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オアシス再結成ライヴ2025カーディフ完全レポート|16年ぶり復活の全セットリスト
2024年にデビュー30周年を迎え、奇跡の再結成と2025年7月からのワールド・ツアーを発表したオアシス。昨年夏のUK公演チケット販売開始日には、世界15か国のファンから1,000万人以上の応募が殺到。前例のないチケット争奪戦からも、彼らの音楽が今なお世界中で高い人気を誇っていることが改めて証明されました。公演日が近づくにつれ熱狂ぶりはますます高まりを見せ、その期待は最高潮に達していましたが、ついに待望の再結成ツアー“oasis live ‘25”が開幕。英国時間の先週7月4日(金)、ウェールズの首都カーディフにあるプリンシパリティ・スタジアムにて初日公演を行ないました。オアシスとしてのライヴ開催は2009年8月以来、約16年ぶり──間違いなく今年最大のカルチャー・イベント。それは、ギャラガー兄弟の和解を祝福する喜びに満ちた一夜となったのでした。
16年ぶりの奇跡、ギャラガー兄弟がついに手を取り合う

Photo: Josh Halling
待ちかねたファンを前に、“THIS IS NOT A DRILL”という言葉が不穏なトーンでアナウンスされ、スピードメーターが映り、さあ、ついに、「ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ」が流れた! 「ここからがThis is Historyだね」と心の中で呟くこちらの思惑を容赦なく上書きするかのように、This is it, This is Happening, Cardiff……そんな言葉たちがコラージュのように激しく背景に映し出される。そして16年ぶりについに、オアシスがステージに登場。なんと、ノエルとリアムが歩きながら繋いだ手を高く挙げているじゃないか! ノエルがロマンティストでありつつ演出じみたドラマチックさが嫌いなことは、ファンは周知の通り。きっとリアムがその場で思いついて繋いだんだろう。でも、兄貴もまんざらではなさそうな様子が遠目でもわかる。ああ、鳥肌が立つほど懐かしい、この空気感、このコンビネーション! あのふたりが同じステージに立っている! ついにオアシス復活だ!
そうやって目を喜ばせてくれた後、次のポイントは「どの曲を最初にやるか」だ。始まったのは、「ハロー」のイントロ。2nd『モーニング・グローリー』の冒頭を飾る曲だ。Hello, hello, it’s good to be back, good to be back – なるほどなあ! これほど2025年現在の彼らの状況と気持ちを象徴するのにぴったりの曲だとは、もちろん30年前に聴いた時は想像もしなかった。タイムマシンに乗って昔のノエルに取材して、あなたたちは2025年に再結成をして、その初日の冒頭で「ハロー」をやります、その時点で歌詞に会場中が最高に感動するんです、と話したら彼はどんな顔をするだろう。「よくわからないけど、まあな。オレは天才だからな」──そんな返答が聞こえてくるようだ。
そして考える。仮に2009年に兄弟ゲンカで解散することなく、彼らがあのまま続いていたとしたら。2025年のオアシスは、私が今夜見たカーディフでの再結成ライヴのような唖然とするほどの感動を果たして生み出してくれただろうか。続けることが目的と化した後、つまらないアレンジを施した昔の名曲を消化試合のように往年のファンにだらだら届けていたとしたら、そんな世界線にいるオアシスは私たちの知っているオアシスではない。
それくらい、オアシス・ファンのオアシスへの期待値は、それが私たち自身の青春の風景と分かち難く結びついているからこそ高値安定を保ち続ける。当然、あれから16年の時が経とうとオアシスへの信頼は揺らぐことなど一切ない。
長い時を経て、ギャラガー兄弟がステージに帰還

Photo: Harriett Bols
結論から書こう。16年の時を経た再結成初日のオアシスは、エベレストよりもはるかに高い我々の期待値を超えてなお素晴らしかった。まったくがっかりしなかったどころか、ああ、この瞬間に結実するために解散後16年間のノエルとリアムそれぞれの活動があり、それを見届けてきた私たちが存在したのだなと、流れた時間の全てをついに種明かししたかのようだ。
なにしろ、登場曲の「ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ」を除けば、合計23曲のうちデビュー作『オアシス』から6曲、2nd『モーニング・グローリー』から8曲、3rd『ビィ・ヒア・ナウ』から3曲。それに加えて1994年のシングル「ホワットエヴァー」と、1994年から95年にかけてのシングルのB面曲を5曲。一言で説明すると、今回のライヴで選ばれたのはすべて90年代半ばの曲だった。
90年代黄金期への原点回帰と、進化した化学反応

