クイーン・エリザベスに乗ってわかった、日本からいちばん近い“英国”

イングリッシュブレックファスト

豪華客船の代名詞であり、誰もがいちどは乗船してみたいと憧れる「クイーン・エリザベス」。これまで4回にわたって、広すぎる船内や多彩な食事についてご紹介してきましたが、今回は実際に乗船してのインプレッションをみなさんにお伝えしていきます。

ちょうど2023年は「クイーン・エリザベス」を運航しているラグジュアリー・クルーズ・ライン「キュナード・ライン」の客船が初めて日本に寄港してから100年目となる節目の年でもありました。

2023年は4月から6月にかけて「シンガポール~横浜17日間」「新緑の日本周遊と韓国10日間」「ゴールデンウィーク新緑の九州と韓国9日間」「春の沖縄リゾートと台湾クルーズ10日間」「初夏の西日本歴史名所巡り10日間」「横浜~バンクーバー太平洋横断とアラスカ16日間」からなる6つの日本発着クルーズが実施されました。

クイーン・エリザベスのクルーズコース

そのうちの「新緑の日本周遊と韓国10日間」には長期の休暇取得が難しい方も利用しやすいように旅程を半分に分けたショートコースがあり、そちらの「釜山~横浜6日間」に参加。釜山より乗船しました。

クイーン・エリザベスのクルーズ日程

しかも、このクルーズでは日本周遊クルーズで初となる“テーマクルーズ”「ベスト・オブ・ブリティッシュ~英国ミュージック&ビートルズ~」を実施。

ベスト・オブ・ブリティッシュ~英国ミュージック&ビートルズ~

船内随所で英国を感じることができる「クイーン・エリザベス」で、ザ・ビートルズをはじめとするUKポップス&ロックなどの音楽、英国にゆかりのある映画など、クルーズを通じて英国の様々な側面からテーマに沿ったイベントなどを体験できる内容となっていました。

船内に一歩足を踏み入れると、もうそこは英国

成田空港から釜山までは約2時間。

釜山カモメをイメージしたキャラクター「ブギ」

釜山カモメをイメージしたキャラクター「ブギ」がお出迎え

乗船する場所は釜山港国際旅客ターミナルで、入国したばかりですが、次の寄港地は金沢になるので、こちらのターミナルで出国手続きをしなくてはいけません。

釜山港国際旅客ターミナル

釜山港国際旅客ターミナル

スーツケースなど、重たい荷物は出国手続き前に預け入れ。後ほど部屋まで届けてくれます。

クイーン・エリザベス

身軽になって船内へ

船内に入るとまず目に入るのが、エリザベス2世女王陛下の甥に当たるデイヴィッド・リンリー(第2代スノードン伯爵)による寄木細工。船内に一歩足を踏み入れただけで英国の雰囲気に包まれます。
 

クイーン・エリザベス

 

乗船するとまずは各自の部屋へ。そのあとは全員参加の避難訓練がありました。

クイーン・エリザベス

クイーン・エリザベスのバルコニー

バルコニーが付いた室内は2名が滞在するのにちょうどいいくらいの広さで、狭苦しさや圧迫感はありません。
 

クイーン・エリザベス

シャワールームとお手洗い。

クイーン・エリザベス

部屋の冷蔵庫にはウェルカムのスパークリングワインが冷やされていました。

出港まで時間があったので、さっそく船内を散策。「リド・レストラン」ではちょうどアフタヌーンティーの時間だったので、さっそくいただきました。

クイーン・エリザベス
 

ウエッジウッド

船内の食器はウエッジウッドを主に使用。

海の上とは思えないパブで3つの船でしか飲めないクラフトビールで乾杯

夜は船内のパブ「ゴールデン・ライオン」へ。イギリスならばどこにでもあるオーセンティックなパブがそのまま船内にインストールされているようで、海の上とは思えない空間でさっそくパイントを。
 

クイーン・エリザベスのビール

 

このスタウト「CUNARD BLACK」は、「キュナード・ライン」が数々の受賞歴のある英国の地ビール醸造会社「ダーク・レボリューション」と提携して開発したクラフトビールで、「クイーン・エリザベス」「クイーン・メリー2」「クイーン・ヴィクトリア」の「3クイーンズ」だけのクラフトビールとして船内で提供されているもの。風味が良く、ほんのりとした甘みのあるスタウトでした。
 

