもしれないけど、今はこの状況に満足している。
日本での人気とヴェラの魅力
──『ヴェラ』を日本でいち早く放送している放送局ミステリーチャンネルで行った英国ミステリードラマの視聴者投票では、『ヴェラ』が2年連続の1位になりました。視聴者からも作品愛を感じるメッセージをたくさんいただいています。日本でも大変愛されていることについて、なぜだと思いますか?
ブレンダ:それは素晴らしい! ヴェラはよくいる男性の刑事ではないし、キャットウォークから飛び出してきたようなタイプの女性でもなく、より共感できる存在だからだと思う。もしヴェラが刑事でなかったら、その辺の通りを普通に歩いていると思うわ。
──視聴者のコメントで最も多いのが、ヴェラの人間性に関するコメントです。大好き、上司にしたい、という声が多いです。そのことについてどう思いますか?
ブレンダ:ヴェラは人を馬鹿にしたりしないし、人を理解しようとしている。そして誰に対しても公平である。恋愛対象に依存することもない。
アン:あらゆる世代のすべての女性は、強い女性を見るのが好きなんだと思う。ヴェラはチームを統率し、おしゃれをして着飾る必要もなく、夫が何をしているかも心配せず、子供や孫の学校の送り迎えもせずに、ただ優れた刑事であるというキャラクター。だから人気があるんじゃないかと思う。
衣装と小道具の裏話
──14シーズン中、どのくらいのコートと帽子を着倒したんでしょうか。
ブレンダ:何着か用意してあったわ。ときどき代役が何かしなくてはいけないときがあったし、例えば海辺のシーンで、コートに泥がかかってしまうと、リテイクする場合は新しいコートを着なくてはならない。だから交換して着ることができるために何着も用意してあった。でも、当初あの帽子はひとつしかなかったの。あるとき、帽子を着用して撮影した後、何かの理由で撮影がストップし、また始めようというときに帽子がどこにも見つからなくて。衣装部のせいにしたんだけど、きっと私がどこかに置いてしまったのね(笑)。その後、スペアの帽子を用意して……もしかしたら作り直したのかもしれない。あのタイプの帽子はなかなか見つからないの(笑)。
アン:今ではニューカッスルの日曜日のストリートマーケットで、似たような帽子を売っている。“ヴェラ・ハット”という名前でね(笑)。
ブレンダ:友達のひとりが教えてくれたんだけど、イタリアのトリノで、ブティックのショーウィンドーにヴェラにそっくりの帽子とコートが飾ってあったそうで写真を送ってくれた。まったく同じなの!(笑)。
アン:私はヒースロー空港のプラダで、同じような帽子を見た(笑)。
ブレンダ:数年前に『グレアム・ノートン・ショー』に出演したときにその写真を紹介したわ。
──最終シリーズの撮影が終わって、帽子は引き取りましたか。
ブレンダ:ええ、ときどきヴェラの格好をしてチャリティ・イベントに参加することがあるから。北東部で“Sunday for Sammy“という大規模なチャリティ・イベントがあるんだけど、数年前にTVシリーズの刑事たちが出演する企画があり、ヴェラの帽子とコートを着てスタジアムに登場したら、屋根が落っこちるんじゃないかと思うくらいの歓声があがった。素晴らしかったわ!
撮影最終日のエピソード
──撮影の最終日はいかがでしたか。やはり思いが込み上げるものがありましたか?
ブレンダ:ええ、私だけでなく全員ね。最終日はドラマのラストシーンではなかった。プロデューサーのウィルの提案で、捜査本部のシーンの撮影になった。キャスト全員がいるから、みんなで収録の最終シーンを分かち合えるということで。
アン:私も最後の2日間の収録を見に行った。撮影後はスピーチがあったり、シャンパンで乾杯したり。ブレンダの愛犬のジャックもいた。
ブレンダ:私はあまりに胸がいっぱいであまり覚えてないの。泣かないようにするのが精一杯で。
アン:それから、セント・ジェームズ・パーク(注・ニューカッスルにあるサッカースタジアム)で、キャストやスタッフが集まって打ち上げパーティが行われたわ。
原作とドラマの違いとキャラクター描写
──原作小説とドラマ化では演出上異なる部分もあると思いますが、原作に忠実に描かれていると最も感じるのはどういった部分ですか?
アン:実を言うと、あまり細かいことにはこだわりはなかった。犯人が原作と違う人物だとしても気にしなかった。私にとって一番重要だったのは、キャラクターが原作と忠実なままであるということだと思う。そしてヴェラとジョーの関係も。原作のなかでは、ジョーはヴェラにとって自分の息子の代わりになる存在として描写されているけど、演じる俳優たちにそれがとても上手く理解されていたと思う。キャラクターや雰囲気などに命を吹き込んでくれて、とても満足しているわ。
ふたりのキャリアと創作の原点
『お疲れ様!わが友ヴェラ~14年の歴史を振り返る』より
──おふたりがキャリアをスタートした頃は何を達成したいと思っていましたか?
