ウェールズの先進医療技術が大阪・関西万博の英国パビリオンで注目を集める

EXPO2025 大阪・関西万博 「ヘルステックデー」低侵襲、モバイルな医療の実現へ向けて

ウェールズ政府が2025年6月24日(火)に大阪・関西万博の英国パビリオンで開催した「ヘルステック&ライフサイエンスデー」では、低侵襲医療とモバイル医療の最新技術が紹介され、ウェールズと日本の医療分野における連携強化への期待が高まっています。



ウェールズ政府主導のヘルステック&ライフサイエンスデー開催

ウェールズ政府イノベーション・ライフサイエンス ルパ・チルバース博士

ウェールズ政府イノベーション・ライフサイエンス ルパ・チルバース博士

ウェールズ政府は、2025年6月24日(火)に大阪・関西万博の英国パビリオンにて、ウェールズの主要産業であるヘルステック&ライフサイエンス分野に特化したイベントを開催しました。このイベントは「日本におけるウェールズ年(Year of Wales and Japan 2025)」キャンペーンの一環として実施され、医療技術の発展に向けたウェールズとの連携と、研究・実証拠点としてのウェールズの可能性を紹介することを目的としています。

当日は、ウェールズ政府主席医務官イザベル・オリバー教授が登壇し、医療、産業、学術、行政の各セクターからの代表団とともに、ウェールズが誇る研究・開発力、協働型イノベーション体制、持続可能な医療システム構築へのビジョンを発信しました。

低侵襲医療とモバイル医療への転換

ウェールズでは現在、従来とは異なるアプローチで現代の医療ニーズに応えるため、低侵襲かつモバイル性の高い医療技術への移行を進めています。これらの技術を最大限に活用するための適切な研修の提供にも力を入れており、地域医療の効率化と患者のQOL向上を目指しています。

AI活用と画像診断技術の発展

ウェールズのライフサイエンス分野では、65%が医療技術(メドテック)関連で占められており、特にAIを活用した画像診断技術の発展が顕著です。患者のニーズに応じた医療を実現するうえで、重要なサブセクターとして位置付けられており、国際的なパートナーシップを通じての展開も積極的に進んでいます。


富士フイルムヘルスケアUKとの戦略的パートナーシップ

イベントでは、富士フイルムヘルスケアUKの取り組みも紹介されました。同社は放射線医用画像サービスを軸にNHSウェールズと強固な連携を築き、ウェールズでの25年にわたる戦略的パートナーシップのもと、地域医療のモビリティ化を推進しています。

移動可能な検査車両によって自宅や現場でのX線撮影を可能にし、病院に行かずとも診断が進む環境の実現化を目指しています。さらに、AIによるトリアージと早期診断支援システムにより、外科手術前の計画支援が可能となり、待ち時間や医療コストの削減に貢献しています。


ダンスとヘルスケアの融合による新たなアプローチ

パネルディスカッション「研究とイノベーションによる社会的インパクトの創出」では、名古屋大学大学院医学系研究科の下田真吾特任教授とダンスクリエイターのSAM氏が登壇しました。下田教授は「無意識の知性」と名付けた、無意識のうちにわずかな変化に適応する能力について解説し、この能力を適切にケアすることで健康維持や病気治療に役立つ可能性があると説明しました。

SAM氏は「ダンスは単なる技術やパフォーマンスではなく、誰もがダンスを通じて元気になり、健康を促進できるもの」と発言し、ダンスを通じて高齢者の身体能力や認知機能の維持を図るプログラムを医療現場で展開する構想について紹介しました。

VR・イマーシブテクノロジーの活用

ウェールズには世界最大級のイマーシブテクノロジーのシミュレーションセンターが設置されており、医療、法学、社会イノベーションなど多方面での応用が進んでいます。VR技術を活用した教育やシミュレーションは、実務現場に近い形でのトレーニングや研究を可能にしており、地域の産業競争力強化に寄与しています。

ウェールズと日本の50年にわたる強固な関係

ウェールズと日本は過去50年間にわたり、強固で長期的なビジネス関係を築いてきました。この長年の文化的・経済的なつながりを背景に、多くの日本企業がウェールズへの投資を選択し、充実した支援体制や専門知識、適正なビジネス環境、そして高い生活水準を活かし発展しています。

2025年は、ウェールズにとって日本が重要な戦略的パートナーであり、文化・教育・貿易・イノベーションなどの分野で両国の関係をさらに深める絶好の機会となっています。4月29日(火・祝)には大阪・関西万博にて「ウェールズ・デー」が開催され、ウェールズの文化や工芸、創造性が多くの来場者に紹介されました。

大学ヘルスボードとイノベーション連携

ウェールズでは、大学付属のヘルスボード(地域医療機関)と民間企業との連携が非常に活発です。アルツハイマー病の遺伝学研究など世界的なリーダーも輩出しており、こうした連携をウェールズ政府も積極的に支援しています。ヘルスボードとの共同プロジェクトは、手術室など医療現場におけるイノベーション技術も実現しており、地域の医療・保健分野の発展に貢献しています。

参加企業と展示内容

ヘルステック&ライフサイエンスデーには、以下の企業・団体が参加しました:

  • Goggleminds(ゴーグルマインズ):AI搭載の没入型シミュレーションによる医療教育の変革
  • Creo Medical(クレオ・メディカル):内視鏡外科の先進的な電気手術デバイス
  • Fujifilm Healthcare UK:患者中心の視点に立った医療イノベーション
  • Llusern Scientific(ルセーン・サイエンティフィック):尿路感染症の分子診断技術
  • NHS(国民保健サービス):バイオメディカル・ライフサイエンス分野の研究連携


ウェールズの医療イノベーションが示す未来への展望

ウェールズは、ライフサイエンス分野、特にヘルステックおよび診断技術における先進的な研究とイノベーションの拠点として確立されています。輸出志向が強い同分野では、世界各国のパートナーとの緊密な連携により、国際的な輸出クラスターが形成されています。

AIやプレシジョン・メディスン(精密医療)といった研究開発を主導とする世界水準の機関が、NHS、学術機関、産業界と協働し、日本を含む海外パートナーとの貿易、投資、さらなる共同研究の新たな機会を生み出しています。ロンドンやヨーロッパと高速でつながる地理的優位性を活かし、国際的な研究・ビジネス展開に理想的な拠点となっています。

 

Link

https://www.wales.com/jp

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