ウェールズと日本の関係強化を図る『Wales and Japan 2025』:フィオン・トーマス氏インタビュー

フィオン・トーマス

ウェールズ政府 国際外務本部局 副局長フィオン・トーマス氏が語る、日本とウェールズの深い絆と未来への展望。「Wales and Japan 2025」キャンペーンを通じた文化交流や持続可能なパートナーシップの可能性に迫ります。



──ウェールズ政府は、2025年をさまざまな企画を通して日本との持続可能な絆をより深めていく「Wales and Japan 2025」キャンペーン年としています。あらためてウェールズと日本のつながりについてお話いただけますでしょうか。

もちろんです。日本とウェールズは非常に長い歴史的な関係を持っています。例えば、ウェールズから輸出された鉄鋼や石炭が日本の鉄道建設を支えたことや、東京駅の丸の内駅舎でウェールズ産スレートが使用されたことも挙げられるでしょう。また、1970年代にはウェールズへの経済投資や大学間交流も行われました。このような深い絆を祝うことが私たちの目的のひとつです。

そして2019年のラグビーワールドカップでは、両国が“歌の国”として共鳴し合う姿が見られ、とても感動的でした。この関係を祝うだけでなく、未来に向けてどのような関係を築いていくかについても考えたいと思っています。持続可能性の重要性を日本もウェールズも認識していますので、ウェールズの「未来世代のためのWell-being法」が今年10周年を迎えることをハイライトしたいと考えています。このような節目の年にウェールズと日本の関係を祝うことは素晴らしいことだと思います。

──「未来世代のためのWell-being法」は今の世代だけでなく、未来に生まれる人々もより良い生活を送り、持続可能な地球を次世代に引き継ぐための意思決定を行うことを求めた法律で、立法化したのはウェールズが世界初となります。

日本とウェールズには共通点があります。それは、「より良い世界を次世代に残したい」という想いです。そのため、人々同士、市町村同士、県同士、そして国同士で協力し合うことで、グローバルレベルで影響を与えることができると思います。「未来世代のためのWell-being法」はその原点となる考え方だと思います。

フィオン・トーマス

──現在のウェールズと日本の関係についてはいかがでしょうか?

昨年はソニーとパナソニックとの50周年記念を祝いました。今年はトヨタとの50周年記念があります。また、今回の来日で私は大分を訪れ、大分県立美術館(OPAM)とウェールズ国立博物館とのMOU(覚書)締結記念イベントに参加します。これも素晴らしい関係の例ですね。

洋上風力発電や技術革新、クリエイティヴ産業などの協業も挙げられます。また、日本人観光客の70%が映画ロケ地を訪れたいと考えていることを昨日知りました。ウェールズには『ハリー・ポッター』や『ハウス・オブ・ドラゴンズ』、『ドクター・フー』など、多くのロケ地がありますので、ぜひ訪れてみてほしいです。

さらに、EXPO 2025 大阪・関西万博への参加も重要です。70年に開催された大阪万博ではプリンス・オブ・ウェールズ、現在のチャールズ3世国王陛下もご訪問され、日本からウェールズへの投資が始まりました。今回の万博でウェールズにどんな未来が待っているか、とても楽しみです。しかし、私にとって最も重要なのは、人と人とのつながりです。これまで訪れた場所や出会った人々はみなさんウェールズへの愛情を持っており、そのことを一緒に祝いたいと思っています。


──その大阪・関西万博で予定されているウェールズデーについて教えていただけますか?

今年は4月29日(火・祝)と6月24日(火)にふたつのウェールズデーがあります。最初の日程では、「未来世代のためのWell-being法」10周年を祝います。この法律は持続可能な開発目標(SDGs)の実現において重要な役割を果たしました。そのため、このテーマについて話すために大臣または高官が来日する予定です。また、多くのウェールズ文化や芸術作品も紹介します。

また、私たちが行っている政策イノベーションに関する取り組みも紹介します。非常にエキサイティングなプログラムになる予定で、今から楽しみにしています。日本のみなさんにウェールズという国がどのような国であるか、私たちの価値観、そして私たちがどのようにしてグローバルな責任に貢献しようとしているのかを知っていただく良い機会になると考えています。これが非常に重要な焦点となります。

また、私たちの創造的な文化活動も強調される予定です。2回目のウェールズデーは投資に焦点を当てます。ウェールズの主要産業や企業を紹介し、日本とウェールズ間の投資や貿易関係について再度注目します。この際にも大臣や高官が来日し、ウェールズとの経済的な協力の可能性について話す予定です。

──日本人はウェールズの食べ物や料理にとても興味を持っていると思います。万博で特定の料理や提供する予定のメニューはありますか?

まだ具体的には決まっていませんが、ウェールズデーではウェールズの料理と飲み物を提供する予定です。ウェールズ人も食べ物をとても大切にしており、それを歌で表現することもあります。

具体的にはまだ分かりませんが、海藻から作られる「ラバーブレッド」を試していただけるとうれしいですね。それから、ウェールズのウィスキーやウェールズのラムも提供できればと思っています。食べ物への共通の愛情について語る良い機会になるでしょう。どんなメニューになるか楽しみにしていてください!

──3月1日はウェールズの祝祭日「セント・ディヴィズ・デイ(St. David’s Day)」ですが、日本ではまだ広く知られていません。「セント・ディヴィズ・デイ」とは何か、またその日をウェールズ人がどのように過ごすか教えていただけますか?

