英国Generator、日本との音楽交流プログラム開始|2月に福岡・東京で共同制作

Generator

イングランド北部を拠点とする音楽開発機関Generatorが、日本との大規模な国際パートナーシップを発表しました。2026年2月6日(金)から16日(月)まで、イングランド北部のアーティスト2名が福岡と東京を訪問し、日本のクリエイターとの共同ソングライティングキャンプやショーケース公演を実施します。世界第2位の音楽市場である日本への直接的なアクセスを可能にする、英国初の北部音楽輸出オフィスの中核プログラムとして位置づけられています。




世界第2位の音楽市場・日本へのアクセスを実現

ミック・ロス

ミック・ロス

Generatorはニューキャッスルに拠点を置く音楽開発機関で、1991年の設立以来、北部地域のアーティストやクリエイターの育成とキャリア構築を支援してきました。今回のパートナーシップは、GeneratorのCEOであるミック・ロスが1年以上かけて築いてきた関係構築の成果であり、英国ビジネス・通商省(Department for Business and Trade)やBPI(英国レコード産業協会)主導の貿易ミッションを通じて、日本の音楽業界幹部との長期的な協力関係を確立しました。

日本の音楽市場規模は約24億ドル(約3,600億円)に達し、世界第2位の音楽市場として位置づけられています。しかし、従来の英国からの音楽輸出活動はロンドンを中心に展開されてきたため、北部地域のアーティストには国際市場へのアクセスが限られていました。Generatorは、この不均衡を是正し、北部地域のアーティストが独自の条件でグローバル市場と直接関わる道筋を構築しています。

 

KEF Music Gallery TOKYO

KEF Music Gallery TOKYO

また、英国発のプレミアム・オーディオ・ブランドKEFが本パートナーシップをサポートしており、青山のKEF Music Gallery Tokyoが日英音楽交流の拠点として活用されます。KEFのローレンス・チュ(KEF Asia Pacific代表・中国を除く)は「KEFとGeneratorのパートナーシップは、日本が長年育んできた英国音楽への深い敬意を土台とした、真の文化交流を促進するものです」と述べています。



2月に福岡と東京でイングランド北部アーティストが参加

ローレン・ヒート

ローレン・ヒート

2026年2月6日(金)から16日(月)まで、GeneratorはNorthern Music Exchangeとして日本への交流プログラムを実施します。参加するのは、ティーズバレーを拠点とするクィアポップアーティストのローレン・ヒートと、ノースタインサイドを拠点とするプロデューサー・ソングライターのチャド・ロジャースの2名で、いずれも日本の業界パートナーによって直接選出されました。

ローレン・ヒートは「日本にご招待いただき、本当に信じられないほど感謝しています。まるで夢のようで、一生に一度の機会だと感じています。アーティストとして大きな希望を持っており、日本で長く活動できる関係を築いていきたいと考えています」とコメントし、チャド・ロジャースは「ずっと憧れてきた日本のクリエイティブ文化に触れ、現地の素晴らしいアーティストたちと一緒に音楽を作れることに、言葉では表せないほどワクワクしています」と期待を表明しています。

 

プログラムは福岡からスタートし、3日間にわたる国際ソングライティングキャンプを開催します。イングランド北部と日本のアーティスト、プロデューサーが協力して新しい楽曲を制作するほか、GeneratorはFukuoka Music Cities Summitにも参加します。サミットではGenerator CEOのミック・ロス、Generator Chairのデイビッド・ヘイリー、チャド・ロジャースが音楽都市・輸出・クリエイティブインフラストラクチャーに関する国際的な議論に登壇します。サミット期間中には、ローレン・ヒートが日本のアーティスト岩崎桃香との共同制作楽曲をプレミア披露し、チャド・ロジャースがプロデュースを担当します。

その後、プログラムは東京へ移動し、代官山のTokyo ORDを起点に招待制の2日間にわたるUK × Japan Music Summitを開催します。さらに、青山のKEF Music Gallery TokyoでCUEWとのパートナーシップによるパネルディスカッション、リスニングセッション、業界向けイベントを実施し、日本の主要レーベル・出版社・プロモーター・クリエイティブリーダーが集結します。



