【Interview】ジェイク・バグ『サタデイ・ナイト、サンデイ・モーニング』前編

ジェイク・バグ_アーティスト写真

ノッティンガム出身で2022年にデビュー10周年を迎えることになるジェイク・バグ。レコード会社を移籍しての4枚目となるニュー・アルバム『サタデイ・ナイト、サンデイ・モーニング』ではダンス・ミュージックにも接近し、新たな側面も打ち出しています。

British Culture in Japanでは飽くなき音楽的挑戦を続けるジェイク・バグにインタヴュー! 新作についでじっくりと話を聞きました。

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──現在はロンドンではなく、地元のノッティンガムにお住まいなんですか?

今はノッティンガムに戻っているんだけど、一応はロンドンに住んでいるよ。

──約4年ぶりのアルバムとなりますが、その間にはコロナ禍だったり、レーベル移籍だったり、いろいろな出来事があったと思います。あなたにとってどんな4年間でしたか?

本当に色々なことがあった4年間だったと思う。前作『ハーツ・ザット・ストレイン』をリリースしたのは2017年だけど、それから長い時間をかけてツアーをして、それまで行ったことのない国や都市でもたくさんプレイしたし、とても楽しかった。

ツアーが終わってロンドンに戻ってすぐにこの新作の曲作りを始めたんだ。新しい人たちと新しいことに色々挑戦してみる機会にも恵まれて、すごく充実していたね。それからすぐに新型コロナの件があって、発表を待たなければいけなかったんだけど……ともかく、リリースに漕ぎ着けて良かったよ。
 
──前作はナッシュヴィルで録音され、デイヴィッド・ファーガソンをプロデューサーに、ザ・ブラック・キーズのダン・オーバックらをゲストに迎えて制作されました。ある意味、あなたのルーツ的な部分に実際に触れた、聖地巡礼とも言うべき経験だったと思います。このアルバムであなたは何を得ましたか?

ナッシュヴィルでレコーディングできたことは、本当に貴重な体験だった。音楽的にとても歴史の深い町だし、ぼくにとっても特別な思い入れのある町だからね。レコーディング自体が非常に楽しい経験だったよ。

──その前作があったので、この『サタデイ・ナイト、サンデイ・モーニング』でのアレンジやアプローチはとても新鮮な驚きをもたらしたと思います。新作でのダンス・ミュージックへの接近はどういったきっかけがあったのでしょうか?

特別なきっかけがあったわけじゃないんだ。むしろ、単純な好奇心からこういうアルバムを作ってみたい、と思った感じかな。本来の自分らしいサウンドや自分のDNAといったものを、現代的なサウンドとブレンドしてみたらどんな感じになるだろう、新しいプロダクションを用いてレコーディングしてみたらどんな感じになるかな、という好奇心があったから。

それに、曲のバリエーションが増えることは、ライブにおいてもとても効果的だと思ったんだよね。『ハーツ・ザット・ストレイン』の曲と、全然違うタイプの『サタデー・ナイト、サンデー・モーニング』の曲を混ぜて演奏したら、ライヴはより面白くて飽きさせないものになるかと思って。

──あなた自身、ハウス・ミュージックをはじめとするダンス・ミュージックはよく聴いていたのですか?

いや、実はそうでもないんだ。以前に、リヴァプール出身のDJデュオ、キャメルファットとハウスっぽい曲を作ったことがあって、その時にもしかしたらぼくの声はこういうモダン・ミュージックにも意外としっくりくるんじゃないかな、と気づいて。それからダンス・ミュージックの曲を作ることに興味を持つようになったんだ。

──では、この4年間は新作の曲作りに向けて、どんな音楽を聴いて過ごしていたんですか?

特に曲作りに向けて音楽を聴いているという意識はなかったけど、ビージーズとかスーパートランプとか、70年代のポップ・ミュージックをよく聴いていたね。そういえば、新作には少しサイケデリックの要素を入れてみたいと思って、それは少し意識して聴いていた気がする。ジェファーソン・エアプレインは大好きなバンドだからよく聴いていたね。

──そうしたサイケデリックな影響を確かに新作からは感じました。

ぼく自身もそれは感じるよ。

──この新鮮な挑戦ですが、アルバムを4枚リリースしてきて固定化しつつあった“ジェイク・バグといえばアコースティック・ギター・ロック”というイメージを良い意味で変える必要があるという意識の下に行われたのでしょうか?

