ポール・ウェラー、6年ぶりの日本ツアーを大阪で開幕!ザ・ジャムとザ・スタイル・カウンシルの名曲に加え新曲も披露

paul weller namba hutch

UKロックシーンの生きる伝説、ポール・ウェラーが2024年1月26日、大阪・なんばHatchで6年ぶりのジャパンツアーをスタートさせました。ザ・ジャム、ザ・スタイル・カウンシル、ソロというキャリアを通じて、常に新しい音楽を追求し続ける彼の現在地を感じられる、ステージのレポートが到着。新曲「ジャンブル・クイーン」も披露されました。

ソロとしての活躍を続けるUKロックの伝説

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ポール・ウェラーが、2018年以来となる6年ぶりのジャパンツアーを1月26日、大阪・なんばHatchよりスタートさせた。

ザ・ジャム、ザ・スタイル・カウンシルを経てソロとして1991年に初来日以来、コンスタントにジャパン・ツアーを行い、キャリアを重ねた近年もリバイバルやノスタルジーな来日公演ではなく、新作を携えたツアーを実施。前作『オン・サンセット』(2020年)で、1980年代〜2020年代にわたる5つの年代でアルバムが全英1位を獲得するという記録を、ポール・マッカートニー、ジョン・レノン、デヴィッド・ギルモアに続いて打ち立て、2021年リリースの最新アルバム『ファット・ポップ』でもソロ6枚目、キャリア通算8枚目の全英1位を獲得している。そう、御年65歳でいまだ現役、UKロックシーンの生きる伝説として第一線で活躍し続けているのがポール・ウェラーなのだ。

コロナ禍を乗り越えて実現した待望の来日公演

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しかし、世界的なコロナ禍によって海外ツアー延期などの影響が出ていたため、今回の来日公演はウェラーにとっても日本のファンにとっても待望の実現。そんな期待に満ちた初日の大阪・なんばHatchには、この日を待ちわびた多くの人々が足を運び、フロアは開場時から静かな熱を帯びる。そして開演時間ジャストに、ギタリストのスティーヴ・クラドックをはじめ、ベース、キーボード、サックスにツインドラムという6名のサポートメンバーと共にウェラーが登場すると、大きな歓声が巻き起こる。冒頭から華やかなホーンの躍動感に心躍る幕開けで、ウェラーがテレキャスターをかき鳴らしワウを踏む姿は、もうそれだけで絵になるたたずまいだ。美しく整えられたシルバーのヘアー、シャープなシルエットは相変わらずクールで、そんな彼を音のみならず豊潤なコーラスでも支える、気心知れたバンド陣の演奏も頼もしい限りだ。

新旧の名曲を惜しみなく披露する圧巻のパフォーマンス

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3年越しの初お披露目となる最新作『ファット・ポップ』からの楽曲「コズミック・フリンジズ」では、エレクトロなビートを軽やかに取り込んだ現在地で魅せ、“ドーモアリガトウ!”と日本語であいさつした後は、ザ・スタイル・カウンシル時代の「マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ」、「マン・オブ・グレイト・プロミス」を立て続けに届け、オーディエンスは一気に歓喜の渦に。ムーディーなライティングを背に、まるで衰えを知らないかのように響きわたるボーカル。ウェラーの充実のパフォーマンスには自ずとクラップも沸き立つなど、まだ序盤ながらこの時点で“本当に見に来てよかった!”と心底思った方も多かったことだろう。

時にエレキ・ギター、アコースティック・ギター、時にピアノを奏でながら、『ワイルド・ウッド』(1993年)や『スタンリー・ロード』(1995年)収録の初期曲も多数披露したかと思えば、再び最新アルバムからフルートの音色が映えるメロウな「グラッド・タイムズ」やベースラインが印象的なタイトル曲「ファット・ポップ」と、栄光にすがることなくアップデートされ続けるモダンな新曲、さらには、パンデミックでツアーが開催できなかった『オン・サンセット』の収録曲などを、惜しみなく歌い上げていく。これぞミュージシャンの理想のエイジングだと思わせる、モッド・ファーザーの熟成する歌声と色気がたまらない。

ザ・スタイル・カウンシルの名曲で盛り上がるラストパート

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イントロからどよめきと喜びの声で沸いたのは、ザ・スタイル・カウンシルの名曲「シャウト・トゥ・ザ・トップ」! 長尺のサックスソロでも大いに盛り上がり、その熱狂のままいよいよライヴは後半戦へと突入。久々の日本で1曲でも多く歌おうと言わんばかりの怒濤の展開で、ギターの掛け合いからドラム、ベース、キーボード、サックスと目まぐるしく見せ場が変わったソロ回しでも、途切れぬグルーヴで会場の熱量をぐんぐん上げていく。高揚感の中、クライマックスに容赦なく投下されたザ・ジャム時代の「スタート」を含め、20曲歌い切った後でも伸びやかなウェラーのシャウトにシンクロした満場の拳が、鮮やかにラストシーンを彩った。

だが、6年ぶりにウェラーがもたらした最高の一夜に、もちろん拍手は鳴りやまない。足早に舞台へと戻ったアンコールでも、ソロ、ザ・スタイル・カウンシル、ザ・ジャムと、自身の道のりを横断する新旧織り交ぜたセットリストで楽しませ、まさかのダブルアンコールでは、星空のような照明が照らした、とびきりロマンチックな大団円へ……。全28曲にわたり終始、哀愁漂うダンディズムにシビれ、グッドヴァイブな雰囲気に包まれた、約2時間の夢のひととき。今後のジャパンツアーにも期待が高まる、大満足のステージとなった。

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なお、ジャパンツアーは1月27日(土)愛知・ダイアモンドホール、同30日(火)北海道・Zepp Sapporo、2月1日(木)宮城・仙台PIT、同3日(土)・4日(日)東京・EX THEATER ROPPONGIと続く。また、来日記念盤となる日本独自企画盤『ファット・ポップ・エクストラ』も発売中。

文 : 奥“ボウイ”昌史 写真 : 濵田志野

Setlist

1. リップ・ザ・ペイジズ・アップ
2. ノヴァ
3. コズミック・フリンジズ
4. マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ
5. マン・オブ・グレイト・プロミス
6. オール・ザ・ピクチャーズ・オン・ザ・ウォール
7. スタンリー・ロード
8. グラッド・タイムズ
9. ヴィレッジ
10. ハング・アップ
11. ファット・ポップ
12. モア
13. シャウト・トゥ・ザ・トップ
14. ジャンブル・クイーン
15. サターンズ・パターン
16. オール・オア・ナッシング
17. アバヴ・ザ・クラウズ
18. イントゥ・トゥモロウ
19. スタート
20. ピーコック・スーツ

encore
21. オールド・ファーザー・タイム
22. ヘッドスタート・フォー・ハッピネス
23. ザット・プレジャー
24. ブロークン・ストーンズ / ユー・ドゥ・サムシング・トゥ・ミー
25. リバーバンク物語
26. ワイルド・ウッド
27. チェンジングマン
28. イッツ・ア・ヴェリー・ディープ・シー

Link

https://www.universal-music.co.jp/paul-weller/

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