英国初の北部音楽輸出オフィスの中核プロジェクト

今回の日本ミッションは、3年間の文化・業界交流プログラムのベータフェーズとして位置づけられ、英国初の北部音楽輸出オフィス(Northern Music Export Office)の中核となります。この輸出オフィスは、ウェストヨークシャー広域行政機構、リヴァプール市域、ティーズバレー、ノースイーストの複数自治体による共同イニシアチブであり、2026年春に正式にローンチされる予定です。

北部音楽輸出オフィスは、英国政府と英国ビジネス・通商省の優先課題である、日本を含む主要グローバル地域とのクリエイティブ貿易関係の強化に直接合致しています。輸出トレーニング、グローバルショーケース機会、国際ツアーに関するアドバイス、助成金へのアクセスといった幅広いサービスを提供し、北部地域のアーティストが国際市場で成功するための実践的な支援を行います。

 

 

また、このプロジェクトは、英国と日本を結ぶMUSUBIイニシアチブとも連動しており、音楽とクリエイティブコラボレーションを通じた長期的な文化的・経済的つながりの強化を目指しています。MUSUBIは「結び」を意味する日本語に基づいた官民連携プロジェクトで、2025年大阪・関西万博で発表され、教育・スポーツ・文化交流を通じた両国の若者のエンパワーメントを推進しています。



イングランド北部の音楽シーンが直面する危機と可能性

英国の音楽シーンは現在、深刻な構造的課題に直面しています。Music Venue Trust(MVT)の報告によれば、2024年に46か所のグラスルーツ音楽会場が閉鎖され、2023年の125か所から減少したものの、依然として2週間に1か所のペースで会場が失われている状況です。英国全体のグラスルーツ会場の約半数が赤字経営であり、2024年には30会場が閉鎖、6,000人のスタッフが解雇されました。

しかし、北部地域には独自の強みがあります。Newcastle Gateshead Music Cityイニシアチブは、今後数年間で2,000~4,000人の音楽関連雇用を創出し、地域経済に7億5,000万ポンド(約1,425億円)の経済効果をもたらすことを目標としています。北部地域の音楽は120億回以上のストリーミング再生を記録しており、世界的な需要の高さを示しています。

今回の日本とのパートナーシップは、この文脈の中で特に重要です。国内市場が縮小する中、北部のアーティストが国際市場へ直接アクセスできる仕組みを構築することで、持続可能なキャリアパスと地域経済の活性化を同時に実現する試みとなっています。2026年2月のプログラムは、こうした構造的課題への具体的な解決策のひとつとして位置づけられます。



北部が生んだ成功例が地域全体を活性化

Generatorは30年以上にわたり、サム・フェンダーやナディーン・シャーといったチャートトップアーティストから新人まで幅広く支援してきました。サム・フェンダーは2019年にBRITアワードのCritics’ Choice賞を受賞後、2022年にBest Rock/Alternative Act賞を獲得し、地元ノース・シールズのLow Lights Tavernに自身のBRITアワードトロフィーをビールサーバーのハンドルとして展示するなど、地域への誇りを体現しています。2025年10月16日(木)には、彼のアルバム『People Watching』が2025年マーキュリー・プライズを受賞し、ノース・シールズのアーティストとしての地位を確固たるものにしました。

このマーキュリー・プライズ授賞式は、同賞の歴史上初めてニューキャッスルのUtilita Arenaで開催されました。ロンドン以外での開催は前例がなく、ニューキャッスル市議会とノースイースト広域行政機構とのパートナーシップによって実現したこの決定は、北部地域の音楽シーンに対する全国的な認知の転換点となりました。授賞式に先立つ1週間、Generator主導のMercury Fringe Newcastleが北東部7つの地方自治体(ニューキャッスル、ゲーツヘッド、サンダーランド、ダラム、ノーサンバーランド、ノース・タインサイド、サウス・タインサイド)全域で展開され、地元の若手音楽家やコミュニティが参加する数十のイベントが開催されました。