ブレンダ:女優になったのは偶然なの。演劇学校に通う前は、ブリティッシュレール(注・英国の国鉄)で10年間秘書として働いていた。知人の女性がアマチュア劇団に入っていて、“週末にマンチェスターのコンクールにエントリーしたんだけど、メンバーのひとりが急病になってしまって、お願いだから代わりに出てくれない? セリフはひとつだけだから”と言われて、彼女を助けるつもりで出演したの。実際にやってみたら、すごく楽しくて! 衣装を用意する人がいて、背景の絵を描く人がいて、照明を調整する人がいて、チケットを販売する人がいる。いろいろな異なる才能を持つ人々が集まって芝居を作りあげるということに魅力を感じて、グループに参加することにしたの。ロンドンに戻った後、リージェンツ・パークにあるルドルフ・シュタイナー・ハウスの劇場で芝居を行った。私はいつも年齢より若く見られるんだけど、当時も30代くらいだったのに見かけは10代だったから若い役を得た。やればやるほど演技も上手くなって、舞台で芝居することが大好きになった。周りの人から、“プロの女優になれるんじゃない?”って言われたけど、“この恵まれた職を辞めて、趣味を仕事にするなんて、馬鹿を言わないで”って返事していた。でも多くの人から言われたら、“女優になるのもアリなんじゃないか。自分が大好きなことだし”って思うようになって。それで内緒で演劇学校に応募してみたら、合格してびっくりだった。私の目標は、単に舞台で芝居をすることで、テレビや映画の仕事をすることは考えてもなかった。それはちゃんとした俳優がすることで、私は演劇学校に通っているブレンダに過ぎなかった。自分自身、自分が俳優であるとは思っていなくて、私はただ“演技をする人”だったの(笑)。
アン:私の野望は、生活費を稼ぐためにしていた仕事を辞めることだった。20年間実現できなくて、本を出版した後でも、パートの仕事を続けていた。ここまでくるには、それだけ長くかかった。それから、もっと良い本を書くという野望もあったわ。
撮影現場の裏話とヴェラとの共通点
──撮影中に起こった面白い出来事を教えてください。
ブレンダ:ファンフェア(移動遊園地)のシーンを撮影したとき、監督はファンフェアの中を突っ切って犯人を追うというシーンを撮影しようとして、時間をかけて準備をし、全員が正しい場所にいるように調整したのね。そのシーンの最後に公衆トイレの前を通りすぎるんだけど、リハーサルを何回も繰り返して、いざ本番となって、もう少しで終わりというときに、その公衆トイレから老婦人がでてきて、いきなり私に向かって、“あらヴェラじゃない、大ファンなの!”って(笑)。撮影中なのにまったく気が付かず、話しかけてきたのよ。
──ご自身の性格と“ヴェラ”というキャラクターと似ている部分、異なる部分などはありますか?
ブレンダ:謎を解くのは好き。タイムズ紙のクロスワード・クラブのメンバーなの。たとえ解決できなくても、解決しようとするのが楽しい。ヴェラと同じように、自分も公平な人間だと思う。それからユーモアのセンスもある。私の両親はとても貧しくて、あまり物は残してくれなかったけど、両親からはユーモアのセンスを受け継いだ。それは貴重だと思う。
アン:それからヴェラとブレンダは、どちらも思いやりがあって親切よ。
日本のファンへのメッセージ
──日本のファンへメッセージをお願いします。
ブレンダ:ドラマを見てくれて本当にありがとう。そしてこの十数年間、応援してくれて感謝しています。最後のエピソードはアンの本『The Dark Wives(原題)』をドラマ化したもので、とてもスリルのある謎解きに、ヴェラのストーリーを織り交ぜたものになっています。いつも通りのドラマ製作の質を保っているし、素晴らしいエピソードになっていると思います。
アン:いつも応援をありがとう。最終シリーズを見るのを楽しみにしていてください。
──ドラマのラストで、何かこれで最後のような説明みたいなものはあるんでしょうか?
ブレンダ:説明みたいなものはあるにはあるけど、それ以外はノーコメント(笑)。
『ヴェラ~信念の女警部』放送情報
ヴェラ~信念の女警部~シーズン14
- 放送日時
- 5月10日(土)16時~【字幕版】全2話
お疲れ様!わが友ヴェラ~14年の歴史を振り返る
- 放送日時
- 5月10日(土)17時40分~【字幕版】全1話
『ヴェラ~信念の女警部~』シーズン1~13
- 放送日時
- 5月3日(土・祝)6時~【字幕版】全54話
©0ITV Studios Limited 2024
Link
https://www.mystery.co.jp/programs/vera/
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