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英国運輸省がグレート・ブリティッシュ・レイルウェイズの新ロゴとブランディングを発表、鉄道国有化へ前進
英国運輸省は2025年12月8日(月)、国有化を進めるグレート・ブリティッシュ・レイルウェイズ(以下GBR)の公式ブランディングとロゴデザインを発表しました。赤・白・青のユニオンジャック配色を採用した新デザインは、2026年春から全国の鉄道車両、駅、ウェブサイト、アプリに順次導入され、英国鉄道の統合と公共サービス化を象徴します。
ユニオンジャック配色とダブルアロー復活で英国鉄道の歴史を継承
新ブランディングは赤・白・青のユニオンジャックカラーを基調とし、シャープなアングルを取り入れた力強いデザインが特徴です。ロゴには1960年代に旧ブリティッシュ・レイルのシンボルとして制作され、現在もナショナル・レイルが使用する象徴的なダブルアロー(二重矢印)が採用されています。このダブルアローは英国鉄道の歴史的遺産を継承し、国有化による新時代の幕開けを視覚的に示す役割を担います。
デザインは運輸省内部で制作され、費用対効果の最大化が図られています。2025年12月8日(月)にはロンドン・ブリッジ駅でGBRブランドの模型列車やシミュレーションゲーム内のGBR車両デモを含む特別展示が行われ、同週にはバーミンガム・ニューストリート駅、グラスゴー・セントラル駅、リーズ駅、マンチェスター・ピカデリー駅など主要駅のデジタルディスプレイやポスターでも新デザインが披露されます。
鉄道法案が下院で審議中、17組織を統合する国有化プログラム
GBR設立を可能にする鉄道法案(Railways Bill)は、英国鉄道の運営とインフラ管理を単一の公的機関に統合する枠組みを定めるものです。法案は現在下院で審議中で、成立後は17の異なる組織に分散している機能がGBRの下に一元化され、複雑な官僚主義や説明責任の欠如を是正することが狙いとされています。
労働党政権は2024年総選挙のマニフェストで鉄道国有化を公約し、その後成立した旅客鉄道サービス公有化法に基づき、2024年12月以降「レール・パブリック・オウンシップ・プログラム」が開始されました。フランチャイズ契約の満了に合わせて旅客事業が段階的に公有化されており、すでにノーザン、トランスペナイン・エクスプレス、サウスイースタン、LNERなどに加え、2025年にはサウス・ウェスタン・レイルウェイ、c2c、グレーター・アングリアが国有化されています。
専用アプリで予約手数料ゼロ、公有化7社の具体的なサービス改善

Image : Department for Transport
GBRのローンチに合わせて導入される専用アプリでは、乗客が全国ネットワークを対象に列車の運行情報を確認し、予約手数料なしでチケットを購入できるようになります。また、障がいのある乗客が乗車支援を一括で予約できる機能も組み込まれ、アクセシビリティの向上が図られます。
公有化された各運行会社は、すでに具体的な改善策を打ち出しています。サウス・ウェスタン・レイルウェイはウェスト・オブ・イングランド線の15X系車両を2025年12月から段階的に更新し、2028年までに性能・信頼性と車内快適性の向上を図ります。c2cはバジルドン駅プラットフォーム2を延伸し、2025年12月14日(日)から12両編成列車の停車を可能とすることで、週平均約30本の12両列車と最大6,500席の増加を見込んでいます。
グレーター・アングリアは2026年に「Project Oval」の第2段階として約1,100万本の旅客行程を対象にペイ・アズ・ユー・ゴー(Pay As You Go)を拡大し、そのうち約300万本の行程が非接触決済へ移行すると見込んでいます。さらに、ネットワーク・レイルの標準化モジュール設計「Hub」を活用した新駅をウィックフォードに建設し、2026年秋に完成予定です。LNERは2025年12月の新ダイヤで年間440万席を追加し、東海岸本線への長期投資の成果を利用者に還元します。
ノーザンは列車の制動性能を高めるためのサンディングシステム更新や、GPSを活用したペイ・アズ・ユー・ゴーの実証実験を進めており、サウスイースタンは23駅へのコンタクトレス導入と全駅への段階展開、AI搭載カメラによる設備監視で遅延リスク低減に取り組んでいます。トランスペナイン・エクスプレスは駅スタッフを10%以上増員し、Wi‑Fi改善と車内サービス拡充を進めるなど、公有化各社がそれぞれのネットワークで「乗客ファースト」を掲げているのが特徴です。
ハイディ・アレクサンダー運輸大臣「単なる塗装変更ではない」と強調
ハイディ・アレクサンダー運輸大臣は、新ブランディングの発表にあたり「これは単なる塗装変更ではなく、乗客への公共サービスを中心に据えた新たな鉄道を示すものです」と強調しました。国有化によって利益配分の優先順位を変え、乗客と納税者の利益を前面に押し出す改革の一環として、GBRブランドが位置付けられています。
また運輸省は、2026年以降も運賃制度の簡素化や説明責任の強化、遅延時の情報提供改善などを順次進める方針を示しています。独立した乗客団体や地域自治体との協働も位置付けられており、「現場の声」を政策に反映させる仕組み作りも並行して進んでいます。
イースト・ミッドランズ首長クレア・ウォード、ダービー本部設置の意義を語る

クレア・ウォード
GBR本部は鉄道都市として知られるダービーに置かれる予定で、この決定を最も強く歓迎しているのがイースト・ミッドランズ首長のクレア・ウォード氏です。先日、本サイトのインタビューにも登場したウォード氏は、「地域経済と鉄道産業の双方にとって歴史的なチャンスだと評価し、製造・エンジニアリングの集積地としてのダービーのポジションがさらに強まる」と述べています。
ウォード氏は、GBR本部とイースト・ミッドランズの交通インフラ投資が連動することで、新たな雇用とスキル育成、そして地域間の移動性向上につながる点を強調しています。とりわけ、ロンドン偏重だった鉄道政策の「重心移動」として、この本部設置を捉えている点は、地方分権と地域再生をめぐる英国の広い文脈の中でも注目すべきポイントと言えます。
Link
https://www.gov.uk/guidance/great-british-railways
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