聖デイヴィッドはウェールズの守護聖人で、多くの善行を行いました。「小さなことを大切にしなさい」という言葉も遺しました。小さなことを丁寧に行うことで、大きな影響を与えることができるという考え方で、日本人とウェールズ人とに共通していると思います。

実は「セント・ディヴィズ・デイ」は、英国ではお休みにはなっていません。その理由は、この日を学校で文化を祝う機会として活用しているからです。私が子供の頃は、「エステッドフォド(Eisteddfod)」という競技会が毎年「セント・ディヴィズ・デイ」に開催されていました。この競技会では歌や詩、演劇など文化的なパフォーマンスが行われ、それぞれ優れたものには賞が与えられます。

私自身も学校で毎年この「エステッドフォド」に参加し、自作の詩を書いたり歌ったりしていました。この日はウェールズ人としての歴史や文化について考え、未来について思いを馳せる機会でもあります。また、この日はウェールズ語を使う良い機会でもあるんです。

さらに、伝統的な衣装を着て学校へ行きます。例えば、大きな帽子やエプロンなどウェールズレディーの衣装です。「セント・ディヴィズ・デイ」は自分たちがウェールズ人であることを思い出し、その誇りを感じる日なんです。

また、日本でも「セント・ディヴィズ・デイ」に、駐日英国大使館内外でイベントが開催されます。日本ウェールズ協会と共に、ウェールズの若い歌手たちを招いてパフォーマンスを行います。これは、私たちがウェールズで行っている伝統的な活動と非常に似ています。

──「セント・ディヴィズ・デイ」に食べるのは……

もちろん、ウェールズ料理です! ただ、家族ごとに異なります。我が家ではいつも「カウル(Cawl)」を食べていました。新鮮な焼きたてのパンにバターと塩を添えていただくのが定番でした。他にも「ウェルシュレアビット」や「ウェルシュケーキ」があります。特にウェルシュケーキはどの家庭でもよく食べられます。そして、テーブルには必ずウェールズの国花のひとつであるラッパスイセンを飾ります。

私個人としては、「カウル」に「レアビット」を添えるのが好きです。ただ、それは少し議論を呼ぶ組み合わせかもしれませんね(笑)。


──先ほど映画ロケ地について少しお話されましたが、日本人観光客におすすめの場所はありますか?

訪れるべき場所は本当にたくさんありますので、3つほどおすすめします。まずひとつ目はカーディフです。この街では『ドクター・フー』などの映画ロケ地を巡るツアーがあります。市内を回りながら、さまざまなロケ地を見ることができます。

ふたつ目は北ウェールズです。いくつかのお城が映画のロケ地として使用されています。例えば、『コンウィ城(Conwy Castle)』などが挙げられます。

そして3つ目は『ブレコンビーコンズ国立公園(Brecon Beacons)』です。この地域は多くの映画でファンタジー風景として撮影されています。週末にハイキングをしていると、大規模な撮影現場に遭遇することもあります。

──また、ウェールズで日本人観光客に体験してほしいことは何でしょう?

先ほどの質問について補足すると、『バッドウルフ(Bad Wolf)』という会社をご存じでしょうか? ソニーが投資しているこの会社では、多くのアニメーションや映像制作が行われています。カーディフを訪れる際には、この会社について知っておくと良いと思います。

さて、日本人観光客に体験してほしいことですが、ウェールズの魅力は他の国とは違い、1日で首都、海岸、ビーチ、そして山々をすべて訪れることができる点です。ひとつの国で5種類もの異なる旅行体験ができるという点が素晴らしいと思います。

私自身、仕事でウェールズに戻った際には友人たちにこうメッセージを送りました。「午前中にはイルカと一緒にカヤックを楽しみ、その後一日働いて、夕方には山歩きをしているよ」と。このような体験はほかではなかなかできません。

また、映画やクリエイティヴ産業について知ることもおすすめです。そしてもちろんウェールズ料理も欠かせません。ウェールズ料理には素晴らしいシーフードやフュージョン料理もあり、多様性があります。

さらに、『セント・ファガンズ博物館(St Fagans Museum)』も訪れる価値があります。この博物館では実際の建物を解体し、その歴史的建造物を再構築しています。そのため、ウェールズの歴史的な家屋や建物を歩きながら体験することができます。非常に没入感のある素晴らしい場所です。


──最後に今年1年にわたって展開される「Wales and Japan 2025」についてメッセージをお願いします。

まず最初に、日本と日本の素晴らしい皆さんへ感謝したいと思います。これまで投資だけでなく、ラグビーワールドカップでの歌声など、多くのことでウェールズを支えてくださり、本当にありがとうございます。それは私の心にも深く響きました。

次に、この50年間でウェールズは大きく変化しました。今こそ、新しく発展しているエキサイティングなウェールズを見る絶好の機会だと思います。豊かな文化と歴史はそのままですが、現在では技術的にも進化した国となっています。創造性や技術革新、冒険観光など、多岐にわたる魅力があります。この機会にぜひ新しいウェールズをご覧ください。

そして最後になりますが、今後ウェールズと日本が協力して進めていくプロジェクトを見ることが非常に楽しみです。今年1年間、多くのイベントがありますので、ぜひそれらにも足を運んでいただければと思います。

通訳 : 長谷川友美

 

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https://www.wales.com/ja

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