ウェット・レッグ来日ライブレポート|豊洲PIT、3年ぶりの来日と『moisturizer』が刻んだ夜

Wet Leg / 東京公演のライブレポート

2026年2月18日、東京・豊洲PITにてウェット・レッグの来日公演が開催されました。2ndアルバム『moisturizer』を携えた3年ぶりの来日公演には、スペシャルゲストとして羊文学も登場。グラミー受賞を経てスターバンドへと進化したウェット・レッグは、アンコールなし・ノンストップの18曲で豊洲のフロアを圧倒しました。ウェット・レッグの現在地を目撃した夜のライブレポート。




ウェット・レッグ、3年ぶりの来日公演——羊文学がオープニングを飾った豊洲PITの一夜

 

Wet Leg / 東京公演のライブレポート

 

オープニング・アクトを務めたのは羊文学、贅沢な一夜となった。

ウェット・レッグは、セカンドアルバム『moisturizer』を携え3年ぶりの来日公演。デビュー以降、あっという間に、グラミー受賞、巨大フェスのメインステージ、母国イギリスではアリーナ規模へ。スターバンドになり、変貌したウェット・レッグのステージに期待が高まる。

赤く染まるスモークの中、登場したフロントウーマン、リアン・ティーズデールはマッスルポーズを決める。鍛え上げられた身体が象徴するのは、フィジカルの変化だけではない。視線、間、立ち姿、すべてが「強くなった」リアンである。



「catch these fists」から「wet dream」へ——スターバンドの余裕が光る序盤

 

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オープニングは、「catch these fists」。拳を振り上げるタイトル通り、リアンのパンチが効いた攻撃的な歌詞。クィアであることを公表し、若い世代のアイコンともなった彼女の存在は、若者たちのLGBTQ+を牽引している。

続く「wet dream」。ハリー・スタイルズがカバーし世界的な知名度を決定づけた代表曲。3年前も2曲目に登場したが、”キラーチューン”の役割を超え、バンドの余裕や自信を感じる。

演奏のパンク的要素は増幅している。その中核にいるのがギタリスト、へスター・チェンバースだ。ノイジーだけど、ポップな演奏が時折空間を切り裂く。かつてはリアンと並んで立つ2人組の姿が象徴的だったが、今のへスターは一歩引き、スモークの奥で演奏に徹する。それは、5人編成のロックバンドに振り切った選択、新たなウェット・レッグの姿だ。ミニスカートで、モッキンバードのスケルトンギターを手にしたリアンをより引き立てる。



「chaise longue」「CPR」——ノンストップで畳みかける怒涛の18曲セットリスト

 

Wet Leg / 東京公演のライブレポート

 

MCがほとんどないライブで、リアンがオーディエンスを静かに煽る。スクリームがおなじみの「ur mum」。会場全体が一つに盛り上がる叫びを飲み込むステージ。「ドライブしたくない?ワイト島から東京まで」と歌う「pokemon」、会場はいつの間にか、ウェット・レッグの爆走する車に乗せられたかのようだ。ウェット・レッグの中でも特に奇抜な構成の曲「too late now」、ゆったりしたボーカルがしゃべりのように変化し、演奏が激しくなっていく。

後半、これでもかと会場を盛り上げる曲が続く。デビューシングル「chaise longue」、脱力ボーカルと頭の中をグルグルと回るベースラインで、ウェット・レッグの個性を打ち出し、注目されるきっかけとなった曲だ。一緒に歌っているオーディエンスも目立つ。「これは愛なの、それとも自殺?」 愛と破滅が交差する、まさにウェット・レッグな曲「CPR」。ラストは痛烈な歌詞を浴びせる「mangetout」。ノンストップ、アンコールなし。メンバー紹介もなし、畳みかけた怒涛の18曲、ウェット・レッグ・ワールドが詰まりに詰まった、ポップでパンクでロックな1時間強だった。



ポップとパンクの境界線を超えて——次世代を牽引するウェット・レッグの現在地

Wet Leg / 東京公演のライブレポート

“イギリスいちの変人”とも言われる、ウェット・レッグ。彼女たちは、ポップとパンクの境界線を踏み越え、自分たちの物語を自分たちで加速させるバンドになった。

今後、音楽だけはなく、次世代の牽引者として期待したい。

文/喜久知重比呂 写真/Yukitaka Amemiya

 

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