2025年にはティーズバレー出身のDJ・プロデューサーのBooが、BBC Radio 1のEmerging Talent賞を受賞し、デビューEP「Winged Victory」が25万回以上のストリーミングを記録しました。彼女はティーズサイド出身として初めてワッサーマン・ミュージックのグローバルロスターに加入し、自身のクラブナイト兼レーベル「Ghetec」を通じて北東部の150人以上の新人DJをメンタリングしています。また、同じくティーズバレー出身のシンガーソングライターであるフィン・フォースターは、2025年のSXSW Austinへの出演とザ・ステレオフォニックスのヨーロッパツアーサポートを務め、国際的な注目を集めています。

これらの成功は個別の事例に留まらず、地域全体のエコシステムを変革しています。2024年10月にはGeneratorとThe Glasshouse International Centre for Musicが共同でNewcastle Gateshead Music Cityイニシアチブを発表し、Sunderland Music CityやTees ValleyのSonic Futuresと連携して、北東部を国内音楽産業の拠点として確立する戦略を本格化させました。このイニシアチブは、教育機関と音楽キャリアの直接的なリンクを構築し、地域のアーティストが移住せずに国際的なキャリアを築ける環境整備を目指しています。ノースイースト広域行政機構の市長キム・マクギネスは「ロンドンだけでなく、どこでも音楽家が成功できることを示す機会を子どもたちに提供することで、この地域の未来のマーキュリー・プライズ受賞者が生まれるかもしれません」と述べています。



ロンドン中心から地域主導の輸出へ転換

Generator CEOのミック・ロスは「Generatorは、イングランド北部のアーティストが国内だけでなく世界中で認知され、真剣に受け止められるために存在しています。日本は創造性への深い敬意を持つグローバルパワーハウスであり、私たちが築いてきた関係は、北部の声・アイデア・エネルギーに対する需要の大きさを示しています。このパートナーシップは、私たちの明確な意思表明です。世界水準のクリエイティブな交流は、ロンドン主導である必要はないということを証明しています」と述べています。

英国の音楽輸出は長年ロンドンを中心に行われてきたため、北部地域のアーティストには機会が限られていました。北部音楽輸出オフィスは、この構造的な障壁を取り除き、地域のアーティストが独自の強みを活かして国際市場に参入できる仕組みを構築します。実際、2025年3月にテキサス州オースティンで開催されたSXSW Festivalでも、北部地域のシンガーソングライターであるコートニー・ディクソン、アメリア・コバーン、フィン・フォースターが北部クリエイティブ産業を代表して参加し、国際的なプロモーション活動を展開しました。

ティーズバレー市長のベン・ハウチェンは「私たちの地域は世界クラスのアーティストであふれており、このパートナーシップは彼らにふさわしいグローバルなプラットフォームを提供するものです。Generatorを支援し、国際音楽市場への扉を開くことで、ティーズサイド、ダーリントン、ハートリープールの才能ある声が世界中で聞かれるようにしています」とコメントしています。



日本側パートナーも文化交流の意義を強調

福岡ミュージックシティ協議会ディレクターの深町健二郎は「音楽は国境を簡単に超えると言われていますが、異なる文化的背景を持つ若いアーティストがプロジェクトで協力するとき、どのような化学反応が生まれるか、そして音楽の未来がどうなるかを見るのを楽しみにしています」と述べ、Co-write Projectの福岡開催への期待を表明しました。

CUEWの創設者のひとりであるタカハシコーキは「私たちは両国・両地域間の文化交流を促進するためにこのパートナーシップを確立しています。長期的なクリエイティブコラボレーションを促進することで、以前は達成不可能だったアーティストの国際的キャリアを構築することを目指しています。このプロジェクトは、私たちのそれぞれの文化を豊かにし、新しい可能性を解き放つための第一歩です」とコメントしています。

東京を拠点とするDJ・ブロードキャスターのニック・ラスコムは「これは私が日本で長い間待ち望んでいた種類のコラボレーションイニシアチブです。ここには新しい英国音楽への本物の需要があり、同時に国外でもっと広く聴かれるべき日本のアーティストが驚くほど多数存在します。これがどこに向かうのか、とてもワクワクしています」と述べています。

 

Link

https://generator.org.uk/

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