フィーバーツリー

 

ちなみに船内での支払いはすべてクレジットカードを紐づけたカードキーで行われます。この「CUNARD BLACK」は6.8USDで、船内のアルコールの価格はとても良心的な設定で、むしろ安いくらいでした。

パブでの食事はクルーズ代金に含まれているので支払いの手続きをする必要はありません。

24時間のルームサービスも大充実

部屋に戻って、持参したHDMIケーブルとPCをつないで、あらかじめダウンロードしておいたAmazon PrimeとNetflixのドラマを鑑賞。船内のTVはたくさんチャンネルがあり、日本語の番組も放送されています。

ドラマを2本くらい観たら、少しお腹が空いたのでルームサービスをオーダー。部屋の電話から注文すると、作りたてを持ってきてくれます。

クイーン・エリザベス ルームサービス

透明のケースが付けて運んできてくれるので衛生面も安心です。

マカロニチーズとラズベリーのチーズケーキ

マカロニチーズとラズベリーのチーズケーキを頼みました。

ルームサービは時間帯によってメニューが異なります。ドリンクは有料です。

クイーン・エリザベスのルームサービスのメニュー

深夜に食べてしまった背徳感をおぼえつつ就寝。揺れはほとんど感じられず、ぐっすりと朝まで眠れました。

船内でフェンシング教室も!?

イングリッシュブレックファスト

朝食は船尾にある「ブリタニア・レストラン」で。もちろんイングリッシュブレックファストを。

プレート

デッキ3にはプロムナードデッキが設けられ、船を1周出来るようになっています。1周=約480m

食後は運動を兼ねて、船内を探検。「クイーン・エリザベス」の全長は294mあるので、歩いていると1日でけっこうな歩数になります。

ロイヤル・アーケード

ロイヤル・アーケード

船内のショッピングモール「ロイヤル・アーケード」をのぞくと、英国ブランドの洋服や化粧品がたくさん並んでいました。免税でお買い物ができます。

ロイヤル・アーケード

キュナードベア

お土産で大人気のキュナードベア

朝から夜まで船内では、ダンスレッスンやヨガ、水彩画講座、クイズ大会、パターゴルフ大会、フェンシング教室(!)など、様々なプログラムが実施されています。そちらに参加するもよし、のんびり海を眺めていてもよしで、乗客はそれぞれのペースでクルーズを楽しんでいました。海の上でやることなんてないんじゃないの? という疑問を抱かれるかもしれませんが、それはまったくなかったです。

クイーン・ビクトリアでのフェンシング

提供 : キュナード・ライン

クイーン・エリザベスのデッキ

ドレスコードは逆に楽しい

クイーン・エリザベス アフタヌーンティー

ランチのあとは、夜は華やかなダンスが繰り広げられる「クイーンズ・ルーム」でアフタヌーンティー。毎日提供されるなんて、夢のようじゃないですか? クラシカルな制服をまとったウェイターにサーブされると豪華客船に乗っている実感をおぼえます。こちらでのアフタヌーンティーは大人気で、座れないこともしばしば。早めに行って席を確保するのがおすすめです。
 

ブリタニア・レストラン

 

「クイーン・エリザベス」にはドレスコードがあります。日中はカジュアルな装いで過ごせますが、夕方からは船内の雰囲気に合わせてフォーマルな服装であることを求められます。

ドレスコードは日替わりで、スマート・アタイアー(男性はジャケットにスラックス、女性はカクテルドレス、パンツスーツ、ワンピースなど)もしくは、ガラ・イブニング(男性はタキシードもしくはダークスーツにネクタイ、女性はイブニングドレスや着物など)のふたつのドレスコードが適用されます。

男性はタキシードが多いと聞いていましたが、今回のクルーズではダークスーツと半々くらいの割合で、外国航路になるとタキシードの率がぐっと上がるとのことでした。

堅苦しいと思われがちのドレスコードですが、確かに乗船前は準備もあるし面倒だなと思っていました。しかし、いざ着替えて、ディナーの席に着くとクルーズ船という非日常の空間でコスプレしているような感じがして、むしろ楽しかったです。タキシードも持ってきて着たかったと思うくらい。女性の方々もとても華やかで表情がより一層輝いて見えました。今日の夜は何を着ようかとあれこれ悩むのもクルーズの楽しみだと思います。