どうだろう。意識していたとは思わないんだけど。良い意味でこれまで確立してきたイメージを守ることも大事だし、一方ではそれを変えることも必要だとは思っていて。

でも、このアルバムに関して言えば、新しいことに挑戦したいという自分の感情が、より自然な形で表現できた感じだね。ぼくにとって、人々が抱くぼくに対するイメージというのは、ぼくがやっている音楽が投影されたものだと思っているから、それをこのアルバムをリリースすることで実現できたのは良かったと思うな。

──では、楽曲を書く段階から、現代的なサウンドの要素やダンス・ミュージックの導入を意識していたのでしょうか?

そうだね。当初から、エネルギッシュでポジティヴなサウンドにはしたいと思っていたよ。テンポは速めでノリの良い曲を多く書きたかった。

だから、特別に現代的なサウンドやダンス・ミュージックを意識していたわけではないけど、それよりもっと、ポジティヴなエネルギーにあふれていて、ライヴで演奏したら盛り上がるようなアルバムにしたかったんだ。

──確かに、このアルバム全体を通してポジティヴな力強さというものを感じましたが、そういったアルバムを作りたいという思いの背景には、やはり昨今の新型コロナ禍という状況もあったのでしょうか?

それは確かにあったと思うよ。こういう状況になって初めて、これまでがいかに恵まれていてありがたい時間を過ごせていたか、ということに改めて気づいたんだ。

多忙を極めていた時はいつまでこんなクレイジーな状態が続くんだと思ったこともあったけど、今となっては本当に恵まれていたとしか思えない。だからこそ、今の状況に閉塞感を感じている人に少しでもポジティブな気持ちになって欲しくて、その思いをサウンドに込めたんだ。

今は苦しい人もいるかもしれないけど、決してネガティヴに捉える必要はないよ、いつかきっとポジティヴな経験に変わるかもしれないよ、ということを伝えたかったんだ。

──ところで、プロデューサーのアンドリュー・ワット、スティーヴ・マックの起用はあなたのアイデアでしょうか? それともレーベル側の提案ですか?

アンドリューはこのアルバムを制作する時に、いちばん最初にコラボレーションした人物なんだけど、確か事務所の人に勧められて紹介してもらったと思う。

なるべくたくさんの人とコラボして、それまでにやったことのないような新しいことに挑戦したいと思っていたから。一緒に作業を始めてみて、すぐに意気投合したんだ。

彼は本当に才能あふれるプロデューサーだし、とてもエネルギッシュで、インスピレーションを与えてくれる人だったからね。とても良い曲を一緒に作ることができて満足だよ。

──彼との作業はあなたの音楽に何をもたらしましたか?

アンドリューは、ぼくが求めていた絶妙なバランスをみごとに再現してくれたと思う。トラディショナルでクラシックなサウンドを、より現代的なアプローチで表現するというぼくが目指していたものを、とても良いバランスでブレンドしてくれた。

特に「シーン」や「アバウト・ラスト・ナイト」は、まさにぼくの理想にぴったりの仕上がりになったと思う。

──このアルバムはどこでレコーディングされたんですか?

ほとんどの曲はロンドンのスタジオで、一部はロサンゼルスで録音したよ。

──そうした実際にレコーディングをした環境というのは、アルバムのサウンド自体に何か影響を及ぼしたりするものなんでしょうか?

そうだね。曲作りをする環境ももちろんだけど、レコーディングする環境というものも確実にアルバムのサウンドそのものに大きな影響を与えると思うな。

インタヴュー後編はこちらから

 

インタヴュー・文 / 油納将志(British Culture in Japan) 通訳 / 長谷川友美

ジェイク・バグ
『サタデー・ナイト、サンデー・モーニング』

jake bugg『Saturday Night, Sunday Morning』

 

レーベル:
RCA
発売日:
Now on Sale

TRACK LIST

1.
オール・アイ・ニード
2.
キス・ライク・ザ・サン
3.
アバウト・ラスト・ナイト
4.
ダウンタウン
5.
ラビット・ホール
6.
ロスト
7.
シーン
8.
ロンリー・アワーズ
9.
メイビー・イッツ・トゥデイ
10.
スクリーミング
11.
ホールド・タイト

Link

https://www.sonymusic.co.jp/artist/jakebugg/

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