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【2025年9月13日開館】デヴィッド・ボウイ・センター完全ガイド|V&A East Storehouse で9万点のアーカイヴ無料公開
【2025年9月11日最新更新:開館直前の最新情報を追加しました】ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)は、デヴィッド・ボウイの全アーカイヴを収蔵する「デヴィッド・ボウイ・センター」を2025年9月13日(金)にV&A East Storehouseで開館します。開館前から500件を超える予約が殺到し、世界初公開となるボウイ最後の未完ミュージカル「The Spectator」の資料展示も決定。9万点を超える貴重な資料が無料で公開され、ナイル・ロジャースとザ・ラスト・ディナー・パーティがゲストキュレーターを務める特別展示も同時開催されます。
V&A East Storehouseに誕生する画期的な「working archive」

ロンドン東部のクイーン・エリザベス・オリンピック・パークに位置する同施設は、デヴィッド・ボウイ・エステート、ブラヴァトニク・ファミリー財団、ワーナー・ミュージック・グループの協力により実現した画期的なプロジェクトです。この施設は単なる博物館展示ではなく、研究者や一般来館者がボウイのアーカイヴに直接アクセスできる「working archive」として機能します。
開館直前!予約殺到で500件突破の最新状況

Frockcoat designed by Alexander McQueen and David Bowie for his 50th Birthday Concert, 1997. Image courtesy of the V&A.
開館を2日後に控えた現在、世界初の革新的な「Order an Object」サービスへの予約申し込みが500件を超える勢いで殺到。最も人気の高いアイテムは、アレクサンダー・マックイーンとボウイが共同デザインした1997年の50歳誕生日コンサート用フロックコートです。
予約殺到の人気アイテムTOP5

An acoustic guitar and case used by Bowie on Ziggy Stardust and the Spiders from Mars and Let’s Dance. Image Harptone 12-string acoustic guitar and case used by David Bowie on Ziggy Stardust and the Spiders from Mars and Let’s Dance, ca.1970. Image courtesy of the V&A.

A never-before-seen Grafton Alto saxophone given to Bowie by his father when he was just 13. Image courtesy of the V&A.

Clapperboard used for the 1976 film The Man Who Fell To Earth. Image courtesy of the V&A.
- アレクサンダー・マックイーン×ボウイ・フロックコート(1997年50歳誕生日コンサート用)
- ジギー・スターダスト時代の未公開ギター
- ボウイ初の楽器・サクソフォン(1960年代初期、父からの贈り物)
- ジム・ヘンソン製等身大パペット(未発表ミュージックビデオ用)
- 『地球に落ちて来た男』撮影用カチンコ(1976年)
このサービスにより、来館者は9万点を超えるアーカイヴから最大5点まで選択し、専門スタッフとマンツーマンで観覧できます。予約は最低2週間前の事前予約が必要で、週7日利用可能(木曜・土曜日は22時まで延長)です。
世界初公開!ボウイ最後の未完ミュージカル「The Spectator」

Image courtesy of the V&A.
デヴィッド・ボウイ・センターの最大の目玉として、ボウイが2016年の死の直前まで手がけていた未完のミュージカル「The Spectator」の制作資料が世界で初めて一般公開されます。
18世紀ロンドンを舞台にした野心的プロジェクト

Image courtesy of the V&A.
「The Spectator」は18世紀のロンドンを舞台に、近代化の瀬戸際にある社会を描く壮大な構想でした。ボウイは1700年代のコヴェントガーデン周辺を舞台に、アーティスト、作家、クィアコミュニティ、犯罪者、公開処刑について綿密な調査を行っていました。
- オープニングシーン:1724年11月16日、悪名高い犯罪者ジャック・シェパードの公開処刑
- 舞台設定:1700年代のロンドン・コベントガーデン周辺
- テーマ:啓蒙思想、芸術、科学、哲学の進歩による近代性の境界
- 登場人物:歴史上の実在人物と創作キャラクターの混在
展示される貴重な制作資料には、ボウイ直筆のメモ帳、インデックスカード、歴史的事件を記録した付箋紙、登場人物候補リスト、シーン構成案などが含まれます。
V&A East学芸員のマデリン・ハドン博士は「ボウイは現代音楽形式と18世紀を近代性の境界として魅力を感じていました。『The Spectator』は彼の境界を押し広げるアイデアと創作形式への継続的な実験意欲を示しています」とコメントしています。
チケット予約システム&アクセス完全ガイド
チケットは公式サイト(https://www.vam.ac.uk/exhibitions/david-bowie-centre)で配布され、6週間ごとのバッチリリース方式で提供。最初の配布は9月13日(金)から10月26日(日)までの期間をカバーしますが、瞬時に配布終了しました。
開館日程と入場方法

