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英国政府観光庁会長ニック・ドゥ・ボワCBEインタビュー:イギリス観光の多面的な魅力と2025年のトレンドについて聞く
英国政府観光庁(Visit Britain)会長ニック・ドゥ・ボワCBEが語る、イギリス観光の新たな魅力と2025年の最新トレンド。ラグジュアリーなショッピングから、歴史ある高級ホテル、急成長中のワインツーリズムやミシュラン星付きレストランの美食体験、そして王室関連の特別ツアーまで、多面的な観光の魅力を紹介してくれました。さらに、映画のロケ地巡りや持続可能な観光への取り組み、新しいカルチャー施設の情報も盛りだくさん! この記事を読んで、あなたの次の英国旅行計画を立ててみませんか?
イギリスならではのラグジュアリーな体験
サヴィル・ロウのハンツマン
イギリスには、世界に誇れるラグジュアリーな観光体験を数多くしていただけます。まず特筆すべきは、ショッピングです。ロンドンはもちろんのこと、その他の都市でも特別なショッピング体験ができます。例えば、サヴィル・ロウやジャーミンストリートでスーツを誂えたり、服を仕立てたりする体験は、世界でもここでしかできません。オックスフォードストリートやリージェントストリートでの買い物も唯一無二の体験です。また、エディンバラやマンチェスターといった活気ある都市でも、素晴らしいショッピング体験ができます。
高級ホテルの分野でも、イギリスは特別な体験を提供しています。例えば、エディンバラの「100 プリンセス ストリート」は、TIME誌の「The World’s Greatest Places of 2024」に選ばれています。また、最近オープンした「ラッフルズ ロンドン アット ザ OWO」は旧陸軍省ビルを改装したもので、ジェームズ・ボンドの作者イアン・フレミングが実際に働いていた建物です。スパイたちが働いていた部屋をバーに改装するなど、歴史を活かした独特の雰囲気を楽しめます。
サンドリンガム・ハウス
また、エリザベス2世女王陛下がこよなく愛し、クリスマスにメッセージを読み上げる場所として知られるサンドリンガム・ハウスでの特別な体験も提供しています。女王陛下はしばしばこの地で愛車のランドローバーで敷地内をドライブして楽しまれていましたが、女王陛下と同じようにランドローバーでのドライブと伝統的なアフタヌーンティーを体験できるツアーも用意されています。
多様化する観光の魅力
バルフォア・ワイナリー
私たちは特に食とワインの分野で新しい展開を見せています。例えば、湖水地方にはミシュランスターを持つ11のレストランが集中しています。この比較的小さな地域が、イギリスの食の中心地のひとつとなっているのは興味深いことだとは思いませんか?
チャペル・ダウン・ワイナリーでの試飲
また、意外かもしれませんが、イギリスはワイン産業も急速に発展しています。イングランド南部のサセックスやケントでは、ワイナリーツアーやビジターセンターの整備を進めており、今後10年で観光収入を10倍に増やすことを目指しています。バルフォアやチャペル・ダウンといったワイナリーでは、すでに地元の食材を活かした料理とのペアリングが楽しめるレストランを備えた充実したビジターセンターを整えています。
ジョニーウォーカー スコッチウイスキー エクスペリエンス
さらに、スコットランドではウイスキーツーリズムも盛んです。エディンバラにあるジョニーウォーカー スコッチウイスキー エクスペリエンスや、数多くの個性的な蒸留所ツアーが人気を集めています。実は、ウェールズでもウイスキー製造を始めており、新たな観光資源として注目を集めているんですよ。
アフタヌーンティーの新しい魅力
Photo : VisitBritain
アフタヌーンティーは、イギリスの伝統文化の象徴的な存在です。かつてはフォートナム&メイソンなど一部の高級店でしか提供されていませんでしたが、今では国中で様々なスタイルを楽しめます。フィンガーサンドイッチ、ケーキ、そしてスコーンという伝統的な構成はそのままに、マナーハウスホテルでの優雅な体験から、デボンシャーの茅葺き屋根のカフェでのどかに過ごす時間まで、その土地々々によって異なる魅力があります。
Photo : Glen Bowman
British Culture in Japanの読者の方はご存知だと思いますが、スコーンの食べ方にも地域性があります。デボンシャーではクロテッドクリームを先にのせ、その上にジャムをのせるスタイルで、コーンウォールではジャムを塗ってからクロテッドクリームをのせます。。こうした小さな違いも、イギリスの食文化の奥深さやおもしろさを表しているのではないでしょうか」
イギリスでしかできない体験
王室関連の体験は、まさにイギリスならではのものです。バッキンガム宮殿の東棟見学ツアーでは、王室メンバーが姿を見せる有名なバルコニーを間近で見ることができます。また、女王陛下が崩御されたスコットランドのバルモラル城も一般公開を再開しました。チャールズ3世国王陛下の庭園として知られるハイグローブの庭園も、独特の魅力を持つ場所です。
また、スポーツファンのために、特別な体験も用意しています。プレミアリーグの試合観戦はもちろん、マンチェスターには国立フットボール博物館があり、マンチェスターユナイテッドには専用のフットボールホテルもあります。リヴァプールではアンフィールド・スタジアムのミュージアムがリニューアルされ、トッテナムではF1のレーシング体験やビルの頂上からのアブセイリング(ロープ降下)など、ユニークな体験を提供しています。
そして、最近では新しいカルチャー施設も充実しています。約1,800万ポンドをかけてノルマン様式のノリッジ城を改装し、当時の生活を体験できる施設を作りました。ロンドンではナイトカヤックツアーが人気で、テムズ川だけでなく、ロンドン中の水路を巡ることができます。また、シェイクスピアの時代の劇場もショーディッチに再現され、当時の演劇文化や生活を体験できる施設として人気を集めています。
英国政府観光庁が2025年に推進する“Starring GREAT Britain”とは?