船内に“ザ・ビートルズ”がよみがえった夜

ザ・ブートレッグ・ビートルズ(The Bootleg Beatles)

食後は3層吹き抜けの「ロイヤル・コート・シアター」で、今回のテーマクルーズのスペシャルゲストとして出演する、世界最高峰のビートルズトリビュートバンド「ザ・ブートレッグ・ビートルズ(The Bootleg Beatles)」のライヴを楽しみました。

ザ・ブートレッグ・ビートルズ(The Bootleg Beatles)

彼らのライヴを目当てに乗船された方も見受けられ、1曲目から大盛りあがり。日本武道館での公演実績がある彼らのパフォーマンスは細部に至るまでザ・ビートルズを表現していて、まるで60年代のイギリスにタイムスリップしたような一夜になりました。

ザ・ブートレッグ・ビートルズ(The Bootleg Beatles)

ジン好きにはたまらないバー

 

Pollination Gin

ウェールズのPollination Gin。

ライヴでの高揚感をクールダウンしようと終演後は英国をはじめ、世界各国のジンが揃った「ミッドシップス・バー」。どれを飲もうかとずっと悩んでしまうくらい、見たことがないようなジンがたくさんあって、クルーズ中は足繁く通ってしまいました。

3クイーンズ・ジン

「クイーン・エリザベス」「クイーン・ヴィクトリア」「クイーン・メリー2」の3隻をイメージしたクラフトジン「3クイーンズ・ジン」もあり、こちらはエディンバラにあるサマーホール蒸留所で職人の手作業により少量ずつ生産された希少なジンになります。各船のジンのミニチュアボトルがセットになったものもお土産で人気です。

船内には本格的なジムやプールも完備

 

クイーン・エリザベスに搭載された自転車

「クイーン・エリザベス」へは自転車の積み込みも可能。寄港地に着いて、自転車で出かける方も見受けられました。

翌朝、最初の寄港地である金沢に到着。寄港地ごとに様々な観光コースが用意され、朝から多くの人達が下船して各地に向かっていきました。この金沢ではいったん全員が下船し、日本への入国手続を行います。

船内の“英国”を1分でも長く楽しみたかったので寄港地の金沢、秋田ともにクルーズターミナルに立ち寄ったくらいで、あとはずっと船内を楽しみました。観光に向かった乗客たちが戻ってくる夕方前までは、船内にほとんど人がおらず、まるで貸切状態に。いつもは満席状態のアフタヌーンティーもゆったりと楽しめました。

クイーン・エリザベス ジム

クイーン・エリザベス プール

ずっと食べてばかり、と思われがちですが船内には本格的なジムも完備。食べた分を少しでもナシにしようと運動にはげめます。プールも2か所あるのですが、さすがに4月の日本なのでプールには誰も入っていませんでした。プール脇のジャグジーでのんびりしているご夫婦を見かけましたが、これが正解のようです。
 

クイーン・エリザベス ランドリー

船内のランドリー。いつも混んでいますが、寄港中は空いているので狙い目です。

仮面舞踏会も開催!

マスカレードボール

船内では毎夜「クイーンズ・ルーム」でダンスパーティーが開かれています。人気なのは「マスカレード・ボール」。仮面舞踏会です。ここぞとばかりにドレスアップした方々がダンスを楽しまれていました。英国のボールルーム文化に触れることができる機会なので、乗船されることがあれば、ぜひフロアに出て踊ってみてください。パートナーがいなくても大丈夫。ダンスホストが丁寧に相手をしてくれます(一部コース)。

日本からいちばん近い“英国”を楽しみ尽くそう

クイーン・エリザベスの夕日

豪華客船の旅と聞くと「高いからムリ」と思いがちですが、2024年に催行される「気軽にショートクルーズ 釜山~東京6日間」は16万円~と、とてもリーズナブルな値段設定に。三食付いて(しかも食べ放題! ※一部を除く)、さまざまなエンターテイメントも楽しめて、何よりも豪華客船の代名詞である「クイーン・エリザベス」に乗船するという一生の想い出まで得られる、またとない機会です。船内のどこにいても“英国”を感じる「クイーン・エリザベス」。日本からいちばん近い“英国”であると断言できます。
 

クイーン・エリザベス

 

協力 : キュナード・ライン

Link

https://www.cunard.jp/

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