V&A East Storehouse
- 開館日
- 2025年9月13日(金)
- 開館時間
- 10時〜18時(木・土は22時まで延長)
- 入場料
- 無料(要事前予約・5ポンドの任意寄付あり)
- 場所
- V&A East Storehouse, Queen Elizabeth Olympic Park, London
アクセス情報
最寄り駅と距離:
- Hackney Wick駅(ロンドン・オーバーグラウンド):徒歩8分(約0.48km)
- Stratford駅:徒歩20分(約1.45km)
- Stratford International駅:徒歩17分(約1.29km)
すべての駅にはバリアフリーアクセス(エレベーター)が完備されています。
バス:388番バス路線がHere East建物前に停車。平日にはStratford City駅とStratford International駅の2か所から乗車可能な専用シャトルバスが6時30分から21時まで10分間隔で運行されます。
自転車:クイーン・エリザベス・オリンピック・パーク全体に自転車レーンが整備され、Parkes Streetには自転車ラックとSantander Cycle(レンタサイクル)のドッキングステーションが設置されています。
入館時の注意事項
V&A East Storehouseは「ワーキングストアハウス(作業倉庫)」として設計されており、入館時にロッカーが用意されています。すべてのバッグやコートは展示エリアに持ち込めませんので、必ずロッカーに預けてから入場してください。
世界最大級9万点のアーカイヴコレクション

Asymmetric catsuit David Bowie wore as Ziggy Stardust. Designed by Kansai Yamamoto, 1973. Image courtesy of the Victoria and Albert Museum
デヴィッド・ボウイ・センターの最大の魅力は、世界最大級となる9万点を超える膨大なアーカイヴコレクションです。2013年から2018年までV&Aサウスケンジントン館で開催され大成功を収めた「David Bowie is」展の資料をベースに、2023年に正式にV&Aが管理することになったこのコレクションは、ボウイの50年間にわたる創作プロセス全体を包括的に網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ボウイ・コスチュームとアクセサリー | 414点(フレディ・ブレッティ、山本寛斎デザイン含む) |
| 楽器・音響機器 | 約150点(ジギー・スターダスト時代のギター含む) |
| 写真資料 | 7万点以上(プリント、ネガ、透明フィルム) |
| 手書き資料 | 「フェイム」「ヒーローズ」「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」の直筆歌詞含む |
| 未実現プロジェクト | ジョージ・オーウェル『1984』舞台化案、映画企画資料 |
| 受賞記録 | 187点(グラミー賞、ブリット・アワードなど) |

Aladdin Sane jacket. Designed by Freddie Burretti for David Bowie, 1973. Image courtesy of the Victoria and Albert Museum
特に注目すべきは、山本寛斎がデザインした1970年代のジギー・スターダストと、フレディ・ブレッティによるアラジン・セインの伝説的コスチューム、ウィリアム・S・バロウズから学んだ「cut-up method」の実例、そしてティエリー・ミュグレーがデザインした1992年の結婚式用スーツなど、英国ロック文化史上最も重要なアイテム群です。
ボウイの予言的インターネット論も初公開

Bowie in a recording studio. Photo by Mick Rock, 1973. © Mick Rock
今回の展示で特に注目されるのは、ボウイがインターネットの未来について記した予言的な文章です。これらの記録は、彼が単なる音楽的革新者ではなく、テクノロジーの社会的影響を深く理解していた思想家でもあったことを示しています。
また、ボウイのアーティスト・パレット、自画像、レコーディング・セッションの貴重な写真なども今回初めて公開され、彼の創作プロセスの全貌が明らかになります。
革新的「Order an Object」サービス

Photo: © David Parry / V&A
来館者はV&Aの新サービス「Order an Object」を通じて、通常展示されていないアーカイヴ資料を個別に予約閲覧できます。これは世界の主要博物館でも類を見ない画期的なサービスです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予約可能数 | 1回の予約で最大5点まで選択可能 |
| 予約期間 | 最低2週間前の事前予約が必要 |
| 対象アイテム | コスチューム、楽器、模型、小道具、セット等の3Dアイテム |
| サービス開始 | 2025年9月からボウイ関連アイテムの事前予約開始 |
| 利用時間 | 週7日利用可能(木・土は夜間22時まで延長) |
| 専門スタッフ | 専門スタッフによる解説付き |
このシステムにより、研究者だけでなく一般のボウイ・ファンも、これまで不可能だった至近距離でのアーカイヴ研究が実現します。紙ベースの資料(スケッチ、歌詞、台本、写真等)については、センター開館後にアーカイヴチームとの事前予約により閲覧可能になります。
最新アルバム制作の未公開資料も予約可能
ボウイの最後の2枚のアルバム『ザ・ネクスト・デイ』(2013年)と『ブラックスター』(2016年)の制作過程を示す未公開資料も予約対象となっています。
- 『ザ・ネクスト・デイ』関連:2013年10月のNME誌カバー撮影用にボウイが手作りした折り紙の鳥
- 『ブラックスター』関連:2016年の「Lazarus」ミュージック・ビデオ用にボウイが手描きで装飾した衣装
- その他:ボウイのアルバム『アワーズ…』と『ロジャー(間借人)』のオリジナル・カバーデザイン
特別ゲストキュレーター展示
開館記念として、デヴィッド・ボウイと深い関係を持つ2組のアーティストが独占ゲストキュレーターを務める特別展示が実現します。
ナイル・ロジャースが選ぶボウイとの友情の軌跡