ブレナム宮殿 Photo : VisitBritain / Pete Seaward
映画のロケ地巡りも人気です。実は昨年、イギリスはハリウッドを上回る数の映画を製作しているんですよ。これまでにもスコットランドのケアン・ゴームズ国立公園では『007 スカイフォール』のカーチェイスシーンが撮影されたり、ノーサンバーランドのアニック城は映画『ハリー・ポッター』シリーズでホグワーツ魔法魔術学校として登場しました。そしてオックスフォード近郊のブレナム宮殿では、『ブリジャートン家』や『007』シリーズ、『ミッション・インポッシブル:ローグ・ネイション』など、数々の人気作品のロケが行われています。
ブラック・カントリー・リビング・ミュージアム Photo : VisitBritain/Rod Edwards
また、バーミンガム郊外のブラック・カントリー・リビング・ミュージアムは『ピーキー・ブラインダーズ』ファンの聖地として知られています。 1850年から1950年の約100年間を再現した体験型施設で、まさに『ピーキー・ブラインダーズ』の時代を追体験できます。『ピーキー・ブラインダーズ』の映画の撮影も始まったところですので、さらに注目されることでしょう。
サスティナブルな観光への取り組み
バーミンガム Photo : VisitBritain / Sean Burns
確かに一部の地域では観光客の集中、オーバーツーリズムが課題となっていますが、全国的に見れば、まだまだ余裕があります。全国平均のホテル稼働率は77%程度です。私たちは、混雑している地域のプロモーションを控えめにし、代わりに新しい観光地の魅力を発信することで、観光客の分散を図っています。
例えば、『ピーキー・ブラインダーズ』の舞台であるバーミンガム周辺は、もっと多くの観光客を受け入れる余地があります。また、日本の事例も参考にしながら、各地域が主体となって観光地としての在り方を考える“プレイス・シェーピング”という取り組みも始めています。これは単に観光客数を増やすことだけでなく、住みやすい街づくり、働きやすい環境作りも含めた総合的なアプローチです。
英国政府観光庁会長おすすめの観光地
ノーフォーク北部 Photo : VisitBritain / Rod Edwards
イギリスの魅力のひとつは、どこにいても海岸まで75マイル(約120キロ)以内という点が挙げられます。個人的には、ノーフォークがお気に入りです。ここでは潮の干満によって刻々と変化する海岸線を楽しむことができます。朝6時に見た海岸線が、夕方5時にはまったく異なる景色に変わっているのは壮観ですよ。干潮時には、海底に座礁したような船の姿を見ることもできます。また、この地域はキャンプ地としても人気です。
カンブリア Photo : VisitBritain / James Green
カンブリアと湖水地方も素晴らしい場所です。トレッキング愛好家にとっては理想的な環境で、近々開通予定のキング・チャールズ・ウォークは、2,700マイルにも及ぶ壮大なトレイルとなります。ノーフォーク地域が比較的平坦な地形なのに対し、こちらは丘陵地帯で、異なる魅力を楽しむことができます。
Photo : VisitBritain / David Clapp
最後に、鉄道についても触れたいと思います。2025年は鉄道開業200周年という記念すべき年です。実は日本の鉄道は、イギリスの鉄道をモデルに発展したという歴史があります。これは日本とイギリスの200年に及ぶ繋がりを象徴する素晴らしい例だと思います。
このように、伝統と革新が織りなすイギリスの観光は、さらなる発展を遂げようとしています。世界中の観光客に新しい体験を提供しながら、持続可能な観光のモデルを築いていく──それが、Visit Britainの目指す未来の姿なのです。
取材協力 : 英国政府観光庁
Link
https://www.visitbritain.com/en
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