トラヴィスのフラン・ヒーリーにインタビュー!新作『L.A. Times』とグラスゴーのおすすめスポットを紹介

フラン・ヒーリー

グラスゴー出身のバンド、トラヴィスが2024年6月に10枚目となるアルバム『L.A. Times』をリリース。7月後半に韓国の音楽フェスティヴァルに出演することが決まり、タイミング的にフジロックにも出演!? という期待が高まりましたが、移動が難しいということで残念ながら出演は見送りに。ところが、フロントマンのフラン・ヒーリーだけ、フェス前に日本を訪れ、新作のプロモーションとソロ・ライヴを行ってくれました。猛暑が始まったばかりの東京でフランをキャッチ、新作についてはもちろん、グラスゴーについても語ってもらいました。




──新作『L.A. Times』は『ザ・マン・フー』以来、最も個人的なアルバムになったそうが、意図的にそうなっていったのでしょうか?

意図的ではありませんでした。食べ物を食べるようなもので、経験が積み重なって、結果として何かが生まれるんです。『ザ・マン・フー』の時は、祖父が亡くなりました。祖父は私にとって父親のような存在で、とても親しかったんです。彼が亡くなり、マネージャーを解雇しなければならなかったタイミングでもありました。ダギー(・ペイン)をバンドに迎え入れ、ふたりのメンバーをバンドから外し、ロンドンに引っ越しました。また、6年間付き合っていた彼女とも別れたのもこの時で、『ザ・マン・フー』を制作する前は非常に感情的な時期だった……。今回のアルバムも、『ザ・マン・フー』のシチュエーションに似ていて、大きな出来事がたくさん起こったんです。

──何が起こったのでしょうか?

まず、マネージャーを解雇しました。バンドがマネージャーを迎えると、家や車の鍵を渡して、「よろしくね」と頼むようなものです。でも、車は「洗ってない、オイルを入れてない、タイヤの空気が抜けている」という状況が10数年続いて、解雇したあとの3年間は、ひたすら車を磨き、タイヤに空気を入れ、オイルを交換して、自分たちで運転してきました。だから新しいバンドのように感じられましたね。あとは、親友のリンガン(・レッジ)を失いました。彼は「カミング・アラウンド」や「ターン」のMVを制作してくれた自分にとってもバンドにとってもかけがえのない存在で、予想外の出来事でショックでしたね。まだ50歳でした。そして、妻のノラとも離婚しました。やっぱり、『ザ・マン・フー』の頃と似ていますね。

──バンドを健康な状態に戻すために具体的に何をしましたか?

良い質問ですね。考える時間をください……。

──もちろん。

まずいちばん簡単にわかっていたのは、素晴らしいアルバムを作る必要があるということでした。1年前、ツアーバスの中でバンドのみんなに「1年後にアルバムを出そう。しかも完璧なアルバムを」と言いました。アルバムの発売日前後はメディアやリスナーが我々に注意を払ってくれますが、内容がイマイチだと二度と見向きもされません。だから、彼らが二度見してくれるようなアルバムを作らなくてはいけませんでした。そうして1年後、私たちは最高だと思えるアルバムのひとつを作り出したのです。どうやって、最高のアルバムを作り上げたかというと、髪を染めてポップ・スターになり(笑)、良いMVを作り、素晴らしいアートワークを作りました。



──『L.A. Times』ではあなたのパーソナルな部分に加えて、LAやグラスゴー、ニューヨークなどの都市についても書かれていますね。「バス」という曲はグラスゴーを舞台にしています。

グラスゴーではバス停はバスを待っているだけの場所ではないんです。文化的な場所と言うか。バスを待っている間に二度と会わないかもしれない見知らぬ人と話し、会話を楽しみます。それからバスに乗ると、また別の人と話す。バス停というのは人々が出会う場所なんです。私にとってとりわけ特別な曲で、今は離れてしまったグラスゴーを思い出したり、若い頃の自分を見つめ直すことができる。また、バスを待つというのは何かが起こることを待っている比喩でもあるんです。もしかすると、バスは来ないかもしれない。忍耐強く、バス停を離れずに待ち続ける。来ると信じていれば、必ず来る。長く待てば必ず来るということを歌っています。

──アズテック・カメラの「キラーモント・ストリート」と並ぶ、グラスゴーのバス・ソングの誕生ですね。

ちょうど先日までザ・キラーズのUKツアーのオープニング・アクトをしていたんですが、グラスゴー公演のときにアズテック・カメラの「イン・マイ・ハート」をカヴァーしましたよ。



──YouTubeで観ました。実に楽しそうに演奏していましたね。ところで、ここからはトラヴィスのフラン・ヒーリーではなく、グラスゴーのツアーガイドになって、もし日本人がグラスゴーを訪れるならおすすめしたい場所を教えてもらえますか。

ケルヴィングローヴ

ぼくがツアー・ガイドに(笑)? やってみましょう。まず、ケルヴィングローブ美術館・博物館ですね。グラスゴーの人々にとって象徴的な建築で、前後逆に建てられたという言い伝えがあります。つまり美術館・博物館の入口が後ろだったのではないかという、非常に興味深い建物なんです(笑)。でも、グラスゴーの人々は、その間違いを恥じているのではなく、むしろユーモラスにポジティヴなことだと捉えています。

──カラーコーンをかぶったままのウェリントン公爵像も実にグラスゴーらしいですよね。

そうそう(笑)。グラスゴーの人たちの気質をよく表していると思います。あとはグラスゴー南西にあるポロック・カントリー・パーク内にあるバレル・コレクションもおすすめです。ここにはグラスゴーの海運王、ウィリアム・バレルが古今東西で集めた芸術作品が展示されています。

 

 

──バレル・コレクションの厳選された所蔵品を展示する『印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション展』が2019年に日本でも開催されました。

ワオ、グラスゴーの宝が日本を訪れていたんですね。

──ランチのおすすめは?

university cafe

ランチやお茶をするならば、グラスゴー大学そばのバイヤーズ・ロードにあるユニバーシティ・カフェがいいですね。ソフトクリームのオブジェが店先にあるので、すぐにわかると思います。食事やお茶はもちろん、ソフトクリーム推しなので、ぜひ試してみてください。ランチを終えたら、グラスゴー大学を見学することもおすすめします。まるでホグワーツのような雰囲気で、写真を撮るのが楽しいですよ。

グラスゴー大学



──おすすめのパブも教えてください。

パブならグラスゴーの中心部にあるホースシュー・バーですかね。私たちはその建物の最上階でリハーサルをしていたので(笑)。観光客でも、若者でも、年配の人でも、性別や人種が違っても、みんながフラットでいられる場所です。新作の4曲目「レイズ・ザ・バー」はニューヨークにあったバーのことを歌っているんですが、作っているときにこのホースシュー・バーも念頭にありました。

──最後におすすめのヴェニューは?

barrowland

それはもちろん、バロウランド! 世界で最も素晴らしい会場のひとつです。完璧なサイズ感に完璧な音、完璧な観客、完璧な雰囲気店……。ここで数々の公演を観ましたし、出演もしました。夜になるとネオンサインがきれいなので、ぜひ訪ねてみてください。

トラヴィス
『L.A. Times』

travis L.A.Times
レーベル:
BMG
発売日:
Now on Sale

TRACK LIST

1.
Bus
2.
Raze the Bar
3.
Live It All Again
4.
Gaslight
5.
Alive
6.
Home
7.
I Hope That You Spontaneously Combust
8.
Naked In New York City
9.
The River
10.
L.A.Times

 

Link

https://travis.lnk.to/LATimesWE

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