【ノエル・ギャラガー:ライヴレポート】底なしの繊細さで演奏されたオアシスの名曲群

ノエル・ギャラガー

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ、全公演ソールドアウトの約4年半ぶりとなるジャパン・ツアー大盛況のうち終了! キャリアを遡るセットリストで各地が熱狂しました。そのうちのひとつ、12月1日(金)東京公演のライヴ・レポートをお届けします。

ハイ・フライング・バーズ : ノエル・ギャラガーの自由な魂

ノエル・ギャラガー

なるほど、鳥だ。高く飛ぶ鳥は自由の象徴。13年前、ノエルのソロ最初期のインタビューで「ハイ・フライング・バーズ」をソロ名義につけた理由を聞いたが、ニール・ヤング&クレイジー・ホースの名前を出すのみの説明だった。しかし最新作の4th『カウンシル・スカイズ』を聴き、青空から月夜までさまざまな空の映像を背景に映しつつキャリアを遡る選曲で紡いだライヴを見て、今回、合点がいった。空を見上げ自由に飛ぶ鳥を見つめていたバーネイジのノエル少年の到達地点に、胸が熱くなる。

 

ノエル・ギャラガー

 

4年半ぶりの来日公演初日の東京ガーデンシアター。前回と比較してもノエルのコンディション、特に歌声が抜群に良い。今回のツアーメンバーはコーラス隊を含む9名で、新作収録の“Pretty Boy”で幕を開ける。続くタイトル・トラックの“Council Skies”ですでに、彼の今の出音のムードが当然力任せのロックンロールではなく、オーセンティックなフォークにも行きすぎない、アシッド / サイケデリック・フォークの冒険心と共にあると伝わる。続く3曲目の“Open The Door, See What You Find”の伸びやかな歌声! コロナ後の開放感を描くこの曲の晴れやかさは、会場に最初の盛り上がりを生んだ。

元オアシス組のクリス・シャーロック(Dr)はライヴ冒頭からスティックを高く飛ばして会場を沸かせつつ、今の柔らかなバンドの出音をしっかりリードする。ゲム・アーチャー(G)も“Easy Now”のソロなど随所で巧みなギターを披露。一方で、この日のアンコール最後の“Don’t Look Back In Anger”のギターソロはノエル自身が演奏したことも特筆しておきたい。

オアシス時代の楽曲へのノエルのこだわり

ノエル・ギャラガー

ノエルと盟友マイク・ロウ(Key)だけがステージに残り、底なしの繊細さで演奏された“Dead In The Water”の後、懐かしの“Going Nowhere”(97年。“Stand By Me”のカップリング)で幕を開けるオアシス時代の曲群へ。“The Importance of Being Idle”、“The Masterplan”、“Half The World Away”、そして本編最後の“Little by Little” 。当時もノエル自身がヴォーカルを担当した曲のみが紡がれる。こんなこだわりがノエルという人の美しさを信じられる根拠になる。

ノエル・ギャラガー

アンコールでまず「サビを一緒に歌ってくれよ」とボブ・ディランのカバー“Quinn The Eskimo (The Mighty Quinn) ”を演奏した後、彼はおもむろに「次の曲はシェイン・マガウアンに捧げる」。そしてスタートした“Live Forever”は、これまでに聴いたどのヴァージョンとも異なる、特別な想いが込められた優しく美しい調べだった。この数日前に亡くなったザ・ポーグスのシェインとノエルは、きっと気も合っただろう。永遠に生きると歌うこの曲は同時に鎮魂歌にもなりうるのだと、ノエル自身が証明したかのよう。数えきれないほど聴いた曲を通して、ノエル・ギャラガーはこうやって今もなお、私たちを心底驚かせる。きっと、これからも。

文 / 妹沢奈美 写真 / MITCH IKEDA

Link

https://www.sonymusic.co.jp/artist/noelgallagher/

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