大英図書館が2026年秋に英国最大規模のアガサ・クリスティ展を開催、没後50年記念で未公開資料も展示

大英図書館

大英図書館は、史上最も売れた小説家アガサ・クリスティの没後50年を記念する大規模展覧会を2026年10月30日(木)より開催。エルキュール・ポアロやミス・マープルといった象徴的キャラクターの誕生背景だけでなく、クリスティの生涯、旅行、考古学や薬学への関心にまで踏み込む内容となります。会期は2027年6月20日(日)まで約8か月間で、展示品の多くはこれまで一般公開されたことがない個人所蔵品です。




没後50年と複数作品の節目が重なる2026年

今回の展覧会は、アガサ・クリスティが1976年1月12日に85歳で自宅ウィンターブルック・ハウスにて自然死してから50年の節目に開催されます。さらに2026年は、ポアロシリーズ第3作で英国推理作家協会が史上最高のミステリー小説に選んだ『アクロイド殺し』の出版から100年、そしてミス・マープル“最後の事件”とされる『スリーピング・マーダー』の出版から50年という複数の記念年が重なります。大英図書館の広報担当者ジェイミー・アンドリュース氏は、この展覧会を「過去20年間で英国最大規模のクリスティ展」と説明しました。



1937年製タイプライターや薬剤師試験ノートなど初公開品が多数

展示される主要アイテムには、クリスティが『そして誰もいなくなった』など複数作品の執筆に使用したとされる1937年製レミントン・タイプライターや、十代の頃に執筆した最初の短編小説『ハウス・オブ・ビューティー』のタイプ原稿が含まれます。また、第一次世界大戦中の1917年に受験した薬剤師試験の勉強ノートや、戯曲『検察側の証人』の舞台化に関する手書きメモ、エジプト・ハワイ・南アフリカでの旅行を記録した家族写真、2番目の夫にオリエント急行旅行について綴った私信なども公開されます。これらの資料はアガサ・クリスティ・リミテッドとクリスティ・アーカイヴ・トラストの協力により提供され、多くが初の一般公開となります。



ノート・手紙・録音でたどる創作プロセス

来場者はクリスティの執筆ノート、私信、初期原稿草稿を通じて、彼女がジャンルを定義した物語をどのように組み立てたのかを詳しく理解できます。さらに、クリスティ自身の声をディクタフォン録音で聴くことも可能で、著者本人が朗読する音声資料は作品理解の新たな入口となるでしょう。大英図書館パブリック・エンゲージメント担当ディレクターのジェイミー・アンドリュース氏は「展覧会は来場者をクリスティの幼少期に連れ戻し、象徴的作家へと成長する過程を探求するとともに、小説の舞台・映画化作品が今日の観客を魅了し続ける様子を祝います」と述べています。



英国各地図書館でも関連イベント展開

展覧会に合わせて、英国各地の公共図書館では「リビング・ナレッジ・ネットワーク」プログラムの一環として、クリスティが犯罪小説に与えた影響に関連する展示やイベントが開催されます。この取り組みは大英図書館単独ではなく、国内の文化施設と連携してクリスティの文学的遺産を広く共有するもので、地域住民が地元図書館でも彼女の業績に触れる機会を提供します。



クリスティ家代表が語る「20世紀で最も注目すべき人生」

アガサ・クリスティ・リミテッドのCEO兼会長でクリスティのひ孫でもあるジェームズ・プリチャード氏は、「曾祖母の並外れた人生と作品に捧げられた大規模展覧会のため大英図書館とパートナーシップを結べて光栄です。父マシューがクリスティ・アーカイヴから慎重に選んだ幅広いアイテムは、プロフェッショナルかつ個人的視点からアガサ・クリスティについて目覚ましい洞察を提供し、来場者を魅了するでしょう。彼女の死から50周年を記念するにふさわしく、静かな追悼と人生の偉大な達成を祝う機会を兼ね備えています。彼女の人生は真に20世紀で最も注目すべきもののひとつでした」と述べました。



史上最多販売作家の遺産を再評価する機会

アガサ・クリスティは1890年にイングランド南西部トーキーで生まれ、80作以上の犯罪小説・短編集と25本以上の戯曲(世界最長公演記録を持つ『ねずみとり』を含む)を執筆しました。英語だけで10億冊以上、100言語超でさらに10億冊が売れ、聖書とシェイクスピアに次ぐ販売数を記録しています。1971年にエリザベス2世女王から大英帝国勲章(DBE)を授与され、文学への貢献が称えられました。今回の展覧会は、単なる作品紹介にとどまらず、考古学者の夫との中東発掘調査や薬学知識が小説に与えた影響、さらに舞台・映画・テレビドラマへの翻案が現代の世界的観客に与え続ける衝撃を包括的に検証します。英語圏以外でも高い人気を誇る彼女の作品が、どのように時代を超えて読み継がれるかを理解する貴重な機会となるでしょう。

 

Link

https://events.bl.uk/exhibitions/agathachristie

Share
  • facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Mail

Sponsered Link

Sponsered Link

Recommends
合わせて読みたい

Sponsered Link

Sponsered Link