David Bowie Centre guest curator, Nile Rodgers. Photograph by Timothy Eliot Spurr for the Victoria and Albert Museum
ボウイの最大ヒット・アルバム『レッツ・ダンス』(1983年)と『ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ』(1993年)をプロデュースし、世界で7億5,000万枚のアルバム、1億枚のシングル売上を記録したナイル・ロジャースが、両者の友情と創作プロセスに焦点を当てた展示を企画しました。
| アイテム | 内容 |
|---|---|
| ピーター・ホール製オーダーメイド・スーツ | Serious Moonlight ツアー着用 |
| チャック・プリン撮影の貴重なスタジオ写真 | ボウイ、ロジャース、スティーヴィー・レイ・ヴォーン |
| Black Tie White Noise制作時の書簡 | ボウイ×ロジャースの私的書簡 |
| ピーター・ガブリエル撮影の録音風景 | バッキング・ヴォーカリスト録音(フォンジー・ソーントン他) |
ロジャースは「デヴィッドとの創作活動は彼のキャリアで最大の成功をもたらしましたが、友情も同じく価値あるものでした。私たちの絆は、人生を作り、救ってくれた音楽への共通の愛に基づいていました」とコメントしています。
ザ・ラスト・ディナー・パーティによる現代的視点

Guest curators, The Last Dinner Party, with items from David Bowie’s Archive (2). Photograph by Timothy Eliot Spurr for the Victoria and Albert Museum
2025年ブリット・アワード受賞のインディ・ロック・バンド、ザ・ラスト・ディナー・パーティは、主に1970年代の資料から、現代アーティストへのボウイの継続的な影響力を示すアイテムを選定しました。
| アイテム | 内容 |
|---|---|
| ミック・ロック撮影のスタジオ密着写真 | 貴重なスタジオ密着写真 |
| 「愛の勝利」の詳細直筆歌詞 | 1975年『ヤング・アメリカンズ』アルバム収録 |
| 『ステイション・トゥ・ステイション』ツアーセットリストと制作資料 | 別名:Isolar – 1976 Tour |
| Electronic Music Studios(EMS)シンセサイザー・ユーザーマニュアル | ベルリン三部作で使用 |
バンドメンバーのジョージア・デイヴィス、リジー・メイランド、アビゲイル・モリス、オーロラ・ニシェヴチ、エミリー・ロバーツは「デヴィッド・ボウイは私たちのような世代のアーティストに、自分自身と音楽のために立ち上がることを今でも鼓舞し続けています。私たちがバンドのアイデアを開発し始めた時、ボウイが『ステイション・トゥ・ステイション』を制作したのと同様のアプローチを取りました」と語っています。
9つのローテーション展示で200点を厳選公開

Overview of the David Bowie Centre Photo by David Parry, PA Media Assignments
デヴィッド・ボウイ・センターでは、常時約200点のアイテムを展示する9つの回転制ディスプレイが設置されます。これらの展示は、ハックニー、ニューハム、タワーハムレッツ、ウォルサムフォレストの4つのオリンピック区から選ばれた18歳から25歳の若者との協議を経て、現代の視点から企画されました。
| 展示テーマ |
|---|
| ジギー・スターダスト&アラジン・セインペルソナ創造の舞台裏 |
| 1987年グラス・スパイダー・ツアーとベルリンの壁歴史的コンサート |
| ゲイル・アン・ドーシーをはじめとする創作協力者との関係性 |
| 『ヤング・アメリカンズ』(1975年)制作プロセス全記録 |
| 初公開:ジョージ・オーウェル『1984』未実現舞台化企画 |
| 初公開:『ヤング・アメリカンズ』、『ダイアモンドの犬』未実現映画化プロジェクト |
| 現代文化への影響展示:フレンズ、イッセイ・ミヤケ、レディー・ガガ、チャーリー・XCX、ジャネール・モネイ、ケンドリック・ラマーへの影響 |
センター内には、ボウイのキャリア全体からのパフォーマンス映像を上映する新作フィルムや、TV番組『フレンズ』からファッション・ブランドの「イッセイ・ミヤケ」、レディー・ガガ、チャーリー・XCX、ジャネール・モネイ、ケンドリック・ラマーまで、ポピュラー・カルチャーへの広範な影響を追跡するインタラクティヴ・インスタレーションも設置されます。
開館初週限定「Object Encounters」でバックステージ体験

