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マークス&スペンサー、ロンドン旗艦店の解体・再建計画が承認 – 4年に及ぶ論争に終止符
英国を代表する小売チェーン、マークス&スペンサー(M&S)のロンドン旗艦店解体・再建計画が、アンジェラ・レイナー副首相によって承認されました。4年間続いた論争に終止符が打たれ、オックスフォード・ストリートの再生に向けた一歩が踏み出されます。
94年の歴史を持つ建物の解体と新たな10階建てビルの建設
M&Sは、現在のマーブル・アーチ店を含む3つの建物を解体し、新たに10階建ての複合施設を建設する計画です。新しい建物には、より小規模なM&S店舗のほか、オフィススペース、カフェ、ジムなどが入居する予定です。
この計画は、オックスフォード・ストリートの再生と現代化を目指すものであり、環境に配慮した持続可能な建築を実現することを目的としています。
歴史的建造物としての価値
マーブルアーチ店は1929年に建設されたアールデコ様式の建物で、英国の小売業の発展を象徴する存在でした。この建物は、ポートランド石で覆われた鉄骨構造で、クラシカルな形態のファサードにイオニア式の柱廊が特徴的です。
建物の歴史的価値は、単にその建築様式だけでなく、M&Sの成長と共に歩んできた象徴的な存在としての意味合いも大きいと言えます。1930年11月5日にオープンした当時、ロンドン・イブニング・ニュースは「この印象的な建物は、17日間で空っぽの殻から有名ファッションハウスの隣人へと変貌を遂げた」と報じており、当時の人々の期待と興奮が伝わってきます。
4年間の論争と政治的な駆け引き
M&Sの再開発計画は、2020年に最初に提出されて以来、激しい議論を巻き起こしてきました。当初、ウェストミンスター市議会とロンドン市長室から承認を得ていたにもかかわらず、2023年7月にマイケル・ゴーブ前住宅・地域社会・地方自治相によって却下されました。
ゴーブ氏は、計画が近隣の歴史的建造物に悪影響を与える可能性があると指摘し、環境への影響も懸念していました。この決定に対し、M&Sのスチュアート・マッキン最高経営責任者(CEO)は「笑止千万」「まったく情けない」と強く反発しました。
アンジェラ・レイナー副首相による承認
2024年7月の総選挙で労働党が勝利し、アンジェラ・レイナー氏が副首相兼住宅相に就任しました。レイナー氏は、M&Sの計画を再検討し、最終的に承認を与えました。
承認の理由として、レイナー氏は「雇用創出と地域再生における重要な利点」を挙げています。新しい複合施設は、約2,000人の雇用を支援し、オックスフォード・ストリートの活性化に貢献すると期待されています。
環境への配慮と持続可能性
M&Sは、新しい建物が現代の低炭素建築の基準を満たし、再開発に伴う排出量を相殺すると主張しています。また、既存の建物が「現在の顧客が望む買い物環境ではない」と指摘し、改修は不可能だとしています。
一方で、環境保護団体や建築専門家からは、既存の建物を改修して再利用する方が環境に優しいという意見も出ています。この議論は、歴史的建造物の保存と都市の近代化のバランスをどう取るかという、より広範な問題を提起しています。
M&Sの旗艦店再開発計画の承認は、ロンドンの象徴的な商業地区であるオックスフォード・ストリートの未来に大きな影響を与えるでしょう。コロナ禍による打撃から回復を目指す小売業界にとって、この決定は重要な転換点となる可能性があります。
今後は、環境への配慮と歴史的価値のバランスを取りながら、いかに魅力的で持続可能な都市空間を創造していくかが課題となります。M&Sの新しい旗艦店が、オックスフォード・ストリートの再生と英国小売業界の未来を象徴する存在となることが期待されます。
Link
https://www.marksandspencer.com/
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