来日直前! 英国最高峰のバンドへと成長したフォールズのライヴ・レポート

Music 2020.02.26 Text by Yumi Hasegawa

3月3日(火)の名古屋公演を皮切りに単独来日ツアーをスタートさせるフォールズの最新ライヴ・レポートが到着! ロンドンの夜を熱狂させた灼熱のパフォーマンスが伝わるレポートになっています。

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Foals @ O2 Shepherd’s Bush Empire. London 17th February 2020

 

2020年に入り、英国を代表する音楽メディア『NME』が主宰するNMEアワードで「最優秀ライヴアクト賞」を受賞し、立て続けに英国音楽界において最も権威あるブリット・アワードの「最優秀グループ賞」に輝いたフォールズ。名実共に英国最高峰のバンドへと成長した彼らが、チャリティー団体War Childが主催するイベント“BRITs Week 2020”のヘッドライナーとして、ロンドン西部の老舗ヴェニュー、シェファーズ・ブッシュ・エンパイアでパフォーマンスを披露した。

 

War Childは戦争孤児や戦争被害、ひいては性的搾取から子ども達を守るために活発な活動を続けている慈善団体で、1週間ロンドンのさまざまなヴェニューで開催されたすべてのイベントの総括ヘッドライナーに抜擢されることは、フォールズにとって大変名誉なことだろう。しかも昨年6月、ニュー・アルバム『エヴリシング・ノット・セイヴド・ウィル・ビィ・ロスト・パート1』を引っ提げ、1万人収容のアレクサンドラ・パレス 2daysを即完させた彼らを2千人のキャパで観られるとあって、チケット争奪戦は当然の如く熾烈を極めた。

 

 

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21時3分。昨年10月にリリースされた最新作、『エヴリシング・ノット・セイヴド・ウィル・ビィ・ロスト・パート2』のオープニング・ナンバーである「レッド・デザート」をSEに、異様な熱を帯びた超満員のオーディエンスの前に、サポート・メンバーを含む5人が姿を現す。1曲目は、同じく『パート2』の2曲目であり、アルバムの核となる「ザ・ランナー」。ここ数年のフォールズの集大成とも言うべきヘヴィなギターのうねり、タイトなリズム。フロントマン、ヤニス・フィリッパケスの伸びやかなヴォーカルと、重厚なコーラスとの激しい掛け合いが、客席にモッシュの渦を巻き起こす。「俺は立ち止まらない、休みなく走り続ける」という歌詞に背中を押されるように、男性客が8割以上のスタンディングアリーナが荒波のようなうねりを増幅させていく。

 

思えば、同時期にレコーディングされた作品を2枚に分けて発表すると聞いて「パート2はやや失速するのではないか」と懐疑的な目を向けたのも事実だった。それはもちろん、『パート1』の完成度があまりにも高すぎたからだ。あのクオリティのアルバムを2枚も同時に作れるわけがない。ところが、穿った目で見た自分が恥ずかしく、そして情けなくなるほど『パート2』は、彼らの最高傑作と信じて疑わなかった『パート1』を軽々と飛び越えてきた。この2枚を携えたライヴ・パフォーマンスが、想像を絶する領域にまで達することも、確信犯の彼らはすでに織り込み済みだったのだろう。

 

続くライヴ・フェイヴァリットの「スネーク・オイル」で客席に完全に火が点いた頃合いを見計らって、フォールズの専売特許とも言えるマス・ロックのリズムが印象的な『パート2』からの「ウォッシュ・オフ」を投入。2階・3階席も総立ちとなり、激しいダンスでバルコニーが抜け落ちるのではないかという恐怖さえ感じるほど会場全体が大きく揺れ始める。フォールズのライヴには欠かせない「マウンテン・アット・マイ・ゲーツ」を挟んで、キラー・チューン「オリンピック・エアウェイズ」の冒頭では、新たにベーシストとして加入したジャグウォー・マのジャック・フリーマンを紹介。昨年サポート・メンバーを務めたエヴリシング・エヴリシングのジェレミー・プリチャードが自身のバンド活動に集中することを受けて、ジャックが参加することになったという。このライブが初登場となるが、何度も一緒にツアーを廻り、家族のような関係性を築いてきたこともあって、ジャックの骨太なベースパフォーマンスはすでにフォールズの屋台骨を支えるに充分な印象だ。