Photo: Lewis Evans
そうなのだ、ボーンヘッドがギタリストとして名を連ねた時点で気づけばよかった。今回の23曲はすべて、ボーンヘッドがいた時代の曲だ。初期衝動と急激な人気上昇、そして自らが振りまく喧騒とがごちゃ混ぜになり、あの頃のオアシスは天下無敵だった。たとえようがないほど特別な存在だった。
思い出してもみてほしい、リアムがやりたがってきた再結成を、ノエルは最後まで否定していた。ノエルが最終的に首を縦にふった理由は、他でもない、あの頃の曲を再結成して今また演りたい、あの頃を知らない世代へ伝えたいと思ったからだろう。その境地に至った理由は、タイミング的に考えるとノエルが自分のルーツに触れるような4thソロ・アルバム『カウンシル・スカイズ』を作ったことが起点にあるはずだ。
マンチェスターのバーネイジの公営住宅で、夢も希望もない中で窓の外に広がる空(Council skies)を見ていたノエル少年。彼が音楽の中に希望を見つけ、それを追い続けたからこそあの素晴らしき1994年から97年までの無敵のオアシス黄金期がある。
そんなことを心の片隅に置いていると、再結成ライヴで演奏された23曲がびっくりするほどオリジナルそのままのアレンジだったことに、おのずと納得がいく。「スーパーソニック」のイントロが長かったことなどを除けば、あからさまにオリジナルを逸脱した曲はなかった。つまり曲そのものの持つエネルギーが損なわれることなく伝わるからこそ、オレの曲とあいつの声があればオアシスだ、というノエルの確信までもこの日のライヴからは届いた。原点回帰の再結成。しかも年齢と経験を重ねた演奏と歌声で原点回帰を果たしたからこそ、いい意味で空間が多めだったあの1stアルバムの曲たちの音も、3本のギターが重なる太い音でそのまま弾かれて、嘘がないままスタジアム・クラスの曲として生まれ変わる。
しかも、この時期の曲は基本的にノエルが作曲し、リアムが歌うものが中心だった。つまり、ノエルはステージの上でギターの演奏に集中し、リアムはマイクと格闘するかのように腹の底から声を放つ必要がある。昨夜の兄弟は、それぞれのソロ活動ではついぞ見られない様子を見せてくれた。つまり、ノエルはソロの時よりもずっと楽しげにギタリストとしての職務に専念し(とはいえ、オーディエンスを見守る仏のような微笑みを浮かべつつギターを弾くさまは新鮮ではあった)、リアムは兄が書いたロックンロール・トラックを、歌声でねじ伏せるかのようにマイクと格闘していた。それぞれのソロ・ライヴを見た時に少しずつ物足りなかった何かが、オアシスとしてしっかりと充足し放たれている様子は、想定していなかった分だけ正直目を見張った。ああ、私たちはこれを見たかったんだな。そして、彼ら自身もこれをやりたかったんだろうな。これでいいのだ。これが、いいのだ。こういう再結成で、本当に良かった。
盟友達とファンが祝った奇跡の一夜

