『ダウントン・アビー』の舞台 カーナーヴォン伯爵夫人が語るハイクレア城への深い愛

英国のみならず、アメリカや世界各国でも熱狂的に支持されたTVドラマ&映画『ダウントン・アビー』の舞台となったハイクレア城。その主である第8代伯爵夫人レディ・フィオーナがコロナ禍の中、British Culture in Japanへのインタヴューに応えてくれました。

1842年に完成したカントリー・ハウス、ハイクレア城に今も暮らすカーナーヴォン伯爵と夫人。『ダウントン・アビー』で描かれる貴族の暮らしを継承しながら、春と夏に一般公開日を設けて世界中から訪れる観光客にその伝統と魅力を伝えています。テレビで観たままの、あの格式あるハイクレア城への思い、そして『ダウントン・アビー』についても語ってくれました。

──『ダウントン・アビー』の放送終了後も春と夏の見学ツアーはあっという間に売り切れてしまうほどの人気が続いています。TVで親しみのあるサロンやダイニング・ルーム、ライブラリーを実際に訪れるまたとない機会となっていますが、ハイクレア城でまだ知られていない、ぜひ見てもらいたいところはありますか?

今年の夏に新しいツアー・ルートをスタートさせましたので、これまでに公開していなかった部屋やエリアをご覧になられますよ。以前のルートよりも良いと思っています。ツアーは大広間から始まり、グランサム伯爵夫婦の寝室へと続きます。オークの階段を下り、ダウントン・アビーの撮影現場にいるかのように想像してみてください。ダイニングルームを進むと、エジプト展へと降りていきます。エジプト展では第五代カーナヴォン卿がエジプトのルクソールにある王家の谷を探索した際のものが展示されています。最後は地下の使用人の廊下を通って中庭に出ます。ドラマでおわかりになっている方も多いと思いますが、ここにはたくさんの階段があります。ハイクレア城にいらしたら、約1万段の階段を上がり下がりすることになりますが、1日に歩くべき歩数は達成できると思いますよ(笑)。

──伯爵夫人も『ダウントン・アビー』と同じような暮らしをされているのでしょうか?

残念ながら、私には身支度を手伝ってくれるようなメイドはいません(笑)。私はもっと積極的なタイプで、グランサム伯爵夫人は受け身なところが多いように思います。メアリーは行動的なタイプですね。私はグランサム伯爵夫人役のエリザベス・マクガヴァンが大好きなんです。彼女はとても優しくて素敵な女性で、グランサム夫婦の関係がどう成り立っているのかを見るのはとても楽しいです。もちろん、みごとな脚本によるものですが。脚本家のジュリアン・フェロウズはとても賢く頭の切れる人で、文章の中の登場人物を“人間”にする力があります。

──『ダウントン・アビー』でお気に入りのシーンは?

映画の冒頭の撮影には、ドローンが使われました。郵便配達のオートバイが屋敷に向かって走ってくる様子を追っているシーンです。早朝の撮影で、とっても美しく素晴らしいシーンが撮れました。道を走ってくる様子から、黄金色の城と朝日が美しかったです。NYで行なわれたプレミアに出席したのですが、そのシーンになると、観客のみなさんが拍手をしてくれて、私は泣きそうになりました。感動的な瞬間だったし、とてもいい光景でしたね。私はもちろんこの家を気に入っていますが、そこにいらっしゃった方々も同じ気持ちを抱いてくださっていると思うとうれしくなりました。

──1000年以上の歴史があるハイクレア城で、最もモダンなものといえば

Wi-Fiはありますが、壁があまりにも厚いので通信環境は良いとは言えません(苦笑)。お城と同じ1000年の歴史があるキッチンには、ウォークイン冷蔵庫や換気扇、モダンなオーブンもあります。料理は家族の中心であり、ゲストを迎える大切なものです。先日、偶然にも昔の電話機を見つけたんですよ。あとはテレビくらいでしょうか。私の書斎の戸棚の中にひとつだけあります。モダンと言えば、そのくらいですね。

──ハイクレア城に暮らされて、特別な思いを抱くときとはありますか?

昔、ここに歴史の偉人たちがお客さまとして来たと考えるときですね。想像を絶するような思いです。19世紀後半の首相だったベンジャミン・ディズレーリ、ジョージ二世の妻キャロライン王妃、ジョージ五世、メアリー女王、マルコム・サージェント、ウィンストン・チャーチル、パットン将軍、、チャールズ・アダムス。そして、遠く日本から来られたみなさん。本当にたくさんの人たちに、くつろいでもら、討論や思案、分析もする場を提供してきました。私はとても恵まれていると思います。

──まだまだ困難な時期が続きますが、以前のように渡英できるようになればハイクレア城に訪れたいと願う日本人は少なくありません。今後についてお考えになっていることはありますか?

より多くの観光客のみなさんを迎え入れたいと思っています。そのための新しいツアーを作ろうと考えているところなんですよ。レディ・カナーヴォン・ツアーを作ってみるのも楽しいのではと思いました。北にあるオックスフォードには素敵なホテルがありますし、ここから近い鉄道の駅のニューベリーからロンドンのパディントン駅へも電車で40分です。ヒースロー空港に降り立ったら、そのまま向かわれてもアクセスはいいですよ。レンタカーで1時間ほどで到着します。バースやコッツウォルズ、さらに私が幼少期に過ごした美しいコーンウォールも遠くありません。ロケーションにも恵まれています。ハイクレアはマーケットがあったり、アンティークショップがあったり、素敵な町です。今はまだ無理かもしれませんが、そう遠くない日に日本のみなさんがハイクレア城に訪ねて来られるのを心待ちにしています。

Photo : @HighclereCastle

協力 : 英国政府観光庁 https://www.visitbritain.com/jp/ja

Link

https://www.highclerecastle.co.uk/

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