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ロックダウン下のロンドンの生活をレポート
5月12日にイギリス政府は新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)緩和について新たなガイドラインを発表しました。3月23日から続いたロックダウンの出口が見え始めた一方で、緩和に向かったことでイングランドの海沿いのリゾート地は人であふれかえるという状況にもなっています。未曾有の事態の中、ロンドンで生活する人はロックダウンをどう過ごしていたのか。また、先の見えない中、どんな気持ちでいたのかをロンドン南東部で暮らす在英25年の女性にうかがいました。
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ロンドン・ブリッジ駅の改札
──まず、ロックダウンが始まった頃のことからお聞きしていきたいんですが。
ちょうど2月に日本に一時帰国していたんですが、その時は日本の方が深刻さを増しているような状況でした。ですので、ロンドンに戻ってきても日本の方が気になっていたのですが、あれよあれよという間にイギリスも大変なことになってきてロックダウンを迎えたということになります。私の勤務先も時間短縮になったんですが、その準備で2週間ほど出勤しなくてはいけなかったんです。ロックダウンが始まっていて普段よりは通勤客が少なくなっていたんですが、朝晩のラッシュの時は混んでいました。特にロンドンの地下鉄は狭い空間なので怖かったですね。でも、2週間経った頃にはずいぶんと通勤客も減っていました。その間にもどんどん亡くなる方が増えていって、心配になる一方でしたね。
正午すぎのピカデリー・サーカス駅
──日本でもイギリスの状況は伝えられてくる一方で、補償についても大きく報じられていました。企業に対して3300億ポンド(約46兆円)の緊急融資、休業する労働者に対しては給与の8割を補償(上限は2500ポンドで1月約40万円)、家賃を滞納することの容認、納税期限が来年に延期されるなど、矢継ぎ早の対応は日本から見ていて驚きの連続でした。
補償には本当に助かりましたね。いつまでロックダウンが続くかどうか先行きが見えない中で、8割を補償してくれるのは気持ちの面でも大いに助けられたと思います。だからこそ、2か月にわたるロックダウンも乗り切れたのではないんじゃないでしょうか。補償は国から会社の方にお金が振り込まれて、私たちに支払われるという流れだったようです。やはりしっかりと8割でしたね(笑)。イギリス人の夫はフリーランスなんですが、国から直接メールが届いて補償の申請をしていました。アルバイトやパートの人たちも、働く人すべてに補償が適用されます。銀行の口座などはすべてオンラインと紐付いているのでスピード感がありましたね。
ピカデリー・サーカス
──ロックダウン中はどのような生活を送っていましたか?
運動のために外出する以外は自宅にこもっていました。仕事をしていたときには手を付けられなかった家の掃除をしたりしています。買い物はだいたい1週間に1回くらいですかね。ロックダウン当初は日本と同じようにトイレットペーパー、パスタ、小麦粉がなくなりました。スーパーの開店時間前に並ばないと買えなかったですね。小麦粉はその後、パン屋さんで量り売りしてくれるようになりました。小麦粉自体はあるんですが、パッケージの生産が追いつかなくて店頭に並ばなかったようです。パン屋さんに小麦粉は欠かせませんから、業務用の大きな袋に入った小麦粉を多めに仕入れて、私たちに量り売りしてくれたんです。これには助かりましたね。お店に並ぶ際もソーシャルディスタンスが徹底されていて、時間がかかってもみんな文句も言わずに並んでいました。いざこざも見たことがありません。でも、補償がなかったらみんなギスギスしていたでしょうし、トラブルもあっただろうと思います。
スーパーで入店を待つ列
バラ・マーケットの入り口
──バラ・マーケットは日本の観光客にも人気の場所ですが、ロックダウン中はどうなっていたんですか?
お肉と野菜、パンを買いにバラ・マーケットに週に1回ほど行っていたんですが、入り口にセキュリティがいて人数制限をしていました。密にならないように買い物客の人数をコントロールしていましたね。ストールの前に列ができていましたが、みんな時間があるからかイライラせずに整然と並んでいました。
バラ・マーケット内
バラ・マーケット内
──先日、クラフトビールを飲んでいる写真を見かけましたが、ビールの製造は続いているんですね。
たぶん食料と同じで生産を続けているんだと思います。イギリス人にとってはなくてはならないものですから(笑)。ロックダウンで家にいる人が多いのでビールの消費量も上がっているんじゃないでしょうか。私たちがビールを買ったのは近所のチーズ屋さんで、そのお店にも置いてもらっているみたいです。オンラインでオーダーすれば、ブリュワリーの人か、デリバリー業者が配達もしてくれますよ。
ビールの銘柄は「ISOLATION IPA」。缶底部には「SATY HOME STAY SAFE!」の刻印が。なお、このビールの収益金はBritish Red Cross へ寄付されるとのこと。
──ロックダウンが緩和に向かっている中で、やはり外出する人は増えているんでしょうか?
今まではエクササイズ目的で1日1回の外出が許されていましたが、これからは制限がなくなるので、天気も良くなってきましたので必然的に増えると思います。でも、公園の中でもソーシャルディスタンスを意識して歩いていますね。さすがにビーチに人が大挙して訪れたのには驚きました。それだけ外出を待ち焦がれていたということでしょうが、現地の人たちは当たり前ですが快く思ってないようです。あと、イングランドからウェールズ、スコットランドに入らないようにも要請されていますので、どうしてもイングランド内のリゾート地や人気の場所に集中してしまうんでしょうね。
テムズ川沿いのパブのテーブルも閉鎖されている。
──まだまだかつての日常に戻るには時間がかかりそうですが、以前と同じように生活できるようになった時、いちばん何をしたいですか?
パブで注ぎたてのドラフトビールが飲みたい(笑)! まあ、パブが通常営業になるまでにはまだまだかかりそうですが……。パブに限らず、商業施設の方たちは今後どのように営業していくべきなのかを色々考えているところだと思います。そんなこんなしているうちに夏が終わったら、また冬がやってくる。その頃には少しでも以前のような生活が戻ってきていることを願っています。
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