Photo: © David Parry / V&A
9月13日(金)から1週間限定で、V&A East Storehouseの「Object Encounters」セッションがボウイテーマで特別開催されます。この貴重な機会では、来館者がコレクションチームと共に通常は立ち入れない収蔵庫エリアを見学できます。
専門スタッフが案内する特別ツアー
- 開催期間:2025年9月13日(金)〜9月20日(金)
- 参加費:無料
- 内容:収蔵庫バックステージツアー、専門スタッフとの対話セッション
- 予約:デヴィッド・ボウイ・センターとは別途要予約
このセッションでは、デヴィッド・ボウイ・アーカイヴのカタログ化作業の舞台裏を見学でき、その過程で発見された新たな事実も紹介されます。V&Aは2026年末までにアーカイヴの完全なカタログ化を完了予定で、これはV&A創設以来最大級のプロジェクトのひとつとなります。
空間デザインに込められたボウイの哲学

Overview of the David Bowie Centre David Parry PA Media Assignments
ロンドン・パリを拠点とするデザイン会社IDKが手がけたセンターのデザインは、ボウイ自身の創作手法である「cut-up method」(カット・アップ法)からインスピレーションを得ています。異なる要素を組み合わせて新しく驚くべき何かを創造するという、ボウイの哲学を空間設計に反映させています。
V&A Eastの学芸員マデレーン・ハドン氏は、「ボウイは真に学際的な実践を体現していました。音楽家、俳優、作家、パフォーマー、文化的アイコンとして、今日の多くの若いクリエイターが分野を流動的に移動し、アイデンティティや芸術性の単一定義を拒絶する方法を反映しています」と述べています。
ロンドン東部に誕生する世界的文化ハブ

A visitor looks at the Aladdin Sane jacket designed by Freddie Burretti for David Bowie on the Ziggy Stardust live tour in 1973
デヴィッド・ボウイ・センターの開館により、ロンドン東部は世界有数の文化的ハブとしての地位を確立します。イースト・バンク全体には以下の文化施設が集積しており、2012年ロンドン五輪のレガシーとして英国最大の文化投資プロジェクトが進行中です。
- V&A East Museum(2026年春開館予定)
- BBC Music Studios(2026年後半〜2027年初頭開館予定)
- London College of Fashion, UAL(2023年秋開館済み)
- Sadler’s Wells East(2025年2月開館済み)
- UCL East(ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン東校、2023年秋開館済み)
各界からの注目コメント

Union Flag frockcoat designed by David Bowie and Alexander McQueen for Earthling, 1997 Photo by David Parry, PA Media Assignments
V&A館長のトリストラム・ハント博士は「史上最高のパフォーマー、音楽家、アーティスト、イノベーターのひとりであるデヴィッド・ボウイの影響は、彼の死からほぼ10年が経った今でも反響し続けています。5,000年にわたる芸術、デザイン、パフォーマンスのV&Aコレクションとの対話の中で、ボウイの創造性と遺産への新たな洞察を明らかにできることを嬉しく思います」と述べています。
ブラヴァトニク・ファミリー・ファウンデーション創設者のレナード・ブラヴァトニク卿は「V&A East Storehouseのデヴィッド・ボウイ・センターを支援し、永遠の文化的アイコンに敬意を表することを誇りに思います」とコメントしました。
ロンドン市長のサー・サディク・カーンは「デヴィッド・ボウイ・センターは素晴らしい施設で、ボウイファンには必見の場所です。ロンドンで最も影響力のあるアーティストのひとりの人生と作品に関する魅力的な洞察を提供し、この膨大なコレクションが初めて一般公開され、しかも無料です」と語っています。
V&Aは2026年末までにデヴィッド・ボウイ・アーカイヴの完全なカタログ化を完了予定で、これはV&A創設以来最大級のカタログ化プロジェクトのひとつとなります。完成後は、世界中の研究者や学生がオンラインでもアーカイヴの詳細情報にアクセスできる環境が整備され、ボウイ研究の新たな地平が開かれることになります。
Link
https://www.vam.ac.uk/exhibitions/david-bowie-centre
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