 

 

「マイ・ナンバー」「ブラック・ゴールド」を経て、わずか1年弱で驚くほど精度を上げてきた『パート1』収録の「オン・ザ・ルナ」「エグジッツ」でオーディエンスのヴォルテージは最高潮に。パフォーマンスの精度を上げれば上げるほど、ともすると退屈になりがちなライヴをいくつも観て来たが、フォールズは違う。レコードとはまるで異なるライヴ・ヴァージョンへと磨きをかけ、ただひたすらに身体を、感情を、感覚を操られてしまうのだ。最優秀ライヴアクト賞を獲得したのは当然の成り行きだし、それをも凌駕する熱量で、客席と一体化するというよりも、オーディエンスのすべてを飲み込んでしまう。観る側は、もう踊るしか、暴れるしか術がない。

 

そんな肉体と精神を支配されてしまったオーディエンスが、誰からともなく「ザ・フレンチ・オープン」を口ずさみ始めた。そのシュプレヒコールは怒号のように膨れあがり、会場全体が歌い始めたその時、ヤニスとジミー・スミスのギターがリフを奏で、それに呼応するようにジャック・ビーヴァンのドラムとジャック・フリーマンのベースがリズムを刻み、オーディエンスをヴォーカルに迎えてのジャムセッションが繰り広げられる。恐らく、ここで「ザ・フレンチ・オープン」を演奏する予定はなかったのだろう。それでも、フォールズが客席に応えてくれたこの瞬間、彼らが間違いなく世界最高のライヴ・バンドであることが証明されたのだ。

 

沸点に到達した会場をクールダウンするかのような「スパニッシュ・サハラ」でのヤニスの美しくも切ない歌声、最近のライヴではお約束となった「インヘイラー」でオーディエンスをしゃがませて(あるいは着席させて)から一気にジャンプさせる扇情パフォーマンス。このライヴが初披露となる新曲「ネプチューン」で幕を閉じるまでの全16曲、1時間30分にも及ぶ壮絶なプレイは、大袈裟でも何でもなく、ここで死んでもいいなとオーディエンスに思わせ、あるいはせめてもう一度体験しなければ死ねないという思いも抱かせるパワーに満ちていた。アンコールのラストでモッシングの嵐を起こした「ツー・ステップス・トゥワイス」の興奮は、まるで麻薬だ。何度でも何度でも、この瞬間をフォールズと共有したい。客席で酔い痴れたい。

 

 

英国最高峰のバンドへと成長し、これから彼らを栄光の影と孤独が襲うこともあるだろう。それでも俺たちは走り続ける。その意思表明はあまりにも眩しくて泥臭くて、信じてついていくだけだ。観ずに死ねないフォールズのライヴを、3月の日本ツアーでぜひその目で、耳で、身体で体感して欲しい。

 

文 / 長谷川友美 写真 / Patrick Gunning

 

Setlist

01. The Runner
02. Snake Oil
03. Wash Off
04. Mountain at My Gates
05. Olympic Airways
06. My Number
07. Black Gold
08. On the Luna
09. Exits
10. The French Open (jam)
11. Spanish Sahara
12. Birch Tree
13. In Degrees
14. Like Lightning
15. Inhaler
16. Neptune

 

アンコール
17. Black Bull
18. What Went Down
19. Two Steps, Twice

 

■Live info

FOALS JAPAN TOUR 2020

3月3日(火) 愛知・Nagoya CLUB QUATTRO OPEN 18:30 / START 19:30
3月4日(水) 大阪・BIGCAT OPEN 18:30 / START 19:30
3月5日(木) 東京・新木場 STUDIO COAST OPEN 18:30 / START 19:30

 

■Disc info

 

フォールズ
『エヴリシング・ノット・セイヴド・ウィル・ビィ・ロスト・パート2』
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
Now on Sale

 

 

フォールズ
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