Photo: Lewis Evans
オアシスが再結成ツアーの初日に選んだのはカーディフ。ロンドンから電車で約2時間、ウェールズの首都でもある。会場のプリンシパリティ・スタジアムは駅から徒歩圏内。前日にノエルが電車で会場入りした話がニュースになり、我らがアニキはロックンロールな期待を裏切らないとここでも証明していた。
さて、私も初日午後にロンドンから電車でカーディフに着いたわけだが、ブリストルあたりから地元のオアシス・ファンが酒瓶やビール片手に電車に乗り、大きな声で語り、ガハハと笑い合っている。カーディフの街自体がまさにその拡大ヴァージョン。ものすごい人数のオアシス・ファンが、バンドTシャツを身につけたり、リアムっぽいハットを被りつつ街中で笑い、飲み、大声で合唱している。
パブやゲームセンターは大音量でオアシスの曲を流し、お店のポスターや看板でもギャラガー兄弟の姿があちこちで見られた。平日昼間からこうやってオアシス祭りで町中が盛り上がるとは、さすが国民的バンド。耳を澄ますと、フランス語やドイツ語をはじめ、英語以外の言葉があちこちから聞こえてくる。まさかの再結成ツアーの初日に合わせ、私を含めて全世界からオアシス・ファンが集まっている様相だ。
トップバッターのキャストから見ようと会場に着くと、意外なほどスムーズにスタジアムに入れた。元ザ・ラーズの、という枕詞も不要なジョン・パワーはオアシスの昔からの盟友。リアムの『オアシス』の30周年ツアーのオープニングも務めた。若々しくポップな雰囲気を醸し出しつつ、ギターに耳を澄ますと荘厳さすら感じさせるサイケデリックなトーン。バンドとしての技術で会場を魅せつつ、一方で初期の名曲「オールライト」で軽やかに踊らせるなど、ベテランならではの巧みな使い分けはさすがだった。
続くオープニングは、リチャード・アシュクロフト。言うまでもなくザ・ヴァーヴのフロントマンであり、オアシスが「キャスト・ノー・シャドウ」で歌ったのがまさしくこの人(この日のオアシスのセットリストには、当然この曲も入っていた)。「ソネット」に始まり「ビター・スウィート・シンフォニー」で幕を閉じた、と言うだけでもこの日の彼のライヴがいかに大サービス、かつオアシスへのリスペクトに満ちていたかわかるだろう。
今回のオープニング・アクトは、ジョン・パワーしかり、リチャード・アシュクロフトしかりで、イングランド北部のロック・ミュージシャンたちへのオアシスの仲間意識と信頼度の高さが伝わってくる。しかも、あのリチャード・アシュクロフトが「ぼくが今日最初のオアシスコールをやるね、オーウェイシス、オーウェイシス」と真顔でやったのには卒倒しそうになった。最高すぎる。
「ハロー」から始まった感動の23曲

Photo: Josh Halling
予定時間20時15分の少し前に、冒頭で書いたようにオアシスのライヴが始まった。3曲目の「アクイース」ですでに、ただ歌うのではなくマイクにケンカを売るように歌い上げるリアムには目を見張った。4曲目の「モーニング・グローリー」、私のメモには“マイクと闘いギターと闘う、これぞオアシス”と記載されている。つまり、そういうことである。「シガレッツ&アルコール」でリアムは観客に「後ろを向いてみんな隣の人と肩を組め──」と指示。そんなことをするリアムを初めて見た気がする。「フェイド・アウェイ」ではノエルも嬉しそうに笑いながら弾いている。リアムはステージの上ではラッドなので笑わない一方、ノエルが本当に楽しそうにこの夜は微笑んでいた。
19曲目の「リヴ・フォーエヴァー」で、最後に背中が大写しになったのはプレミア・リーグのリヴァプールに所属しポルトガル代表でもあるジョタ選手。7月3日に交通事故死し、イギリスではこの日の朝に大ニュースとして報じられていた。同僚の遠藤航選手の追悼コメントを見た人もいるだろう。ジョタ選手の記憶は、オアシスの再結成ライヴを通しても残っていく。
そして本編最後は「ロックンロール・スター」。デビューした頃の兄弟の若き日の映像やロゴなどがコラージュされ、彼らがロックンロール・スターとして駆け上っていった姿が脳裏に蘇る。そして繰り返される、“It’s just Rock ’n’ Roll”というフレーズ。ただのロックンロール。されど、ロックンロール。胸にまっすぐ伝わる。
アンコールも凄まじかった。ブラス隊とともに演奏された「ザ・マスタープラン」や、大写しになった観客たちの様子にオアシスが“彼らの歌”ではなく“私たちみんなの歌”になっていった様子を改めて体感できた「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」など、粒揃いの名曲が紡がれていく。「ワンダーウォール」も過剰なアレンジは皆無で、ほぼオリジナルに忠実に紡がれた。これが聴きたかったんだよ、というほどに。
そして最後の1曲は、星空をバックにした「シャンペン・スーパーノヴァ」だった。歌っているリアムと、ノエルのギターの手元がともにバックに大写しになる。オレの曲とあいつの歌があれば、オアシスだ──アニキのその信念が、視覚的にも表現されているかのようだった。
歌い終えた後、リアムは彼がすごくご機嫌な時によくやっていた、両手をついて頭を下げるような仕草を3回繰り返した。そして、ギターの演奏を終えたノエルと軽く抱き合った。外野には決して計り知れないこの兄弟の堅い絆を、少しだけ目にしたような気持ちになった。
2025年7月5日、午前4時。カーディフのホテルでこれを書いているこの瞬間にも、深夜の街でオアシスを歌うファンの声がときおり聞こえてくる。今歌われているのは「オール・アラウンド・ザ・ワールド」だ。今夜はやらなかったけど、あなたにとって大切な曲なんだろうな。私たちそれぞれが胸に秘めてきたオアシスの思い出を、再結成したオアシスはまったく壊さないでくれた。いい再結成だった。このままケンカせず、世界中のひとりでも多くの人の前で、オアシスは天下無敵で今も健在であることを伝えてほしい。
文/妹沢奈美
<oasis live ’25>07.04 CARDIFFセットリスト

