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ケン・ローチ監督最後の作品『オールド・オーク』日本版予告編&場面写真公開、4月24日より全国上映
ケン・ローチ監督が「最後の作品」と語る映画『オールド・オーク』(原題:The Old Oak)が4月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国でロードショー公開されます。このたび日本版予告編と場面写真が公開となり、炭鉱町のパブを舞台に難民との連帯を描いた本作の全貌がいよいよ明らかになりました。
日本版予告編公開、「慈善ではなく、連帯だ」
今回公開となった日本版予告編は、パブ「オールド・オーク」の常連客が「ここはまるでゴミ捨て場だ」と吐き捨てるショッキングなカットから幕を上げます。寂れゆく炭鉱町に根を張る常連たちは「知らない奴らと分け合うには負担が大きすぎる」とこぼし、戦禍から逃れてきたシリア難民の受け入れへの不満を隠しません。
一方でオーナーのTJ・バランタインはシリア人女性ヤラを助けたことをきっかけに交流を深め、互いの背景や歴史を語り合いながら友情を育んでいきます。ヤラが「いろんな家族が、一緒に食事ができる場所を作れたら」と提案すると、TJは母の口癖「共に食べて、団結を」を胸にパブのスペースを使った食堂を始める計画に乗り出していきます。「慈善でなく、連帯だ」と力強く語るTJの言葉が、本作のメッセージを端的に体現しています。
あわせて公開となった場面写真3点には、炭鉱町の日常風景とふたりの主人公が交わる瞬間が切り取られており、ローチ監督特有の生々しいリアリズムが随所に感じられます。
イングランド北東部3部作の最終章

『オールド・オーク』は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(2016年)と『家族を想うとき』(2019年)に続く「イングランド北東部3部作」の最終章となります。市井の民を見つめ、彼らの生活と闘争を描き続けてきたケン・ローチ監督が、長年タッグを組む脚本家ポール・ラヴァティとともに作り上げた本作は、炭鉱町の最後のパブを舞台に分断と共存のテーマを描きます。
舞台はイングランド北東部ダラムのかつての炭鉱町で唯一のパブ「オールド・オーク」。活気あふれる時代から30年の時を経て厳しい状況に陥っていますが、町に住む人々にとっては最後の砦となる存在です。映画では、オークション価格が1軒8,000ポンド(約160万円)にまで下落した住宅市場の現実や、脱工業化と緊縮財政によって荒廃したコミュニティの姿が描かれます。
また、公開されている日本版ビジュアルには、ずれてしまった看板文字の位置を正そうとするTJと、微笑みながらその様子を見守るヤラの姿が捉えられています。「変えられる──この場所には 希望があるから」というコピーが添えられており、パブ「オールド・オーク」がどのような変化を遂げていくのかへの期待が高まります。
階級政治と難民問題を交差させる視点

店主のTJ・バランタイン(デイヴ・ターナー)は試行錯誤しながらパブを維持していましたが、町がシリア難民を受け入れ始めたことでパブは居場所を争う諍いの場になってしまいます。ローチ監督は本作を単純な善悪の物語にせず、数十年にわたる新自由主義と緊縮財政によって疲弊した労働者階級のコミュニティを背景に置いています。
カメラを持ったシリアの女性ヤラ(エブラ・マリ)との出会いを通じて、TJは喪失や未知への恐怖、希望を見つけることの難しさについて知っていきます。ヤラはアサド政権の残虐行為から逃れてきた写真家で、到着直後からこの村の歴史に魅了され写真を撮り始めます。ふたりは慈善ではなく連帯の精神で、コミュニティ全体が直面する困難を解決しようと協力します。
本作では、パブのサロンを再開して人々に食事を提供し、コミュニティの絆を強めるイベントを開催する過程も描かれます。ローチ監督が奨励する半即興的で自然主義的な演技スタイルにより、俳優たちは衝撃的な偏見や意見を説得力を持って表現しています。カウンティ・ダラムの社会活動に関わる実際の非俳優も出演しており、作品全体のリアリズムをさらに強化しています。
国際的評価と俳優たちの演技
『オールド・オーク』は2023年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、同年のロカルノ国際映画祭では観客賞を受賞。ガーディアンは「思いやりと連帯への、巨匠監督からの切実な最後の呼びかけ」と評し、ニューヨーク・タイムズは「希望への大胆な挑戦」と激賞しました。
撮影監督ロビー・ライアンが担うカメラワークは、ふたりの主人公の脆弱で内省的な側面を深く掘り下げます。ターナーとマリの演技は、お互いに心を開いていく過程で不安定で傷つきやすい側面を感動的な形で示しており、半即興的なアプローチが作品に強いリアリティを与えています。
ローチ監督60年のキャリアを締めくくる希望の物語
87歳のケン・ローチ監督にとって本作は、60年近くにわたるキャリアの集大成となります。監督は一貫して労働者階級と貧困層の人々が、戦争の混乱と暴力、資本主義の冷酷さ、人口構成の変化に立ち向かう姿を描いてきた。パルム・ドールを2度受賞した監督の作品は、紋切り型のステレオタイプを避け、尊厳を持って対象を描くことで知られています。
前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』や『家族を想うとき』がより暗く怒りに満ちた結末だったのに対し、本作はコミュニティの強さと回復力を通じて困難を乗り越えることを示す、前向きで高揚感のある結末で輝かしいキャリアを締めくくっています。分断が叫ばれる現代において、「慈善ではなく、連帯だ」というTJの言葉はとりわけ重く響くことでしょう。
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公開情報

- 監督
- ケン・ローチ
- 脚本
- ポール・ラヴァティ
- 出演
- デイヴ・ターナー、エブラ・マリ、クレア・ロッジャーソンほか
- 作品情報
- 2023年 / イギリス、フランス、ベルギー映画 / 英語、アラビア語 / 原題 : The Old Oak
- 公開日
- 4月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国公開
- 配給
- ファインフィルムズ
© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
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