1. 「ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ」(4th『スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』) ※SE
2. 「ハロー」(2nd『モーニング・グローリー』)
3. 「アクイース」(「サム・マイト・セイ」B面, 1995)
4. 「モーニング・グローリー」(2nd『モーニング・グローリー』)
5. 「サム・マイト・セイ」(2nd『モーニング・グローリー』)
6. 「ブリング・イット・オン・ダウン」(1st『オアシス』)
7. 「シガレッツ&アルコール」(1st『オアシス』)
8. 「フェイド・アウェイ」(「シガレッツ&アルコール」B面, 1994)
9. 「スーパーソニック」(1st『オアシス』)
10.「ロール・ウィズ・イット」(2nd『モーニング・グローリー』)
11.「トーク・トゥナイト」(「サム・マイト・セイ」B面, 1995)
12.「ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ」(「ホワットエヴァー」B面, 1994)
13.「リトル・バイ・リトル」(3rd『ビィ・ヒア・ナウ』)
14.「ドゥ・ユー・ノウ・ワット・アイ・ミーン?」(3rd『ビィ・ヒア・ナウ』)
15.「スタンド・バイ・ミー」(3rd『ビィ・ヒア・ナウ』)
16.「キャスト・ノー・シャドウ」(2nd『モーニング・グローリー』)
17.「スライド・アウェイ」(1st『オアシス』)
18.「ホワットエヴァー」(アルバム未収録シングル, 1994)
19.「リヴ・フォーエヴァー」(1st『オアシス』)
20.「ロックンロール・スター」(1st『オアシス』)
アンコール
1. 「ザ・マスタープラン」(「ワンダーウォール」B面, 1995)
2. 「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」(2nd『モーニング・グローリー』)
3. 「ワンダーウォール」(2nd『モーニング・グローリー』)
4. 「シャンペン・スーパーノヴァ」(2nd『モーニング・グローリー』)
日本ファン必見!オフィシャルストア&ポップアップショップ情報
10月のオアシス来日に向けて、ファン待望の公式グッズ情報が続々と発表されています。
日本唯一の公式オンラインストアが本日オープン

「Oasis Live ’25 JAPAN Official Online Store」(https://items-store.jp/oasis2025)ではUKオリジナルデザインのアイテムに加え、日本独自のスペシャルグッズも随時公開予定となっており、ファンにとって見逃せない展開となっています。
第1弾グッズは「Tシャツ Photo 【UKデザイン】」と「Tシャツ Logo 【UKデザイン】」で、価格は共に7,500円となります。
聖地・渋谷でポップアップショップ開催決定

さらに注目すべきは、渋谷・MIYASHITA PARKでの来日記念ポップアップショップ開催決定のニュースです。1994年9月14日に行われたオアシス初の来日公演の地・渋谷クラブクアトロが所在する、“聖地”である渋谷での開催は、ファンにとって特別な意味を持つでしょう。
詳細な開催日程・内容については、公式サイトおよび公式Xにて随時発表予定となっています。
このほかにも、オアシス来日公演にまつわる最新情報が公式サイトで随時発信される予定で、ファン必見の情報をどこよりも早くチェックできる場として、今後の展開にも大きな注目が集まっています。
Link
https://www.sonymusic.co.jp/artist/Oasis/
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